2022.10.17
保育園訪問【雑誌掲載版】

社会福祉法人 鞍馬山正香苑 鞍馬山保育園──自分の意志で選んだことは真剣に取り組むし、楽しい。

自分の意志で選んだことは真剣に取り組むし、楽しい。──社会福祉法人 鞍馬山正香苑 鞍馬山保育園

鞍馬山保育園さんについて教えてください。

園長:信樂香爾(しがらき しんじ)さん

昭和13年頃、地域のお子さんをお寺で預かっていたのが始まりのようです。戦時中は途切れましたが戦後に再開し、昭和25年に正式に保育園となり、昭和45年に社会福祉法人となりました。子ども達が健やかに育つことが良い未来に繋がるのだという考えで子ども達の居場所作りを始めたと聞いています。

これだけの自然環境があるので、できるだけ色いろな自然に触れてほしいと思っています。山を越えて貴船(きぶね)の方までお弁当を持って行くこともあります。一生懸命トレーニングしなくても楽しく遊んでいるうちに自然に体力が付きますし、あんな虫がいる、こんな面白いものがあるなど、大人にとっては何でもないことが子どもにとっては興味の対象で、面白い遊びやおもちゃに変わります。ある程度の導きは必要かもしれませんが、基本的には子どもが自ら見つけ出して面白いと思って取り組めるといいなと思っています。

園庭でものびのび遊んでいる姿が見られました。

園庭でも、とても危険な時はすぐに止めますが、それ以外では禁止はしません。自分達で危険もコントロールして遊べるといいと思っています。
対象年齢が3歳からの滑り台があります。1~2歳でも登れるのですが、自分で危険をコントロールできないのに登ってしまうと危険なので、階段のところに板を付けてあります。その板を自力で越える力があれば、滑り台に登っても危険は少ないだろうということです。「危ないからダメ」ではなく、「自分ができるようになったら登れる」という感じをつかんでほしいんです。

実際に怪我をしてみないと、どこから先が危ないかがわかりません。全部大人が先回りして止めていたら、子どもが自分で「ここから先は危ない」と感じる経験を剥奪することになってしまいます。最終的には自分の身は自分で守らないといけないので、大けがにならない程度でたくさん経験してほしいと思います。

行事などはいかがでしょう?

冬の発表会では楽器の演奏をします。先生が曲から楽器から練習まで全部決めてやらせても、子どもは能力が高いのでできるでしょう。しかし、それで子どもは楽しいでしょうか。

ではどうしているかというと、まず色いろな楽器を子ども達が手を触れられる場所に置いておきます。すると興味を持った子が楽器をいじり始めます。最初はめちゃくちゃでものすごくうるさいです(笑)。
しばらくしてから簡単な楽譜を見せて、この通りに叩くとリズムができるよとか、木琴でここを順番に叩くとこんな音になるよ、ということを伝えるんですね。そうすると、どんどん弾けるようになるんです。弾けるようになると楽しくなり、さらに少しずつ他の楽器が合ってくるようになってもっと面白くなる。
楽しくてやっている子は本当に楽しそうなので、始めは興味がなかった子も集まってきます。そして最終的に保護者の前で発表するという形です。

子どもが自分で面白いなと思って取り組むきっかけや環境を作ったり、子どもが飛びついてくるような仕掛けをしてみたりするのが、私達保育者の仕事なのではないかと思います。
私達が育ってきた環境が、先生の指示を受けその通りにするいうものだったので、そういう刷り込みもありますし、先生方も「ちゃんとやっている」感はあると思いますが、黒子に徹した方が「子ども主体」になると思っていて、できるだけそんな風に仕掛けを作って、子ども達が喜んで一生懸命遊んだら嬉しいねという話はしています。

お寺ならではの教育はありますか?

教育というわけではありませんが、毎朝仏さまにお参りをしています。今は子どもの世界も情報過多なので、少し心を落ち着ける時間が取れたら良いなと思っています。
今はその意味が分からなくても、心を見つめることを経験し、こうすれば心が落ち着いて静かにできるんだということを、大人になってからでも思い出してくれたら嬉しいです。

また、お寺には竹伐会式(たけきりえしき)や節分の追儺式(ついなしき)など色いろな行事があるので、お稚児さんとして参加してもらったりしています。

ここで育った子ども達に将来どうなってもらいたいですか?

鞍馬山保育園は「みんなのいのち輝く」という理念で、園に関わる人みんなが生き生きと自分らしく過ごせる場でありたいと思っています。一人ひとりがそれぞれに生き生きできる状況があるといいと思いますし、色いろな人がいるからいいんだ、みんな一緒じゃないからいいんだということを知ってほしい。
その違う人達が、それぞれの良い所を活かして、みんなで良いもの、良い社会を作っていけるのではないかと思います。自分も大切にするし、人も大切にできて、お互い意見を交わし合って認めながら、それぞれ自分の得意なことをやって、誰かの役に立つ人になってほしい。
今、世界が逆行しているようでとても悲しいのです。だからこそ、小さい子ども達が、みんなが認め合って活かし合える社会を作ってくれるとありがたいと思います。

今後の展望を教えてください。

究極は、子ども達が自分達で保育園を回していけるといいなと思っています。先生が今日何をするかを決めて子ども達を動かすのではなく、子ども達が相談して決めて、行動していくといった具合です。
意見が分かれた時にどう解決していくか、どう一つにまとめていくかということを経験してほしい。きっとその方が子どもも面白いと思います。

鞍馬山保育園といったら?

「楽しい」です。みんなが楽しい場所でありたいと思います。面白おかしいだけの楽しいではなく、お互いに認め合ったり、自ら物事を達成したり、そういう楽しさも感じられる場所でありたいと思います。

(MiRAKUU vol.40掲載)

社会福祉法人 鞍馬山正香苑 鞍馬山保育園

社会福祉法人 鞍馬山正香苑 鞍馬山保育園

住所

〒601-1111
京都府京都市左京区鞍馬本町1074

アクセス

比叡電鉄鞍馬線 鞍馬より徒歩4分

開園時間

月~土 8:30~17:00、延長 7:30~8:30、17:00~18:00

連絡先

TEL:075-741-2212 FAX:075-741-2906

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