世界発信のツールを子どもと一緒に使うことで新しい世界へ──山田まりやさん
病気を機に食と向き合う
編集長:早いうちから芸能界に入られて、バラエティ番組やウルトラマンダイナ等でご活躍されていますが、小さいころから芸能人になりたかったのですか?
まりや:そんな気は全然なかったんです。学校がちょっと苦手だったので16歳で結婚して家庭に入りたいなぁと思っていたのですが、14歳の時にスカウトされました。実は、父がお酒を飲むと暴れる人だったんです。母が夜泣いているのを見ていたし、10歳離れた弟もいたので、仕事をすれば親を離婚させて、かつ母と弟を養えると思って芸能界入りしました。
編集長:そんなきっかけが! 今は主にどんな仕事をしてらっしゃるんですか?
まりや:TV、ドラマ、ラジオ以外に元々年に3~5本出演する程舞台が好きだったんですが、今は地方に長期滞在する舞台などは年に1回ぐらいのペースで出演させていただいています。
編集長:出産を機にそういう仕事のペースに?
まりや:いえ、その前からです。23歳の時、クローン病の疑いがあると言われたんです。クローン病は原因不明の炎症性腸疾患で難病にも指定されていて、薬や手術で良くなることはあっても完治することがないんです。下痢と嘔吐を繰り返して、お腹もキリキリ痛んで、トイレから30分以上出てこられないなんてザラで、仕事を選ばざるを得ませんでした。
編集長:そんなことがあったんですね。今は大丈夫なんですか?
まりや:良い鍼の先生と出会ったんです。先生の指導で断食したら、胃も腸も空っぽになって、空を飛べるくらい体が軽くなって、劇的に体調が変化したんですよ。西洋医学と東洋医学では考え方が違うのでどちらが良いとか悪いとかではありませんが、少なくとも私にはその鍼の先生が合っていたようで、薬なしで完治……かどうかはわかりませんけれど、今は全然症状が出ていない状態です。でも、前まではバラエティで無茶がききましたが、良くなってからもそういうことが一切できなくなってしまいましたね。
編集長:緩解できて良かったですね。やっぱり食べ物って大事なんですね。
まりや:そうなんです。食べ物を変えただけでこれだけ体が変わることに感動して、マクロビオティックと漢方と薬膳の資格を一気に取りました。
症状も大変なんですけど、トイレに閉じこもったりするのでサボっていると誤解を受けたりもするんです。そういう難病を、食生活を見直すだけで治せた私はすごくラッキーだと思います。だから、そういったことを今苦しんでらっしゃる方にもお伝えしたいと思って、講演会を回らせていただいたりもしています。
YouTubeはプロを育てる気持ちで
編集長:お子さんの崇徳くんと一緒にYouTube チャンネルを開設されてますよね。
まりや:はい。親子でYouTube に出るにあたっては賛否両論を覚悟していたのですが、むねくんも芸能事務所に所属していますし、生半可な気持ちで出ているわけではなく、プロを育てるつもりでやっています。これは芸能活動においてのプロというだけではなく、生きていく上で、コミュニケーションのプロであってほしいというのもあります。社会において人との関わりは避けられませんよね。色いろな年齢層、色いろなタイプの人がいる中でも、自分の芯が通っていれば、苦手意識を持たず、誰も傷つけず、協和して生きることができるんじゃないかと思うんです。
編集長:動画を作るにあたって気を付けていることはありますか?
まりや:私の中でひとつ決めているルールは、他者を傷つけないということですね。もちろん悪口もNG。ただ、個人的に食の大切さは伝えたいので、すべて自分が体験したありのままをお伝えしています。
ムネまりチャンネルは、親子で出ているというところが個性だと思っています。親だけの力だと、子どもに伝えたり学ばせたりするキャパシティが狭いと思うんです。そこを、YouTube という世界発信のツールを一緒に使うことで、色いろな刺激を与えられるなと。もう、今までの自分の感覚とは違う世界が広がっているんですよ。歳の開きが33歳ある親子が、何を感じてどう楽しんでいけるのかを伝えることで、みなさんの「やってみようか」というプラスの動機、きっかけになったら嬉しいなと思っています。
生きる自信の貯金をたくさん貯めてあげたい
編集長:子育てで大切にしていることは何ですか?
まりや:その時々で、息子の熱量の高いものを常に応援してあげようということです。今、事務所で受けさせていただいているアクションのレッスンにどハマリしています。レッスンを受け始めて1週間たたないうちにバック転を習得しだして。
編集長:すごいですね! 先が楽しみです。ウルトラマンに出られたら嬉しいですね。
まりや:そうですね。ウルトラマンのDVD はずっと隠してたんですが、見つかったとたん、どハマりしたんですよ。当時5歳のむねくんは、本気で地球を守ろうと思ってましたね(笑)。
思春期に入るまでの自己肯定感、生きる自信の貯金がどれだけ貯められるかがすごく大きいと思うんです。私は親の不安が子どもに伝染するということを経験しているし、自己肯定感も低かったので、息子には生きる自信、人格形成における部分でのアシストを極力してあげたいなと思っています。生き抜く上で、心も体も健やかにたくましく育ってほしいというのが願いですね。
編集長:最後に、働くお母さんや現場で働いている保育士さんに向けてメッセージをお願いします。
まりや:私は産後3か月で仕事に復帰して保育園を利用したんですが、母乳で育てたいとか色いろ育児のこだわりがあって、そういうことにも対応してくださいました。3歳で幼稚園に入園して、環境や友達が変わって不安な中、幼稚園の先生方は大きな愛で包んでくださいました。もう、保育園の先生にも幼稚園の先生にも、一生足を向けて寝られないくらい感謝の気持ちでいっぱいです。
大変な職業だと思うんですよね。一度にたくさんのお子様を預かって安全に気を配り、それぞれの個性を伸ばしてあげなくちゃいけない。それでいて、子ども達もお母さんも心の底から安心できるような笑顔で毎日迎え入れてくれるっていうのは、ナイチンゲールのよう。白衣でこそないけれど本当に天使だと思います。自分の子ども一人を見るだけでもこれだけの労力を使うのに、複数の子ども達のエネルギーを毎日受け止めるのは体力的にも大変だと思いますが、健康に留意してがんばっていただきたいなと思います。
※今回は新型コロナウイルスの影響を鑑みてオンラインにて取材させていただきました。
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山田まりや
1980年3月5日愛知県生。1996年デビュー。第1回ミスヤングマガジングランプリを受賞。グラビアアイドルや数多くのバラエティ番組、女優として活躍。2008年草野徹と結婚し2012年男児を出産。2013年、難病クローン病との10年にわたる闘病生活を公表。
執筆業としても『MARIYA’S OLU OLU Hawaii 山田まりやの家族で行くリフレッシュハワイ』(トランスワールドジャパン)を初め多数出版。また、2020年は息子草野崇徳と親子で公式YouTubeチャンネル「ムネまりチャンネル」を開設し、これまでの山田まりやだけでなく母親としての顔も覗かせ、話題を集めている。