りとせ相模大野こども園──自然と遊びから学ぶ、子ども主体の保育

りとせ相模大野こども園さんについて教えてください。

開園は令和2年4月1日です。最初の1年は「りとせ相模大野保育園」としてスタートし、令和3年4月から「こども園」として運営しています。定員は100名ですが、弾力運用を行い、現在151名をお預かりしています。弾力運用とは、園舎の広さ、職員の充足、利用者の希望に伴い、定員を拡大することができるシステムです。
園の特徴や力を入れていることについて教えてください。
当園は、コンセプトとして、4つの柱を掲げております。
1つ目の柱は、「スウェーデン保育」です。スウェーデン保育では、新五感の発達に特化しています。自然の中で思いきり体を動かし遊ぶことで、身体能力を育てるだけでなく、考える力や辛抱強さ、驚きや喜び、思いやりや協力する力を養っていきます。幼児期に新五感をバランスよく刺激することは脳の発達にとっても重要で、感性や好奇心、豊かな心を育む土台になると考えています。
また、基本的に子ども主体で保育を行なっています。やりたいことに挑戦できる環境を整える一方で、教育的な取り組みも行なっています。それが、2~4つ目の柱で、0歳児から絵本教育、2歳児から専門講師による英語教育、同様に2歳児から専門講師による体操教育を導入し、自然体験と教育カリキュラムの両面から子ども達の成長を支えています。
園内での具体的な取り組みについて教えてください。
アネビー社の遊具を導入し、発達に必要とされる“新五感”(視覚・聴覚・タッチ覚・バランス覚・ボディ感覚)を遊びの中で自然に育めるようにしています。0~3歳児には壁付け遊具を、4~5歳児にはごっこ遊びの道具を用意しています。例えば“りとせ銀行”を作り、売買を通してお金のやりとりや役割分担を体験します。子ども達は作ったものを売ってお給料を受け取り、小さな子はもらえること自体を喜び、大きな子は枚数を数えて確認するなど、年齢に応じた学びや気づきが自然に生まれています。



運動面での工夫はありますか?
園庭には砂場やジャングルジムを設け、屋内の3階ホールには肋木やボルダリングを設置しています。天候に左右されず全身を使って遊べる環境を整え、子ども達が思いっきり体を動かせるようにしています。廊下や階段も広めに設計して開放感を出し、ホールは発表会や体操スクール、保護者説明会など多目的に活用しています。
園内の環境や設備について教えてください。
駅からコリドー街を通って4分ほどの場所にあるので、保護者にとっては「自宅・こども園・駅」と通勤途中に預けられる利便性が大きな魅力だと思います。また、駅前には商業施設があり、コリドー街にも飲食店が多数あるため、当園の職員にとっても、通勤や休憩時間に外でリフレッシュできる豊かな環境が整っております。
地域とのつながりとしては、グループ園を含む連携園との交流や、ボランティアで清掃活動などを行なっています。以前、近くのスターバックスさんで幼児が職場体験をさせてもらったこともありました。ハロウィンの時期には商店街を仮装で練り歩きを楽しむこともあります。当園でも、夏祭りを開催し地域の方を招待したり、給食試食会や子育て相談のために随時見学を行なったり、園庭を開放しています。


食育への取り組みを教えてください。
園庭で野菜の苗から育て、収穫したものを給食で提供しています。食材がどのように作られて、どのように調理され、身体を作る源になるかを知ることが大切だと思います。
例えば、ジャガイモやニンジンを子ども達がピーラーで皮をむき、包丁で切り、給食室でカレーに仕上げてもらうこともあります。また、子ども達がトウモロコシの皮を剥き、ヒゲの数を数えたり、図鑑で調べたりするなど、食材から学びが広がることがたくさんあります。さらに、おやつのおにぎりは自分で好きな形に握って食べられるようにし、食べる楽しさと自主性を大切にする工夫をしています。
保育士さんが働きやすい環境づくりについて教えてください。
ノンコンタクトタイムの取得を推奨しています。必ず1時間は子どもと離れて休憩を取るようにしています。また、持ち帰り仕事を無くし、残業は月最大15時間までとしています。
さらに、適材適所で業務をしてもらうようにしています。例えば、ピアノが苦手な方は、ピアノ以外の得意な分野で活躍していただいております。
風通しの良い環境を作るため、月に一度の定例会を実施し、職員同士で意見交換を行なったり、振り返りと反省を行うことができる機会を設けています。


研修やスキルアップについてはいかがですか?
キャリアアップ研修をはじめ、市の研修に参加してもらっています。正社員の8割以上が、1項目15時間の研修を2項目以上受講しています。研修内容は園内に持ち帰り、報告会を開いて共有し理解を深めています。
園内研修では消防士を招いてのAED研修や消火訓練、警察と連携した交通安全教室など、命を守るための取り組みも行っています。さらに「いいとこ探し研修」というユニークな取り組みもあり、職員同士で互いの良い点を見つけて共有することで、普段気づかない強みを知り合える場になっています。
この園で育った子ども達に将来どうなってほしいですか?
園の理念にあるように「正しい心を持った子ども」「平和な心を持った子ども」「生き生きとした明るい子ども」に育ってほしいと思います。個人的には、相手の心に寄り添える“丸い心”を持った思いやりのある子に成長してほしいと願っています。
さらに、4つの柱を通じて、絵本教育では私達と同じ保育・教育者を、英語教育ではグローバルに活躍できる人材を、体操教育ではスポーツ選手をはじめ、多彩な分野で力を発揮できる人材を育んでまいります。
今後の展望を教えてください。
質の高い保育を提供し、子ども達の成長を支え続けたいと考えております。私達にとって「質の高い保育」とは、子ども一人ひとりに寄り添い、保護者やご家庭に寄り添いながら、きめ細やかな保育・教育を行うことです。子ども達の成長においては、4つの柱だけでなく、それぞれの個性や発達段階に応じた保育・教育を大切にしてまいります。
また、地域交流においても、イベントや行事を通じて、できる限り地域の皆様と積極的に関わりを持っていきたいと考えております。少子化が進む時代だからこそ、子育ての楽しさや喜びを実感していただき、そのことが少子化の打開につながることを心より願っております。
(MiRAKUU vol.52掲載)
りとせ相模大野こども園

住所
〒252-0303
相模原市南区相模大野3-16-18
アクセス
小田急小田原線・江ノ島線 相模大野駅より徒歩4分
開園時間
月~土 7:00~18:00
延長保育 月~金 18:00~20:00、土 18:00~19:00
連絡先
TEL:042-705-4500
FAX:042-705-4505