2025.10.15
保育園訪問【雑誌掲載版】

和敬保育園──子育て地蔵に見守られ、地域と共に歩む温もりあふれる保育園

和敬保育園──子育て地蔵に見守られ、地域と共に歩む温もりあふれる保育園

和敬保育園さんについて教えてください。

和敬保育園 代表理事・園長:小原 奈穂さん

もともと母子寮があり、昭和12年に母子寮にいる子ども達のために発足しました。最初は真宗の僧侶がやっていたのですが、その後、私の曽祖父が園長、曾祖母が母子寮の寮母として引継ぎました。
それから祖父、母が園長、私が法人代表となり、代々受け継いでいます。家族経営というとネガティブなイメージを持たれることもありますが、和敬は地域と共に永く歩んできた保育園です。

東京大空襲をくぐり抜けた園舎とお地蔵様について教えてください。

東京大空襲の時、曽祖父が母子寮の親子と共に避難しましたが、戻ってくると運よく建物は焼け残っていたそうです。その時、保育園や母子寮の人達だけでなく、自分達の食べる分がなくても地域の人にも食べ物を分けてあげたと聞いています。
建物は100年以上経っているので、耐震工事をし、毎年補修や修繕をして大切に使っています。きれいな今のものとは違う温かみがあると思います。
お地蔵様は、曾祖父母の功績を称えて、その供養とすべての子ども達の幸せと平和を願って和敬にゆかりのある方々によって建立されました。以来「子育て地蔵」として保育園を見守っています。東日本大震災でも被害がなかったというのは、守られている感じがします。

和敬保育園:「子育て地蔵」保育園を見守ってくれています。

和敬の保育について教えてください。

保育理念は「自ら考えて行動する子ども」です。それが一番大事だと思っています。保育士の指示だけで動くのではなく、自分で「今、何をするのか」「これはしてもいいのか」と考える。人間関係でも、自分の気持ちを大切にしつつ相手の気持ちも考えるというのを大切にしています。子どもだけでなく職員もそうあってほしいです。それをしっかり伝えながらみんなで協力しています。

保育内容として、編み物や縫い物で、手先を使うことを取り入れています。2歳までの乳児は紐通しや紐結びをし、3歳は毛糸で指編み、4歳からかぎ針、5歳になると模様編みのひざ掛けが編めるようになります。左右の手で違う動きをすることが脳の発達に良いという説があり、系統的に取り組んでいます。手の労働には他にもフェルトやトレーナーを使って、ぬいぐるみを作ったり、型押し版画や紙粘土をしたり、絵を描いたりします。造形の種類が増えすぎないように大事にしたいものだけを残していこうと考えています。
また、体育教室は幼児体育の先生に来ていただいて、マット運動や鉄棒からバスケットボールまでバランスよくやっています。

この地域ならではの良さは何ですか?

昔からの地域密着の保育園なので、親子3代で和敬卒だという方も多く、「和敬」と言えばわかる人が地域にたくさんいらっしゃいます。
東日本大震災の時、念のため近くの公園まで避難しました。その際、裏にある工場の方が子ども達の避難を手伝ってくれました。このように、行事など何かあるとお手伝いし合うという協力が当たり前になっていて、地域全体で子どもを育てているような感覚があります。
先生も永く働いている人が多く、卒園した子が「中学生になったよ」「成人したよ」と来てくれます。保育園も先生も変わらずあり続けるというのは、魅力の1つだと思います。

保育士さん達が働きやすい環境にするためにしていることはありますか?

勤務時間は早番・遅番関係なく8時間内に収め、休憩もきちんと取れるような配置にしています。今年度から残業を1分単位でつけられるようにしました。これまでは15分単位だっため、定時ギリギリにお迎えが来て保護者さんと話していると数分過ぎても残業代が出ない、ということが起きてしまっていました。確かに1日の数分ではあるのですが、それが積み重なっていくと膨大な時間になってしまいます。それが問題だと思ったので、1分過ぎた時点で残業代が出る制度に変更しました。
また、昼食は子ども達と一緒に食べ、食事やマナーの指導をしています。そのため食事時間は休憩時間に含まれません。その後交代で1時間の休憩を取っています。
連絡帳や事務作業等は、手書きの良さもあるのですが、負担が大きいと判断してタブレットやPCを増やしました。ICT化は効率とバランスを考慮して進めています。

研修はどのように行なっていますか?

使用している業務支援ツールにある動画での「スキマ研修」を取り入れています。5~15分程度なので、空き時間に見られます。今年始めたばかりなのでまだ完全に定着してはいないのですが、プラスになると思っています。
キャリアアップ研修は、未受講者を優先し、また受ける際には休暇の調整をしています。

ここで育った子ども達に将来どうなってほしいですか?

自分のやりたいことを楽しんでできるようになってほしいです。世の中には理不尽なこともありますが、そういった困難に直面しても折れない心を持ち、自分で考えて行動できる人、乗り越えていける人になってほしいです。

今後の展望を教えてください。

ゆくゆくは園舎を建て替え、子育てカフェのような地域の人も遊びに来られるような場所を併設したいと考えています。
保育園に通う子だけでなく、家庭で保育している親子、おじいちゃん、おばあちゃん、小学生など、色いろな人が遊びに来て、日々交流ができる。みんなで一緒に楽しめるような保育園にしていきたいと思っています。

(MiRAKUU vol.52掲載)

和敬保育園

和敬保育園:MiRAKUU編集後記

住所

〒174-0061
東京都板橋区大原町3-9

アクセス

都営地下鉄三田線 本蓮沼駅より徒歩4分
東武東上線 ときわ台駅より徒歩23分

開園時間

月~金 7:00~19:00
土 7:00~18:00

連絡先

TEL:03-3966-3723
FAX:03-3960-7083