第8回 離乳食の進め方はどうしたらいい?(2)
今回は、前回に引き続き離乳食についてお話します。
子どもの成長に合わせた食べ物の選択を表にしました(図参照)。一人ひとり成長は違いますが、離乳食に関しては暦年齢で見ていきます。
奥歯の乳歯が生えるまでの、しっかりと噛み唾液と混ぜて胃に流し込むという消化のメカニズムができあがってくるまでに、軟らかく繊維質に欠けるご飯・おかゆなどを与えると糖化を早期に起こすためアレルギー体質になりやすくなります。
アレルギーを起こさないようにするには、米などのでんぷんではなく、水を多く含む繊維質の野菜を与えることと、植物性のタンパク質である豆腐を与えるのが良いです。
また、ハイハイからつかまり立ち、歩くという目まぐるしい成長を遂げる中で、大人が子どもの成長を妨げないこと、しっかりと体を動かしてできることを増やしてあげることが必要になってきます。
赤ちゃんは生後6か月以降様ざまな体の機能を確かめながら成長します。大きく口を開けて笑う、泣く、怒るという動作は、赤ちゃんの正常な機能であり、大切な仕事ですから、無理に止めさせないでください。この仕事がしっかりできないと睡眠障害を招きます。呼吸・嚥下という生命現象の最も大切な機能の低下にもつながり、フラストレーションの元にもなってきます。
また、必要な運動は筋肉の発達にも繋がっています。骨は筋肉の成長によって作られますから、動かない、声を出さない子どもは骨粗鬆症にもなりやすくなります。
泣くという仕事をどのように扱うかで、大人と子どもの駆け引きが始まります。ラッチオンから始まった子育ては、全て子どもの身体とアイデンティティを育てるためにあります。2歳くらいになると、親たちは子どものアイデンティティに振り回されますが、その原因は親が子どものアイデンティティを決めてしまったことにあります。
言葉が出始める頃から、記憶と言葉が連動し始めます。例えば、「できない」「ヤダ」などの否定語を発し、泣くと親が抱っこしてくれた、外出時に泣いたら欲しいものを買ってくれた。このような記憶により、泣けば要求が受け入れられる、泣けばなだめてくれると認識するようになります。できなかったり、嫌だと言うと、やらなくてよくなるだけでなく報酬まで与えられると勘違いするのです。
この言葉と行動の連動が、泣いたら親がかまってくれるというアイデンティティを作り上げてしまうのです。
抱かれすぎた赤ちゃんは頭蓋の変形だけでなく、大きく口を開くこともできなくなります。親がなんでも先にしてしまうと、言葉を覚えることや、自立することを学べないまま育ってしまいます。
5歳になっても一人で食べられない、言うことを聞かない、落ち着きがないという子どもが多いのは、このようなバックグラウンドがあることも原因の一つです。
しっかりした知識と行動が大事です。正しい嚥下と呼吸の仕方、泣くという仕事に対する対応の仕方など、赤ちゃんが食べ物を食べられるようになる前に正しい方向性で育てることが必要です。この一貫性を持った子育てが子どもを成長させるのです。
離乳食というのは、飲み物で過ごす時期から食べるという姿勢に育てるための時期であり、食べ物を眼で認識し、口を大きく開けるという順番で食べに来させること。与えるのではなく、取りに行って、手で掴んで食べて、噛んで飲み込むという基本的な姿勢を作り上げることが大切なのです。
成長に合わせて姿勢は変わりますが、大人はその成長の結果を目の前で見せてモデルを示し、人生の教育者になることが離乳食に対しての大事な考え方なのです。
(MiRAKUU vol.23掲載)
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- 新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
ホームページ:https://miraishika.com/
未来歯科アカデミー:https://miraishika.com/academy/
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