2026.02.17
保育園訪問【Web限定版】

北千住もみじの森保育園──こどもがまんなか。あたたかい保育。保育は人から生まれる

北千住もみじの森保育園──こどもがまんなか。あたたかい保育。保育は人から生まれる

北千住もみじの森保育園 園長:長谷川 真紀さん

北千住もみじの森保育園さんについて教えてください。

社会福祉法人信正会が運営する北千住もみじの森保育園は、今年で開園10周年を迎えました。節目の年には、セスナを飛ばして航空写真を撮影する記念イベントも行い、園全体で「10年」を楽しんでいるところです。
母体となるのは、福岡にある「紅葉幼稚園」。こちらは今年で50周年を迎える歴史ある園で、その歩みと想いを土台にしながら、東京の認可保育園として地域や子ども達に寄り添う保育を続けています。
定員は80名。弾力運用を活用し、現在は82名の子ども達が元気に通っています。

園の特徴を教えてください。

一番の特徴は、園の目の前に小学校跡地を活用した「防災広場」があることです。雨の日以外はほぼ毎日、職員も子ども達も外に出て、思いきり体を動かして遊んでいます。
また、近くには商店街もあり、日々の散歩を通して自然と地域交流が生まれています。これが1つ目の大きな特徴ですね。

2つ目は、1階・2階ともにワンフロアで保育を行なっている点です。
ワンフロアといっても、朝の会から帰りの会まではクラス別・クラス担任制で生活しています。保育園は1日の中で長く過ごす子ども達が多いため、朝の会までの時間や、3時半の帰りの会後の時間帯には、自然に異年齢交流が生まれるような仕組みを意識しています。また、棚を動かしてスペースを広げれば、活動内容に応じて縦割り保育も可能です。
現在は造形遊びにも力を入れており、制作途中の造形物が室内に置かれ、保育や生活の中でそのまま展開していく。ワンフロアだからこそできる、保育と生活が繋がる環境づくりをしています。
職員同士の情報共有や連携のしやすさも、ワンフロアならではの大きなメリットだと感じています。

造形遊びとはどのような活動なのですか?

毎週水曜日に造形の講師を招き、造形遊びを行なっています。
私達が大切にしているのは、「たくさんの素材」と「テーマ」。その中で、子ども達が頭の中に描いたイメージを、自分なりの形にしていくことを大切にしています。
完成した作品は一つひとつ違い、どれも子ども達の個性がそのまま表れたものになります。

造形遊び以外にも取り組んでいる活動はありますか?

毎週木曜日には、年齢ごとの発達機能を促す運動遊びを行なっています。こちらも専門の講師の先生に来ていただいています。
水曜日が造形、木曜日が体操と、週に2回は外部講師による活動を取り入れ、それ以外の曜日は担任が中心となって保育を組み立てています。
母体が幼稚園であることもあり、その教材を遊びの中に取り入れながら、日々の保育を展開しているのも私達の特徴です。

食に関して力を入れていることを教えてください。

栄養士が中心となり、食育をとても大切にしています。0歳から5歳まで、年齢に応じた食育を行なっており、椅子の座り方や箸の持ち方といった基本から、季節の野菜に触れる経験まで、丁寧に積み重ねています。

野菜を育てる活動では、「その季節に何を育てたいか」を子ども達自身が考え、園のどこで育てるかも一緒に話し合います。去年の失敗を振り返りながら次に生かす、そんな経験も大切にしています。
今年は、猛暑の影響で夏にトマトが全滅してしまったのですが、涼しくなった秋から実がなり始め、10月から12月まで収穫して食べることができました。失敗からの発見も、子ども達にとっては大切な学びです。

また、オリンピックの時期には、テレビで世界の国々が紹介されていたことをきっかけに、給食に「世界の料理」を取り入れました。たとえばロシア料理のボルシチなど、食を通して世界に触れる工夫もしています。
クッキング活動も盛んで、乳児クラスでは、トウモロコシやサヤエンドウを朝の時間に皮むきして給食室に届けるといった経験をしています。1・2歳児でも無理なく参加できる形です。
さらに、剥いたトウモロコシの皮を使ってボンドで貼り、造形遊びに繋げるなど、食育と造形が自然に循環する保育も行なっています。

北千住というエリアならではの良さは何ですか?

とても下町らしさを感じる地域で、人の温かさが魅力です。散歩中には、地域のおじいちゃん・おばあちゃんからよく声をかけていただき、園周辺の剪定を近所の方が手伝ってくださることもあります。
商店街との繋がりも年々深まり、最初はハロウィンでお菓子をもらえるお店が2軒だったのが、今では13軒ものお店と交流するようになりました。
秋にはおみこしに参加させていただくこともありますし、園の裏にある帝京科学大学の学生との交流も行なっています。学生さんの表現や音楽の授業の発表会を見に行くなど、地域全体が子ども達の育ちに関わってくれている感覚があります。

保護者の方から「この園のここがいい」とよく言われる点はありますか?

一番多いのは、「先生達があたたかい」という声ですね。保護者の方から信頼していただけていることは、本当にありがたいです。
それは、ワンフロア保育の良さとも繋がっています。先生達は自分のクラスの子ども達だけでなく、園にいる子ども達全員の名前がわかりますし、「今日はこんなことをしていましたよ」とエピソードを交えて話すことができます。
そのため、クラスが変わったり担任が替わったりしても、保護者との関係性が途切れにくく、「この園の先生達と繋がっている」という安心感に繋がっているのだと思います。

職員の教育や質を高めるために取り組んでいることはありますか?

私の中で一番大切にしているのは、法人理念と、職員が働く上での行動指針です。私達はそれを「もみじクレド」と呼んでいます。
全員が同じ方向を向き、同じ認識を持ち、誰に聞いても同じ答えが返ってくる。その状態をつくることが、同じ職場で働く上での最低限だと考えています。
法人の手帳には、クレドが常に目に入る形で掲載されています。クレドは全部で8つあり、7つの行動指針に加え、8つ目として「こどもがまんなか」という大前提があります。
毎年4月には、私自身が職員研修を行い、クレドの浸透を図っています。開園当初から10年働いている職員もいるので、毎年同じ言葉を、同じ文言で繰り返し伝えています。その積み重ねで、自然と言葉にできるようになってきました。

さらに、4月にそれぞれが「今年の自分のクレド」を掲げ、みんなの前で発表します。
クレドは、経験年数や価値観、年齢によっても捉え方が変わるものです。夏頃には定点観測として、「本当にこの先生、ここを頑張っていたよね」とエピソード付きで褒め合い、2月の終わりには1年間を通して振り返りを行なっています。

職員が働きやすい環境づくりについて教えてください。

一番は、やはりコミュニケーションです。
私と主任で、日頃からよく保育士に声をかけています。何を考えているのか、どうやりたいのか、何に悩んでいるのか。会議や面談だけでなく、日常の中で話すことをとても大切にしています。
大きな行き違いを生まないためにも、「日々声をかける」ということが何より重要だと思っています。
仕組みとしては、年3回の園長面談に加え、直属の上司との面談も行なっています。いわゆるサンドイッチ方式で、「良いところを2つ、課題を1つ」という形です。

今年は特に、「コミュニケーション」をテーマに園内研修を多く行いました。どう伝えるか、どう伝わるか。そこに課題を感じていたので、私自身がパワーポイントを作り、アイスブレイクのゲームも取り入れながら実施しました。

また、行事の後には懇親会を開いています。参加できる人のみという形で、パートさんも含めて7割ほどの職員が参加しています。

働きやすさの面についてはいかがでしょうか?

正直なところ、去年・今年と職員体制が安定してきたことで、ようやく休憩をきちんと回せるようになりました。10年かけて、ようやく土台ができたという感覚です。
新卒から長く勤めている職員が多く、正職の中で中途入職の職員は1割ほど。きれいな組織のピラミッドができているからこそ、情報共有や伝達がスムーズになり、チームワークも良くなったと感じています。

休憩については、お昼に専用の部屋を開放し、しっかり「休憩」として取れるようにしています。ドリンクも自由に置いて、好きなものを飲んでいい環境です。
最長でも10年目の職員というまだ若い組織なので、平均年齢も若く、共通のアイドルの話題で盛り上がっていたりと、園内はとても和やかな雰囲気ですね(笑)。

この園で育った子ども達に、将来どのように育ってほしいですか?

今の子ども達は、スマートフォンや情報があふれる環境の中で育っています。だからこそ、自分の考えを持ち、それに自信を持って、すくすく育ってほしいと願っています。
自分の個性を大切にしてほしいですね。職員は30人、子ども達は80人いますが、みんなが同じである必要はないと思っています。職員も同じで、全員が明るく元気である必要はありません。それぞれが自分の得意なこと、自信のある部分を伸ばし、個性を生かしてほしいと考えています。

今後の展望を教えてください。

10年目という節目を迎え、環境や保育の流れは少しずつ定着してきました。次の10年は、「地域に根付き、地域に必要とされ、愛される園」になることを目標にしています。
保育園に通っている子ども達や保護者はもちろん、卒園した保護者の方、小学生の子ども達、さらには卒園生でない地域の子ども達やおじいちゃん・おばあちゃん達も含めて、「もみじの森保育園があると安心する」と思ってもらえる存在になりたいですね。
「あそこに保育園があってよかった」「こういう形で利用しているんだ」と、地域の中で自然と声が上がるような園を目指しています。

北千住もみじの森保育園さんの一番の強みは?

職員が明るく元気で、アイデアや発想が豊かな先生が多いことです。
その中で、子ども達が日々楽しく過ごし、園全体がとても明るい雰囲気に包まれている。そこが今の私達の特徴であり、自信であり、誇りでもあります。

北千住もみじの森保育園

北千住もみじの森保育園

住所

〒120-0042
東京都足立区千住龍田町6-22

アクセス

JR常磐線、東京メトロ日比谷線・千代田線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレス  北千住駅より徒歩13分

開園時間

月~土 7:00〜20:00(延長保育 7:00~7:30、18:30~20:00)

連絡先

TEL:03-5284-8053
FAX:03-5284-8073