好きなように一緒に遊べばそれは踊りだ!~踊りの中で遊ぶ、音楽の中で遊ぶ~──ラッキィ池田さん
ディスコからダンスに魅せられて
編集長:最初に、ラッキィ池田さんがダンスを始めたきっかけを教えてください。
池田:きっかけは、昔は不良のたまり場といわれたディスコに行き、それが非常に楽しかったことです。
中、高、大学までは、バレーボール部に入って部活をやっていました。
高校は都立江戸川高校で、校庭が広くて、小学生、中学生の頃テレビで観た「飛び出せ青春」という学園ものにあるような学校だったんです。
大学生になり、周りの遊んでいる連中が「ディスコっていうのがあるよ。」と教えてくれました。僕はそういう社交場を全然知らなくて、初めて行った時はカルチャーショックを受けました。そこから、今日に至るまで、ダンスが好きで。「魅せられてー」ってやつですかね。
僕の場合、踊る喜びもあるんですけど、観る側の楽しみ、踊りをどういう風に観ると楽しく見えるのか、そこにいち早く注目したんです。
踊りの中で遊ぶ、音楽と一緒に遊ぶ
編集長:最近では「妖怪ウォッチ」やAKB48の振り付け、「いないいないばあっ!」の振り付けなどもされていますよね。
池田:そうですね。他にも「にほんごであそぼ」なども手掛けています。
編集長:子ども向けの振り付けで、気をつけていることはありますか?
池田:僕の場合、未就学児のダンスは遊び、踊りの中で遊ぶ、音楽と一緒に遊ぶということがすごく大事で、右に振る・左に振る、右から・左からというようなことは一切関係なく「好きなように一緒に遊べばそれは踊りだ!」という風に思って作っています。
例えば、子ども達の中で誰かがダンゴムシを見つけると「何を見つけたの?」と2、3人がわあ~っと集まってくる……そんな風に集まるもとになる何かを作ってあげたいなと思い、気持ちが高揚して、何かウキウキするような振り付けを常に考えています。
発表会のダンス振り付けへのアドバイス
編集長:保育園や幼稚園では、先生が発表会の振り付けを考えたりする時に悩むことが多いと思います。先生への振り付けのアドバイスはありますか?
池田:そうですね。基本的なことってあるようで実はないんですよね。
ダンスには必ず音楽がありますよね。音楽の歌詞やメロディーに合わせて、自分ならどう動きたいかを考え、みんなが同じように、「いいものを作りたい」という気持ちで、その共通項を考えながら作ると一番いいと思います。
今は簡単にパソコンで音楽編集ができる時代ですから、例えば、頭のイントロが長いなぁ、間奏がいらないなぁということがあったら、カットしてしまっていいと思います。
あと、保育園・幼稚園で発表会をやるときに、人数が多いときは、下手な子を後ろにしないほうが絶対にいいんですよ!
編集長: そうなんですか?
池田:下手な子は、ど真ん中に持ってきた方がいいんです。
周りを上手い人で固める、アイドル方式。アイドルもね、センターで歌っている人って、そんなに上手くなかったり、周りがダンサーで上手かったりしてね(笑)。
下手な人を端におくと、本人も「俺って端だからさ」って向上しなくなるし、どんどんやる気がなくなって、なおかつ端っこで後ろだったりすると逆に目立つんです。
真ん中で、全体的な中では下手でも何か一つだけ最後にやらせてあげたり、その子が得意なことを一つやらせてあげると「なんだあいつおいしいな!」「よかったな!」となるので、バランスがうまく取れるのかなあと思います。
あるカテゴリーで秀でていなかったとしても、他のことでは得意だったりすることってありますよね。
下手な子がいる場合は考え方を変えて、この子をどう見せていくかっていうのがポイントだと思います。
子どもがしたいのは、アドベンチャーでワクワクするあそび
編集長:保育園・幼稚園に通っている子ども達は、どんな運動をしたらいいと思いますか?
池田:そうですね。自然の中でただ遊ぶのが子どもにとって一番いいんだと思います。
今はそういう場所がない地域が多いのですが、僕らなんかの世代は荒川の土手という広い遊び場があって、夏になるとバッタを取ったり、アドベンチャーワールドだったわけです。
自然の中には、草も木も、動物、小鳥、「妖怪ウォッチ」や「ポケモン」みたいなキャラクターもいっぱいいます。リアルな自然に触れてもらって、いろんなものに興味を持ってもらうということが一番大事だなと思います。
子どもって何事にも興味津々で、塀があったら乗り越えたくなるものですよね。
全く注意をしないということではなく、これは危ないことなんだよと教えつつ、自由にやらせてあげるくらいの気持ちでいるほうがいいのかなと思います。
ここ10年くらいで勉強したことですが、「いないいないばあっ!」のワンワンの周りで踊っている子ども達で、体操をちゃんとやっている子はあまりいないんですよね(笑)。みんなただ「ぼーっ」としているだけで「あれ?誰もやってないじゃん」っていうときがあります。
でも、子どもは何かをやろうとしているんですよ。やろうとしていることを、一生懸命やっているんだと見てあげることが重要かなと思うんです。
親や大人は、言いたいこともいっぱいあるし、注意したいことや怒りたいこともいっぱいあるけど、ちょっと我慢するとね、子ども達は自然と伸びていくんじゃないかな。
なぜ「ゾウのじょうろ」?
編集長:まったく話は変わりますが、私が中学・高校生ぐらいの時から池田さんをテレビで拝見していて、頭に乗せている「ゾウのじょうろ」が気になっていて…なぜ「ゾウのじょうろ」なんですか?(笑)。
池田:これはね、いまだに「なんでゾウのじょうろ乗っけているんですか?」ってよく聞かれるんですけどねー。
じょうろが埃かぶって捨てるように売られていたんですが、僕は「かわいいなー」と思って。誰も注目してなかったもので、しかも100円じゃないですか(笑)。
かわいいけれどもうすでに誰がデザインしたのかもわからないんですよ。
編集長:不思議ですね。
池田:そうですね。不思議なものなんですよ。僕もこれで特許を取っているわけでもないし、全く自由なものですから(笑)。
これって「じょうろ」という一つの生活道具で、なおかつ飾るものではないじゃないですか。生活道具でも、子ども用の水遊びするもので……裏方みたいな存在で、振付師と共通点があるというか、そういうところに惹かれるんじゃないかな。
先生が疲れれば疲れるほど、子ども達は未来に向かってどんどん成長する
編集長:では最後に、読者の方にメッセージをお願いします。
池田:僕も保育園・幼稚園に遊びに行って、子ども達と一緒に踊っているんですけど、僕は「変な、面白いおじさん」で行くので、すごく楽なんですよ。
子ども達を興奮するだけ興奮させて色いろな踊りを踊って、まぁ……申し訳ないですけどね。あとで大変だろうな~と思って、あはは(笑)。
子どもは一人ひとり個性も違うし、タイプも違う、好きなものも違うし、全く違う。しかもエネルギーがいっぱいあるし、子どもを預かるというのは大変な仕事だと思います。
僕の仕事も、気持ちよくやった仕事より、本当に疲れてヘトヘトになった作品の方がどんどん世の中に発展していったりすることが多々ありますので、みなさんが疲れれば疲れるほど子ども達は未来に向かってどんどん成長するんだなと、それだけを信じて疲れてくださいと……(笑)。
子どもに対しては叱ったり怒ったりするときも必要ですけど、できるだけその子のやりたいようにやらせてあげる。みなさんの苦労の代わりに、その子達を自由させてあげてくれると嬉しいなと思いますね!
編集長:疲れることに前向きになれそうです(笑)。池田さん、本日は貴重なお話ありがとうございました。
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ラッキィ池田
独創的な発想が各界に注目され振付ではCM界に旋風を巻き起こす。活動の場を広げ自らも異色タレントとしてTV、ラジオに出演。
その後もCM、子供番組、映画、舞台など数えきれない程の振付を手がけ高い評価を受けている。最近では振付活動に加え子供番組の作詞、吉本総合芸能学校[NSC]の講師、マルチアーティストとして多彩なシチュエーションで活躍中!