第16回 主任保育士と現場運営を考える②

前回に引き続き、園運営の中で現場の課題や工夫、時間の使い方、人材の活用の仕方について、風の森の主任保育士Y先生と検討していきます!
業務効率化とボトルネックの解消
野上:効率化という面で、保育の中で時間を有効活用するにはどんなことに気を付けたら良いでしょう?
Y:“ちょっとした中断”を減らす工夫が大事ですよね。保育を中断するタイミングを減らして、短時間で集中できる環境づくりができると良いと思います。保育を上手く進めるための教材や道具だったり、それを使えば必要な保育士の数を減らせるものがあれば、使った方が良いですよね。
例えば、水遊びをするのに小さいプールで何回も子どもを入れ替えるより、大きいプールがあればもっとスムーズに遊びや着替えができるということで、この夏は大きいプールを導入しました。
野上:古い物を大切にしすぎるあまり、業務効率が犠牲になるケースはよくあります。モノを大切に長く使うという意識ももちろん大事なことですが、道具が状況に見合っていない場合の判断には迅速さが必要ですね。
Y:購入を即断していただけて、今年はプール遊びがよリスムーズに展開できました。
野上:「モノに人を合わせる」ことはもう時代に合っていないですよね。限られた数の人しかいない訳ですから、「人に合わせて」考える必要が生じてきています。
“今あるもので何とかする”という考え方は一旦脇に置いて、何が業務の妨げになっているかを把握し、必要な設備や備品(モノ)を整える姿勢が求められるところです。我々はそこに投資して然りと考えています。
Y:限られた人数ということを考えたとき、保育土が滞留しているところがないか? 待ちを減らせないか? 探す視点も必要だと思います。
野上:業務フローの中に存在する「ボトルネック」(停滞や生産性の低下を招いているところ)になっている箇所を探すということですね。これを見つけて解消することは、業務効率化において非常に重要なポイントです!
Y:物を使うことで解決できる部分はないか、動線や配置を工夫することで無駄な移動や中断を減らせないか、現場を見て考えていくと、意外と見つかると思います。
子どもを待たせて人も使って2階から1階に折り紙や画用紙を取りに行くなどしているなら、最初から2階の保育室に折リ紙を少し置いておけばいいだけのことです。
野上:特に保育において、今までのやり方や進め方を大きく変えることに抵抗がある人は少なくないでしょう。しかし「やり方が複雑でも、今まで何とかやれていたからそのまま進めてしまう、これからもできる」は間違いです。これを変えないといけません。長く働くことを考えると、きっちり時間内で終わらせる仕事にしていかないと。
Y:それにはやはり、何ができていないか? 何に時間がかかっているか? の見極めが大事ですね。細ごました保育の内容というよりも、全体の流れを見られる人が必要だと思います。
野上:ボトルネックになっている部分について、人、モノ、工夫、いずれかで解決できるかをきちんと検討し、整理していけると良いですね。改革にはある程度の試行錯誤は必要になると思います。運営に100点はないですからね!!
現場×経営層

Y:うちの法人では起こらないことですが「現場の滞りや煩雑さを上層部が分からない」という問題は大きいですね。それが原因で自分の求める保育ができず転職してくる先生も多いですよね。
野上:上が変わらないと現場は変わらないですからね。経営層や上長が現場の困りごとや課題(例えばPCの故障や不足、非効率な業務プロセスなど)を理解することは不可欠です。これはもう上層部が現場に顔を出して話を聞かなければ分かりません!
Y:風の森では、例えば機器の不調があるとき、人間関係で問題が発生したとき、保育業務で新しいアイデアを相談したいとき、どんなときでも、本部(経営陣)がすぐに現場に駆けつけてくださいます。飛んで来てくれると言っても過言ではないですね。そのことが円滑な現場運営を導いているのは間違いないと思います。
野上:我々経営陣と現場、ともに理想や目標に向かうための方針や意見が両方通行であることが必須ですね。組織全体が変化を受け入れていかなければ改革は成功しませんから。
Y:園長や主任は現場経験が農富な一方で、「自分は過酷な環境でやってきた」という自負やプライドがあり、変化に対応しづらいというケースもあるように思います。
野上:園長や主任は特に「他人の時間にセンシティブになる」というのが大事な概念かもしれませんね。やはり、人の采配とともに時間の組み立て方も重要な要素になってきます。
Y:今目の前の“これ”が何に繋がるか、想像できないといけません。「効率化」や「時間できっちり終わらせる仕事」のためには、園長主任はもちろん、現場のスタッフ一人ひとりに思考力が必要だと思います。私はいつもスタッフの皆さんに助けられています!
野上:そうですね、組織はチームですから。時代やニーズの変化に合わせて、チームとしてバランスを取りながら運営していくことが求められています。
Y:“一人担任”でも“一人”ではないですからね。そこにはチームワークが欠かせません。園長ワンマンも主任ワンマンも良くないです。
野上:その上で、経営層でのマネジメントにおいては、いかに人を活用するか貪欲さも必要です。風の森の働き方改革は、チームの力によって成し遂げられています。
さて次回は、「時間の使い方」について、現場で“うまくいかない”理由と是正の仕方を具体的なケースで考えてみたいと思います。
(MiRAKUU vol.53掲載)
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- 社会福祉法人風の森 統括
学校法人野上学園 主事
株式会社野上アカデミー 代表取締役
一般社団法人キッズコンサルタント協会 代表理事
大手シンクタンクにて、コンサルティング、採用、営業を経験した後、人材紹介会社にて事業部の立ち上げに従事。営業部長として複数の部下をマネジメントする傍ら、女性のための人材紹介サービスの代表も務める。自身の妊娠を機に久我山幼稚園の運営に携わる。
成長著しい時期である0歳~9歳(シングルエイジ期)においての一貫した教育を提唱し、子育てひろばや学童保育、6つの認可保育園を開設。
また、キャリアカウンセラー資格を活かし、保育士のための仕事紹介サービス『保育ウィルキャリア』も主宰し、自園以外の保育士のキャリアに対しても寄り添う。幼稚園の採用のみならず、認可保育園を毎年1園ずつ増やす中で、独自の採用手法により、国基準の2倍の保育士確保を実現。現在、業界に先駆けて保育者の働き方改革を実践している。



