2020.07.15
MiRAKUU対談

動画の力を使って毎日を楽しくしてほしい──東京ハイジさん

動画の力を使って毎日を楽しくしてほしい──東京ハイジさん


好きなことはやめられない

編集長:いつごろから活動されているのですか?

ワカバ:20年ぐらい前です。

トモコ:デザインフェスタという自分で作ったものを売るイベントに、東京ハイジとして出展したんです。そこがスタートかな?

編集長:けっこう長いんですね。そのころはまだYouTube って一般的ではなかったと思いますが……。

ワカバ:始めは、 あるファミリー向け子育てポータルサイトで「はみがきのうた」や「へんしん! おでかけマン」などの子ども躾シリーズ的な動画を載せていたんです。人気があったんですが、1年くらいでサイトが終了してしまったんですね。そうしたら、私のところに「「はみがきのうた」がないとうちの子が歯みがきをしないんです」というメールが殺到したんです。それで、どこかにアップしないといけないと思って。自分達のサイトもあったんですが、当時はそのサーバーだと動画を載せるには重くて、YouTube を使うことにしたんです。

編集長:お姉さんのトモコさんが脚本と音楽担当で、妹のワカバさんがイラストとアニメ担当なんですね。トモコさんは小さいころから音楽や脚本を作るのが好きだったんですか?

トモコ:そうですね。ずっとピアノも習っていて、音楽は大好きです。お話を作るのも好きです。うちは私が一番上で、次がワカバ、一番下が弟という3人きょうだいで、小さいころはいつも3人で遊んでいたんです。今日はこのお話で劇をしよう、配役はこうしようとか、今日は作曲しようとか、ラジオ番組作ろうとか、私が主導で遊んでいました。大きくなってからは、パソコンやら色いろなツールが使えるようになったので、ハイテクな感じの作品ができあがってきて、それがだんだん仕事になったという感じですね。今も小さいころの遊びの延長っぽいところがあります。
ワカバは絵が好きで、小さいころからたくさん漫画を描いていましたよ。

ワカバ:でも特に絵の勉強をしたことはないんです。大学のころにパソコンに出会って、そこからどんどん色んなものを作るようになりました。

編集長:小さいころからの特技を活かして、今仕事になっているっていうのがすごいですね。

ワカバ:でも、上手かったわけじゃないんですよ。美術大学に入れるほどではなかったし、就職活動でも下手くそってことでどこにも採ってもらえませんでしたし。

編集長:そうなんですか?

ワカバ:でも、それでも絵を描くのってやめられることじゃないので、続けて。

編集長:まさに継続は力なり、ですね。

自分が作っていて楽しかったものは反応が良い

編集長:子ども達が本当に楽しめる動画作品を作るコツってありますか?

トモコ:ちょっと汚い話なんですが、わりとうんこネタとか好きで、子どもともよくそういう下品な話をします(笑)。大人になっていないとも言えますが、そういう気持ちを忘れていないというのはあるかもしれません。とにかく子どもと一緒に楽しくなりたいというのが基本としてありますね。

編集長:では、「はみがきのうた」は歯みがき嫌いをなくそうという大人からのメッセージ的なテーマではないのですか?

トモコ:そうですね。子どもって歯みがきを嫌がる子多いじゃないですか。でも、嫌いな歯みがきも実はこうやって考えると楽しいよ、と言いたかったんだと思います。

編集長:なるほど、子ども側なんですね。
今まで動画制作、発表をしてきて、驚きや発見などありましたか?

てあらいぴっかぴか

トモコ:やっぱり、自分が作っていて楽しかったものは、子どもも反応が良いですね。

ワカバ:逆に大人の意見が強くて言われるままに作ったものはあんまり再生数が伸びなかったりします。

編集長:如実に表れるんですね。ちなみに、今おすすめの動画は何ですか?

おはなしからはじまるおやすみ動画~まんじゅうこわい&てぶくろ~

ワカバ:1つは手洗いの歌。それから、おやすみ動画です。今、子ども達の睡眠リズムが崩れているんです。そうすると親も子も寝かしつけが大変ですよね。それで、子ども達が寝られるように本気でおやすみ動画を作りました。うちでも毎日試しているんですが、100%寝落ちしてくれますよ!

編集長:すごい! 早速使います。

ワカバ:ただ、自分も寝落ちします(笑)。

先生に会えるだけで子どもは楽しい

編集長:今のSTAY HOME 期間におうちで何をしていますか?

ワカバ:子どもと一緒に人形の服を作ったり、折り紙を折ったりして毎日楽しんでいます。みんな何かしら作ってるんですよ。お友達では、ペットボトルで筏いかだを作っている子や、お神輿を作っている子もいます。みんな作ることに目覚めているという気がします。

トモコ:確かに創作意欲は湧いているかも。私はゲームばっかりしていますが、一方でもう3曲作っています。異例の速さです(笑)。

編集長:登園できない園児さんのために動画を作っている保育士さんもいますね。

トモコ:動画を先生が配信するってすごくいいことだと思います。顔を見せてもらえるだけで本当に楽しいと思う。

ワカバ:自分の先生が映っているだけで子ども達は安心するので、やさしい言葉をかけてもらえたらいいですね。

編集長:最後に、読者にメッセージをお願いします。

ワカバ:園の先生は、子ども達の心の拠り所になっていると思います。先生を嫌いっていう子、お目にかかったことがありません。それに、毎日24時間家に子どもがいたら、親は子どもを邪険に扱うようになってしまうから、お母さん達は本当に助かっているんです。
お母さんて、みんな頑張り屋さんなんです。自分もそういう時があったのですが、色いろ考えて、頑張らないのが子どもにとっても自分にとっても一番いいんだということになりました。だから、頑張らないって決めたんです。先生もみんな頑張り屋さんですよね。子どものために、親のために色いろなことをしてくださいます。でも、頑張らなくていいです。先生はただ子どもを包み込んでくれるだけで、それ以上は親は望みません。ニコニコしててもらえればなって。

トモコ:東京ハイジの動画って、毎日の歯みがき、ご飯、着替えなど、生活のニーズに合った曲がけっこうたくさんあるんです。動画を見て歌を覚えたりすると、いつも何気なくやっていることがすごく楽しくなってくると思います。ぜひ保育の現場でも、そういう動画の力を使って、毎日を楽しく、楽にしていただければなと思います。

※今回は新型コロナウイルスの影響を鑑みてオンラインにて取材させていただきました。

東京ハイジ 経歴
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  • 東京ハイジ


    姉のササキトモコが脚本と音楽、妹のササキワカバがイラストを担当する、青森県出身の姉妹クリエイター。それぞれが子育てをしながら「大人からの押しつけではなく、子ども達が本当に楽しめる動画作品」を目指し、YouTube「東京ハイジチャンネル」を中心にキッズ向けの作品を数多く発表。チャンネル登録者数は30万人以上、総再生回数3億近く。特に「はみがきのうた」はファミリー層を中心に「子どもが自分から歯を磨くようになる」とクチコミで広がり、代表作となった。

    ホームページ:https://tokioheidi.com/