2020.04.15
保育園訪問【雑誌掲載版】

まちのてらこや保育園──子どもも親も町の人もみんなが集い、学び、育っていける“てらこや”でありたい

子どもも親も町の人もみんなが集い、学び、育っていける“てらこや”でありたい──まちのてらこや保育園

まちのてらこや保育園さんについて教えてください。

代表取締役(理事長):高原友美さん

2015年9月に認可外保育園としてスタートし、0~3歳のお子様を20名ほどお預かりしています。2020年4月より、1~5歳が各6名の計30名という小さいサイズの認可保育園になります。認可外のスタートだったので大変なことも多かったのですが、「町で子育てをする」というコンセプトの通り、日本橋の町の方々にとても温かく見守っていただき、今日まで続けてこられました。

この地域の良さはなんでしょうか?

この地域の特色は、古くからの地域のコミュニティがしっかり残っていることです。江戸時代から続く老舗もたくさん残っています。子ども達とのお散歩でも、お店屋さんめぐりをするだけですごく楽しいですね。町内会の繋がりも強く、子ども達も楽しめるお餅つきや盆踊りなど季節のイベントがたくさんあります。ここは都会の真ん中にもかかわらず、地域のみんなと顔見知りになりながら子ども達が育っていけるという奇跡的な町だと思います。一方で、マンション建設が進み、新しい住人、子育て世帯も増えています。保育園がハブとなりうまく繋いでいけたら良いなと考えています。

保育ではどのような活動をしていますか?

まちのてらこや保育園

町の中で育っていくことを保育に落とし込むのがメインの取り組みの1つです。1月には、お散歩時に日本橋七福神めぐりをしました。夏にはよく盆踊りが催されますが、踊れないとなかなか楽しめないので、盆踊りの先生をお呼びして踊りを教えていただきました。この時期は、朝の体操もこの地域の人気No.1「ダンシングヒーロー」に変えて。そうしたら、保護者の方も含め、盆踊り参加率がすごく増えたんですよ。また、子ども達がサンタクロースに扮して、お世話になっている町の人にプレゼントを配りに行ったりもしています。そういった形で、町との繋がりをどう増やしていくかを考え、保育活動と繋げています。
園内では、てらこやリトミックという知育遊びを兼ねた音楽・リズム遊びと、英語リトミックを実施しています。今後は食育も強化したいと思っています。食べることは生きること。これまでは1~2歳の乳児さんが中心だったので、野菜を触る、皮をむく、おにぎりを握るなど簡単なことをしていましたが、今年度からは3歳以上の子が増え、できることも増えてきます。親子で和紙を梳く体験をさせてもらったり、和菓子作りをしたり、さらに面白い取り組みができるのではないかと考えています。

ここで育った子ども達に将来どうなってほしいですか?

日本橋の町には、古き良きものがたくさん残っています。伝統文化、老舗の技術や味、人との繋がり。そういったものを大切に感じられる心を育ててあげたいですね。一方、子ども達が生きていく未来は、今まで以上に変化のスピードが速く、新しいものがどんどん出てくるでしょう。子ども達には未知を怖がらず、新しいものを楽しめるたくましさも身につけてほしいですね。また、これからは大人の経験則や常識が必ずしも正解ではなくなってくるかもしれません。常識や古い価値観に囚われず、自分で考えて、自分なりの答えを見つける力も伸ばしてあげたいです。

職員のために行なっていることはありますか?

子ども達がワクワクするような、それでいて落ち着いておうちのように過ごせる場所をと考えています。

それぞれのライフステージに沿って柔軟な働き方ができるような職場作りをしています。当園には子育て中のママさん職員も多く、親の介護をしている職員もいます。仕事を長く続けてもらうためには、それぞれの生活に合わせて働くことが不可欠です。色いろなライフステージの先生がいて、みんなで支え合いながら働ける場所にしたいと思っています。2015年の開園から4年半で、職員達から7人の赤ちゃんが生まれていることはその1つの証かもしれません。運営会社である株式会社サムライウーマンは、社会という戦場で戦っている女性をサポートしたいという想いで作った会社です。保護者の方だけではなく、ここで働く先生達もサムライウーマン。働く女性達を幸せにする職場でありたいと思っています。
また、今後は研修も充実させたいと思っています。どんどん園の外に出て新しい技術や考え方を学んだり、面白い保育をしている園に見学に行く予定です。園に講師を招いてチームビルディングや心理学、色の講座なども取り入れていきたいですね。保育士としても、社会人としても、それぞれがスキルアップする機会を増やしたいと思います。

今後の展望を教えてください。

地域との繋がりをもっとたくさん作っていければと思っています。園と町、子どもと町だけではなく、おうちの方と町もどんどん繋いでいきたい。ここにいる子ども達にとって、この町が故郷になります。自分が育っているこの町に愛着を持ってもらいたいし、そのためにもおうちの方にこの町を好きになってもらいたい。そして町の人には、自分達の町の子どもとして育ちを見守ってもらいたい。まずは町に顔見知りがたくさん増えるよう、どんどん園の外に出かけていきたいです。ご近所の伝統工芸の組み紐屋さんに親子参加のワークショップをしていただいたり、町のお餅つきに参加させてもらったり、町と子どもを繋ぐ取り組みを増やしていきたいですね。

まちのてらこや保育園といえば○○というと?

暖簾(のれん)でしょうか。当園は入り口に大きな黄色い暖簾を掛けています。モノトーンな街並みの中ではこの黄色の暖簾が印象的なようで、町で「まちのてらこや保育園です」と言うと「あの黄色い暖簾の保育園ね」と言ってもらえます。「まちのてらこや」という名前の通り、子ども達はもちろん、町の人達みんなが集い、学び、育っていける場所でありたいと思っています。ベースは保育園ですが、週末には子どもも保護者も地域の人もみんな一緒に、たとえば盆踊りや茶道や書道を学んだりするような。このてらこやの黄色い暖簾が、そんな町のシンボルになれたらと思っています。

まちのてらこや保育園

まちのてらこや保育園

住所

〒103-0006
東京都中央区日本橋富沢町4-1 ミズホビル1F・2F

アクセス

東京メトロ日比谷線・都営地下鉄浅草線 人形町駅 A4出口より徒歩3分
東京メトロ半蔵門線 水天宮前駅 7番出口より徒歩6分
都営地下鉄新宿線 浜町駅 A1出口より徒歩7分
都営地下鉄浅草線 東日本橋駅 A3出口より徒歩7分

開園時間

月~金 8:00~19:00、延長7:30~8:00、19:00~20:00

連絡先

TEL:03-6661-2216
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