第18回 読者からの質問にお答えします! いつも割座で座るのは横抱きをしているせい?(後編)
前回までのお話
ちょうど先日オンラインで、生後8か月のお子さんを診させていただきました。
全く同じ状態。オンラインで診療している間も終始、抱かないという約束をしても親は動いたら抱いてしまいます。親に絶対に抱くなと指示し、見守ることで、スマホで様子を追ってもらいました。椅子があったり、机があったり、上の子どもさんの遊び道具があったりして大変な状態ですが、その中で、だんだん器用に手と足を使ってつたい歩きをはじめました。後ろに転んでも大丈夫なマットの上という約束をしてありますので、それ以外の場所に行くときは、向きを変えてもらい、次の興味のターゲットの方向を向かせます。つたって歩きながら、時どきはハイハイ、そして、少し高ばい、足の指で蹴るようにハイハイ、そして、転んだりしています。でも見守るようにしてもらいました。危ない時はすぐに駆けつけますが、転んでも危なくない場所を作るのも親の役目です。すると30分くらい全く親の元には来ませんでした。目線が上がり、親とは、時どきアイコンタクト。その間お母さんとは、成長、発達のことを話しています。こんなに子どもを自由にしていることは初めてですと話していました。
その日の夜、メッセージが届きました。タオルでの枕、そして大の字に寝て、口はキリッと締まり鼻で呼吸する、触っても起きないと。しかもツルムラサキ、人参、オクラを食べたと。食べたと言ってもかじっただけかもしれないけれども自分で食べたと。子どもの成長を止めていたのは親だったと語ってくれました。
今度は興味を持たせ、日常の生活の中で学習です。歯ブラシも指導するので、この時期は1か月に1度ではなく、2週間に1度位が適切です。できれば、動き回れる手づかみ食べの保育園に、生後2か月程度で預けるのが良いのですが、日本では良いコミュニティが無いので、良い保育園を探すのも必要です。ヨーロッパでは3歳までは砂糖の味を覚えさせないこと、そしてスウェーデンでは、20歳までに虫歯を作った母親は知識と教育がなかったのだと断言しています。1歳半での親からの自立は世界標準ですが、日本では、おむつが2歳になっても外れません。私の子どもの頃は、おむつが生後半年以内で外れないと問題としていました。
おむつが外れるから、立つことができるのです。そして歩くことができるのです。厳しいようですが、子どもの未来のために、発達……つまり子どもが自分でできることを楽しむ親になってください。子育ては、親が楽をすればするほど、後々大変になってきます。5歳までに教育を終えると、30代になった時に人生に大きな違いがあるとハーバード大学、そしてスタンフォード大学も同様な研究結果を世界に発信しています。子どもの問題ではなく、親の知識と教育、そして学習の場が子育てだと理解すれば、夫婦が仲良くするオキシトシンをたくさん家庭にばらまく環境が、子育てで最も良い環境だとわかります。子ども達は、親の過干渉で成長を止められ、後に、親の言葉に対して反発します。
0か月から1歳まで急速にできることが増えます。1歳までに立ち上がって、歩きはじめ、そして1歳2か月では、吹き戻しも、雑巾がけも、走り回ることすらできるようになります。
1歳半になると、奥の歯が生え始めます。すると脊柱の発達は、3度目の変換点を迎えます。抱っこが多かった子ども達は、この時点で、大きな成長や発達の違いを口の中だけでなく、姿勢、態度、学習、顔の形状、視野、食べ物、などすべての生活習慣、歯並び、顎の形状、知勇、顔面の発達の問題は誰が見ても明らかに違いが出てきます。人生が、与えられるものと、自分で獲得するものでは大きな違いがあるということです。
6歳位の子ども達に、どうしてできないのと聞くと、親に全部やってもらったから僕はできないと言います。今の子ども達の問題は、全て、子どもという人間をペット化して可愛がって、楽をさせてしまうために、何もできない子どもにしてしまっているということです。0か月から1歳までは、とてつもないスピードで、子ども達は成長し、発達します。大人の時間で5分が子どもの成長にとっては1日ぶんの時もあるのです。起きている間が成長、発達をさせるチャンスですが、寝ている間もこの時期までは、原始反射で、顔、体型を変えていくこともできるのです。この知識が睡眠と大きく関係してきます。人間だけができるノンレム睡眠を獲得できるかどうかです。
本来、人間、ホモサピエンスが生き残ってきた歴史を、生き残れない歴史に変えられてしまっています。ネアンデルタール人という、筋肉も能力もホモサピエンスよりも優れていた文明を作ったのに、核家族化して滅びていった民族の育て方になってしまっているようです。
歴史が今、コロナの影響で問われる時代になってきています。
未来のために、知識と教育を受けた親に子どもが教育を受ける必要があるのが、今、これからの社会に対して、最も大事なことです。子どもは無限の可能性を持っています。それは、自分で獲得するものです。親は見守り、毎日の成長でできたこと(発達)を楽しんでください。
(MiRAKUU vol.33掲載)
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- 新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
『かわべ式 子育てスイッチ ~生まれた瞬間からグングン発達する88の秘訣』(エッセンシャル出版社)好評発売中。
ホームページ:http://www.miraishika.net/
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