2022.07.15
保育園訪問【雑誌掲載版】

江東区白河かもめ保育園──気持ちに寄り添い、保育だからできること、何ができるかを考えていく

気持ちに寄り添い、保育だからできること、何ができるかを考えていく──江東区白河かもめ保育園

江東区白河かもめ保育園さんについて教えてください。

保育士:鳴澤稀亜良さん

白河かもめ保育園は、もともと公立の幼稚園だったところを、法人が引き取るかたちで平成16年に保育園として開園しました。園舎は幼稚園時代から使用しているので修繕しながら大切に使い、子ども達がのびのびと遊べる環境作りをしています。保育室がすべて同じ階にあるので廊下からでも全クラスが見え、子どもの様子が見やすくコミュニケーションも取りやすいというのはとても良いところだと思います。
また、広い園庭があるのも特長です。梅、あんず、桃、桜、金木犀、みかんなど四季折々の木があり、この園庭だけでも四季を感じることができます。

保育士:野末真由さん

かもめ保育園は古くからこの地にあるので、地域の方々との関わりも深いです。たとえば、節分では鬼行列でお世話になっているお店を回り、地域の方と交流します。ボランティアの方による木工教室やお茶会などを開催したりもしています。普段の生活ではなかなか経験できないことも経験できるというのはこの地域ならではだと思います。

カリキュラムや取り組みについて教えてください。

コーナー保育と異年齢保育が特長です。一斉に決められた何かをするのではなく、子ども達が自分の好きな遊びや活動を自分で選択できるようにするというところは独自のこだわりがある部分です。

コーナー保育ではそれぞれのやりたいものや子どもの発達・クラスの様子に合わせて玩具の変更を行いますが、そうすると子ども達自身が、次はこれをやりたいと発信するんですね。難しい部分も最初は保育者と一緒に取り組んで興味関心を引き出し、自分で考えるという部分にまで繋げられるようにしています。

食についてこだわりはありますか?

みかんの木。園庭にある様ざまな木で子ども達は四季を感じます!

食育にはとても力を入れています。食材はできるだけ地域の業者さんを利用し、国産のものを、産地がわかるようにお願いしています。調理では、一般のお店よりは薄味に、素材の味がわかるように工夫しています。

以前はビュッフェスタイルで、どれぐらい食べられるかを栄養士と子どもとで確認しながら提供していたのですが、ここ数年はコロナ対策で職員が盛り付けています。提供方法が変わっても、どれくらい食べられるかを一人ひとり確認しています。

子どもに対しての食育では、食べるまでの工程に触れるということと、様ざまな調理法での食材に触れるということを大事にしています。
工程に触れるというのは、畑作りやクッキング活動ですね。園庭では野菜を栽培しています。クッキング活動は、幼児クラスではさつまいもやほうれん草を洗ったりちぎったりします。今は中止していますが、幼児クラスではおにぎりやクッキーを作ります。
様ざまな調理法にするのは、塩焼きは苦手だけれど、揚げたらおいしく食べられるということがあるからです。
色いろな料理に触れることで、食べられるもの、食の世界を広げられたらいいなと思います。

コロナになってから変わったことは何ですか?

すべてが変わったと言っても過言ではないのですが、全職員、全家庭が参加していた行事を今まで同様に行うことが難しくなってしまい、保育を保護者の方に見ていただく機会がものすごく減ってしまいました。そこで、普段から「保育の見える化」をすべく、こまめにその日の保育活動を写真と文章で玄関に掲示したり、動画で見ていただけるようにしました。保護者の方に保育を見てもらうという部分を改めて考えられたのは良い変化だったと思います。

保育士の質を高めるための取り組みを教えてください。

江東区白河かもめ保育園

法人内で様ざまな研修会があります。それに加え、園長が直じきに保育の基礎について考えを深めたりする研修を行なっていますし、職員同士コミュニケーションをしっかり取り、保育の方向性を同一にするよう努めています。また、江東区が行なっている子育て支援アドバイザーの研修に毎年参加し、子育て家庭の現状や、保護者の方とのコミュニケーションを学んでいます。
保育の質を高めるためには、働きやすい職場であることや職員関係が良いことが前提になると思います。それに対する取り組みとして、会議前にアイスブレイクで自己紹介や褒め褒めタイムを設けています。
様ざまな取り組みをしていますが、一番大事にしているのは、挨拶と笑顔です。これは円滑な人間関係の基本になると思います。

ここで育った子ども達に将来どうなってほしいですか?

自分で考えて、自分で判断して自分で行動するということを大事にしてほしいと思います。また、相手を思いやる大切さを日々丁寧に伝えているので、相手を思いやりながらも、自分の気持ちを自分で発信できるようになってほしいです。

将来の展望を教えてください。

発表会などの大きな行事で衣服を掲示することがあり、今までは「女の子はスカート」「男の子はズボン」と掲示していたのですが、今年から男女ともにボトムス、シャツという表記に変えました。すると保護者の方から、スカートを穿きたくないと言っていたので助かりましたという声をいただきました。それを聞いた時に、子どもの気持ちや保護者の方に寄り添って、色いろなニーズ
を拾い上げて変えていく、その人達に合わせて保育をしていくことが大切なのだと改めて実感しました。SDGs に限らず、保育だからできること、今何ができるんだろうということを考えながらこの先もやっていければと思います。
法人としては、子どもも保護者も職員も一人ひとりを尊重した場所ということで、規律やガバナンスを整備し、多様な価値観、社会の激しい変化に対応してブランディングを行なっていきたいと考えています。待機児童解消もまだ完全ではないので、保育園を拡大し、保育士に対しても処遇の確保と福利厚生の充実を図りたいです。
また、プロの方をお呼びしてのスポーツ活動など、この規模の法人だからこそできる特別活動を広げていく予定です。

白河かもめ保育園といったら?

食育だと思います。食育は法人全体で大事にしていますが、その中でもかもめ保育園は子ども達と共にとても力を入れており、これからも大切にしていきたい活動です。

江東区白河かもめ保育園

江東区白河かもめ保育園

住所

〒135-0021
東京都江東区白河1-5-1-101

アクセス

東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅より徒歩2分
都営大江戸線 清澄白河駅より徒歩2分
都営新宿線・大江戸線 森下駅より徒歩9分

開園時間

月~土 7:30~18:30、延長 18:30~20:30

連絡先

TEL:03-3643-7671 FAX:03-3643-7672

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