第1回 保育園がSNSを活用するべき理由──園の魅力発信! 保育士のアイ先生の>SNSの教科書
保育士不足が深刻化する現代、保育園が効果的にSNSを活用することは、採用活動において大きなメリットがあると感じています。
保育士の退職理由の1位として「職場の人間関係」があげられますが(厚生労働省調査)、従来のテキストの求人媒体のHPの採用方法では、「職場の雰囲気」を伝えることは難しいと思っています。
SNSを活用することで、視覚的にも「保育園の雰囲気」や「働いている人」にフォーカスして発信ができるので、求人条件だけに捉われずに、志望意欲の高い保育士さんを採用できる可能性が高まり、さらには園児の集客や地域交流イベントの告知など幅広く活用ができます。
SNSは検索よりも主流の情報源に
近年、求職者に限らず、多くの人が情報を得る手段としてSNSを利用しています。特に若い世代の保育士にとって、SNSは日常的に利用する情報源であり、採用に関する情報もGoogleなどの検索エンジンだけでなく、SNSのプラットフォーム上で「△△保育園 採用」などと検索することが一般的になっています。
そのため、気になる保育園の情報がSNS上に見当たらない場合、応募の機会を逃すだけでなく、フォローされる機会も失ってしまいます。
SNSでフォローしてもらうことで、頻繁に投稿しなくても、投稿するたびに視聴者と継続的な接点を持つことができるため、長期的に関係を築くことが可能です。
これが心理学でいう「ザイオンス効果(単純接触効果)」で、繰り返し接触することで好意や信頼が生まれるとされています。求人媒体やHPだとこの長期的な接触機会というのはなかなか難しいからこそ、SNSの魅力の1つですよね。
さらに、他の保育園と比較された場合でも、SNSを通じた長期的な繋がりがあることで、自園が優先的に選ばれる可能性が高まります。
こうしたSNSの活用は、単なる情報発信だけでなく、保育園のブランディングや求職者との信頼関係の構築に大きく貢献するのです。
SNSを通じたターゲティングとブランディング
SNSのもう1つの大きな利点は、ターゲットを絞った採用活動が可能であることです。
今はどのSNSにも「おすすめ欄」があるなど、検索行動や関心事に基づいたレコメンド機能があります。こういった機能は、特定の地域で働きたいと考えている人へのアプローチや、同じ保育観を持った人を集める効果も期待できます。
特に教育・保育方針などに他の園と違った特色のある園は、求職者に理解/共感してもらうことを課題に感じていることもあるのではないでしょうか。
そんな時でも、SNSで魅力を理解してもらえるような発信を続けることで、園の理念を理解した上で応募をしてくれる可能性も上がり、園のニーズに合ったスタッフを確保することができます。
SNS運用が保育園と保育士、地域社会を繋ぐご縁に
個人の趣味などを発信するというSNSから、現在は企業や商品に留まらず、保育園のSNS発信も多く見かけるようになりました。
保育園がSNSを運用するメリットは前記の通り大きいです。保育の発信者が増えることは、それぞれの園の取り組みが発信され、保育者にとっても深い学びに繋がります。
また、潜在保育士や保育に関心がない人の目にも触れることになり、保育の世界に興味を持つ人が増えることに繋がるのではないでしょうか。
ただ実際に始めるとなると、「どんな発信をすれば良いのか」「職員さんの負担になるのでは」など考えないといけないことも多くあると思います。
次回は「保育園のSNSの始め方とステップ」で解説していきます。
(MiRAKUU vol.48掲載)