2023.10.15
保育士・幼稚園教諭向けマネジメント講座

第7回【人材育成について】人を育てるために必要な評価制度

ハピニコマスター★ヨンヨン先生の\保育士・幼稚園教諭向け/マネジメント講座──第7回【人材育成について】人を育てるために必要な評価制度

前回のおさらい

最後は、人材育成についてです。人がやる気を出すには、採用、適材適所、教育、リーダー、評価という5つの条件があると私は思っています。必要な──優秀な、ではありませんよ──人材を採用して、その人達の能力が活きる場を与え(適材適所)、能力を伸ばす教育を与え、その人達を成功させるべく奮闘するリーダーがいて、そして頑張った人達に報いる評価を与える。人を育てるには、この5つにしっかり釘を刺すことだと思っています。(第0回より抜粋)

人材育成について

編集部: 今回は引き続き「人材育成」について学びます。前回の記事は採用活動をする上でのお悩みに対する内容でしたが、今回は評価制度について学びます。
ある園長先生からはこんなお悩みが届きました。

読者のお悩み①

長年園長として勤めてきましたが、そろそろ次の世代へ譲りたいと考えています。しかし、今の園では主任や園長になりたいという人がなかなか出てきません。どうしたらキャリアアップして上に行きたいと思う人が増えるのでしょうか?

嶋津: バトンを渡すべき次世代を輩出できない現状はとても危機的状況でお困りかと思います。キャリアアップを目指してやる気のある次世代を育成するためには、まず、自分のキャリアプランがイメージできるしっかりとした評価制度を導入することが必要不可欠です。園運営において評価制度は先生方に頑張ってもらうための目標や方向性を示す役割を担いますので、評価制度がないということは、園運営においても重要な目標や方向性がないということになるからです。先生方がいつまでに、何を、どのように頑張ったら、どうなることができるのか? そして、自分はどのように評価をされ、給料はどれくらいになるのかといった進むべき先が見えない状態で業務にあたっているようなものです。適切な評価が、適切な行動を引き出します。適切な評価がなければ、やる気も続きません。また、仕事に対するモチベーションを高めるためには、そのための目標も必要です。「評価基準」「目標」「園が向かうべき方向性」を明確にしていきましょう。

評価制度の作成にあたっては、先生方の意見や声を積極的に取り入れることをおススメします。なぜなら、日々の教育現場で多くの経験を積む先生方に評価制度づくりに参画いただくことで、より現実的かつ実践的なものとなるからです。
更に、評価制度が先生方の意見やニーズを考慮して作られたものであれば、自身が尊重されていると感じ、共感や信頼、モチベーションも高まり仕事に対する取り組みもより一層活発化していき、魅力ある園へと繋がっていくのではないかと思います。
評価制度はただ単に賃金や賞与を決めるためだけのものではありません。お金やポストだけで「やる気」を引き出すのには限界があります。先生方に主体性をもって成長してもらう就業環境の実現のため、いかにやる気を引き出す評価基準・目標・園が向かうべき方向性を整えていくことができるかが評価制度の決め手だと考えます。

そこで、評価制度の導入を成功させるための6つのポイントについてお伝えします。

  1. 評価制度の内容をオープンにすること
  2. 評価制度の内容について、皆さんで話し合い決めること
  3. 評価制度は公平性のあるものとすること
  4. 目指すべき成長が「点」ではなく、園の方針と「線」でつながる一貫性があること
  5. 評価制度の内容は、各個人の身に降りかかってくることなので、自分にとってマイナスと判断した先生は抵抗勢力となりえることもありますが、自信を持って徹底してやりぬく信念を持つこと
  6. 導入したらそれで成功ではなく、常にメンテナンスを欠かさず、より納得度が高いものにしていくこと

中でも一番のポイントは⑥だと考えています。どんなに素晴らしい評価制度でも、先生方が納得していなければ、モチベーションは下がり、保育の質にも悪影響を及ぼします。逆に、他園から見ればどんなに出来の良くない評価制度でも、それによってモチベーションが上がり、先生方が頑張って自身の成長を実現し、保育の質も向上できればいいのですから、制度の良し悪しよりも「納得感」が大切です。

貴園にマッチした評価制度を作ることで、先生方が楽しく、イキイキと自ら前向きに考えチャレンジして課題解決し、目標をクリアにしながら成長し、キャリアアップを目指していくことができると思いますので、ぜひ参考にしてみてください!

【ワーク】 評価制度がない場合は作成しましょう! すでに評価制度がある場合は、下記質問に関して、先生方と確認しましょう!

編集部: 次は保育園の本部の方からこんなお悩みが園から届きました。
園が増えれば人も増えるので管理も大変になりますよね。あなたの園ではしっかり頑張っている人に正当な評価を与えられていますか?

読者のお悩み②

今年から園を複数増やして運営することになりましたが、人が増えたこともありなかなか園のまとまりが出ません。評価制度も上手く機能させたいと考えていますが、保育士を評価する基準のポイントなどがあればぜひ知りたいです。

嶋津: 運営する園や働く先生方が増えたことで舵取りが難しくなり、どのようにまとめていけばいいのかお悩みの方も珍しくないのではと思います。
今回のようなケースの場合、園のまとまりを促進していくという点でも、先生方同士で円滑なコミュニケーションができるか、仕事の分担や責任の共有ができるかなど、チームとしての働き方や関係性を大切にできる人材なのかを重視したポイントを評価制度に設けてみるのも良いかと思います。

なぜなら、先生方同士で問題解決や意見交換ができる人材は、チームの能力強化の底上げにもなりますし、チーム全体の創造性や革新が、園全体としての更なる成長促進に繋がっていくからです。
また、しっかり頑張っている人に正当な評価を与えるために、定期的な結果のフィードバッグは必要です。評価をやりっぱなしでいると評価制度自体がどんなに公正だったとしても、評価される側である先生方の個人の納得や理解が得られにくくなってモチベーションは低下し、評価制度自体が意味を成さなくなります。
単純に評価を数値で測るのではなく、どんな行動が評価され、今後成長するためにどのような行動をしたら良いのか、プロセスを重視した制度設計へとメンテナンスされると良いでしょう。

そして、先生方個々のモチベーションを上げるための評価制度と連動した「教育訓練」を設けることもおススメします。適切なトレーニングや学習の機会を提供することで、先生方の潜在能力を引き出すことができ、専門性の向上も期待できるでしょう。結果、働きがいが向上することにより保育の質やチームのパフォーマンスを向上させることも期待できるかと思います。
制度設計は大変な作業ですが、強い園運営作りのヒントとなれば幸いです。

【ワーク】各職務等級(役割)ごとに、下記項目を一人ひとり定義づけられているか確認しましょう。

総まとめ

今回でマネジメント講座の連載は最終回になります。マネジメントと聞くと難しいイメージがあったかと思いますが、実際の園のお悩みを基に学ぶと身近に感じることができたのではないでしょうか。
チームで働く先生方にとって、毎日一緒に働く仲間との人間関係は仕事の質やプライベートにまで響くほど重要な部分です。先生方の精神が健やかであることが子ども達の笑顔に直結すると思います。
この連載をヒントに今ある職場の問題をそのままにせず改善していくきっかけになればと願っています。

嶋津先生の研修やお話に興味を持たれた方はぜひお問い合わせしてみてくださいね。

(MiRAKUU vol.44掲載)

嶋津良智(しまづ よしのり)
  • 経歴

    教育コンサルタント。上司学のプロフェッショナルとして、国内、海外で講演・企業研修・コンサルティングを行い、メディアにも多数出演。
    シリーズ100万部のベストセラー『怒らない技術』(フォレスト出版)をはじめ『子どもが変わる 怒らない子育て』(フォレスト出版)、『7日間イラオコダイエット』(EVO出版)など、著書累計は29冊で150万部を超える。
    主な役職として、一般社団法人日本リーダーズ学会代表理事、リーダーズアカデミー学長、早稲田大学エクステンションセンター講師を務める

     

    ブログ:https://www.okoranai.com/