第12回 病気や障がいを防ぐにはどうしたらいいの?(後編)
3歳になってもおむつが外れない子や、5歳になっても噛んで飲み込むことができない子が増えています。親の言うことは聞かない。多動。何もできない。やる気がない。好き嫌いが激しい。硬いものは食べられない。濃い味でないと食べないなどの子も多いです。
病気はどうして起こるのでしょうか? 感染はもちろん、その人の体力、運動機能、置かれている環境、親からの影響、そして教育という人間特有の世界が、この問題の根底にあることがわかってきました。この問題は、成長、発達の過程で、必然的に作り出される状態の変化なのです。
どんなに良い保育園で乳幼児期を過ごしても、就学したとたん、40分間も足がつかない椅子で背もたれにもたれることを指示されてしまいます。この時点で、病気の根源である座り病が起こってしまうのです。教育の場で子ども達の異変を作るのですから、大変な国です。乳幼児の頃から正しい呼吸、嚥下のトレーニングを行なってきた子ども達も、この段階で、様ざまな呼吸と嚥下に関連した問題を抱え始めてしまいます。
また、カンガルーケアに代表される抱っこのしすぎ、母乳育児推進によるおっぱいの与えすぎで、運動障害、呼吸と嚥下の障害が起こります。親の教育がないために、子ども達の未来は大きな犠牲を払うことになっているのです。
おっぱいの与えすぎは逆流性食道炎を引き起こしますし、胃酸過多、胃下垂、胃拡張、内臓下垂を起こす原因となる胃酸を作り出す細胞が、今や私の子ども時代の1.5倍になっていると研究でわかってきました。歯並びが悪くなる原因も、病気になってしまう内臓機能の問題も、呼吸機能の問題も、虫歯になる原因も、風邪をひく原因も、インフルエンザになる原因も、癌になる低体温の原因も、糖尿病の原因も、少子高齢化の原因もわかってきました。どうして起こったのでしょうか?
そのルーツは教育そのものにあったのです。この国は、小学校の教育にダイレクトなお金の教育も子育ての教育もありません。ましてやセックスの教育も、人間に必要なものの教育はすべて外されてしまっています。お金持ちが汚いかのように育てられる国、健康に対しても全く教育がない国。呼吸と嚥下の教育など全くされておらず、飲み物と食べ物とは全く違う嚥下なのに、その機能が最初の時点で破壊されているから、成長しても大人になってもできないのです。その問題が、病気だけでなく、心の問題にも関係する睡眠障害にも、生きるために食べることができないという老人の嚥下障害にも繋がっていくのです。
日本は、寝たきりと延命にお金を使い、医療にも教育にも健康にも全くお金をかけていません。寝たきりをなくす政策と、人生の最初から教育を行うシステムを作り上げ、5歳までにすべての生きる教育を終えて、あとの教育費はほとんど必要ないという子ども達ばかりになれば、この国の未来の経済も、教育も、健康も変わるでしょう。できる保育園、歯並びを良くする保育園、子育てが楽になる保育園の構築は、社会全体を変えることになるのです。
呼吸と嚥下の問題は、生後2週間程度で決まってしまいます。はっきり言えば、最初のおっぱいの与え方で決まります。
たとえ脳の障害があっても、母体内にいる頃からの親のトレーニングと、五体満足であれば生後1か月までに、アイコンタクトによる視野の確保、抱かないことと触れることの原始反射利用の子育てをすることで、人生の最初のスタートで呼吸と嚥下のシステムを作ることができます。鼻での呼吸を獲得し、抱き方、触れ方を変えることで成長は全く違い、親も楽に育てることができます。
【写真1から2への変化】
11月25日に2人目の孫が生まれました。おっぱいの与え方、指でのトレーニング、原始反射を使った子育て、枕の作り方を指導してきました。
原始反射は、前頭前野の発達とともに、中枢に関係深い反射から統合されていきます。生きる力に最も必要な反射は、脳に統合されます。前頭前野が衰えると認知症になりますから、成長、老化に大きく関わっているこの部分は、判断力と、痛みに対する様ざまな機能を持っています。原始反射を刺激することで、前頭前野の発達と反射の統合を促していきます。
【写真2】
生後4日目の鼻の高さです。上鼻道という鼻の上の部分を使えるようにできるのは生後1か月以内で、生後2週間位に使えるようにすると最も完成度が高くなります。
1か月経つと、すでに頭の形状の変化が見られます。原始反射を利用して、触れることで体をしっかりと動かすようにさせます。
【写真3】
ふわふわのタオルで、顎を引いて唇を閉じるようにできる形状の枕を作ります。
赤ちゃんは環境が変わると起きるので、泣いても舌が上がり、お腹がぺっこりと凹むまで原始反射を使ったり、枕の高さを調整したり、グローブをして口の中を触れたりというトレーニングをします。この時期にこれらのトレーニングをすると口元を締める力がすぐに変わりだし、吸い方が全く違ってきます。
親は、原則としておっぱいの時以外は抱かないようにします。アイコンタクトをしっかりとし、体のそこら中に触れて様ざまな反射機能を確かめます。お腹が硬くぽっこりしていたら、腸ガスがたまっている状態なので、お腹に手を当てて体に触れます。おっぱいの時は、反らないように、力を入れず軽く抱きましょう。おっぱいは深く、鼻を塞ぐくらいがこの時期には適当です。子どもを抱く時間が15分以上あると頭部の変形、骨格の問題、呼吸の異常を招きます。また、抱くことで親の顔が下にくるため、目線を上げることが下手になります。
生後20 分程度で目が見えるようになり、数日で様ざまなものを見ます。実際には目を求めており、目と間違えてカメラのレンズを追ったりします。できる限り15分程度の間隔で、体に触れたり、体勢を変えたりします。
本来はこの時期に親のトレーニングを行います。(生後2か月まで)
【写真4】
1か月で、このようなはっきりとした顔になります。
枕で唇を閉じられるようにすることで、寝ている間に気道をしっかり作り上げます。睡眠障害をなくし、鼻での呼吸を整えることができるのもこの時期です。
抱くと反ったり、口ポカンになったりする子どもは逆で、良い姿勢になると気道が狭くなり、悪い姿勢をすると気道が広くなります。良い姿勢をすると苦しいので、楽になろうと悪い姿勢をとります。この繰り返しにより口蓋扁桃の炎症が起きます。
この問題の解決は通常は薬で治したりしますが未来歯科では発声・発音のトレーニングで良くなることがほとんどです。親子ともども子育てによって成長することになります。反らないことは、口呼吸を防ぐ第一歩でもあるのです(生後1か月くらいまで)。
(MiRAKUU vol.27掲載)
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- 新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
ホームページ:https://miraishika.com/
未来歯科アカデミー:https://miraishika.com/academy/
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