2022.04.15
教えて!川邉先生

第23回 コロナ禍で取り入れるべき子どもの運動について

教えて! 川邉先生~子どものお悩み解決します──第23回 コロナ禍で取り入れるべき子どもの運動について

現代の子ども達の日頃の運動量は、私達の時代の1/10と言われます。
子ども達は本来ならば、1日5時間は、動き回る能力と耐力を持っています。
動いて腹が減って食べるから、しっかりと噛むことができるのです。しかし今の子ども達は、運動不足の上、時間になったら腹が減っていないのに食事を取り、糖質オーバーでの糖化が起きてしまっています。
日本人は、糖に対する認識が世界一甘いために、インドを抜き、世界一の糖尿病大国になっているのです。皮膚炎、アレルギー、がんから脳血管障害、臓器の問題まで関わるのが、呼吸と、糖の問題によります。呼吸と糖の問題は生活習慣病の原因で、病気の必須条件ですから、医療では解決できない、現代の生活習慣の問題です。脚気様状、筋無力症の症状として、筋力の低下、抹消血流の不全が子ども達にも起こっています。

マスクの下での二酸化炭素中毒症状の1つとして、子ども達の虫歯、歯周病の歯肉炎が一気に上昇しています。間違った学校教育の中で、子ども達は、感染症に最も弱い体力、精神力となっています。今、感染症の時代では、心と体の問題は感染症の問題よりも深刻になっています。

座る時間が長く、運動時間が短くなり、歯並びも呼吸も、嚥下機能も大きく悪化しています。そのため最近では、豆まきの豆でも噛まないで飲み込むので、窒息する原因となり、パンをミルクに浸して、一気に飲み込んで窒息して亡くなるような事故も起こっています。
噛んで潰して、集めて飲み込むという舌と口の中の機能が全く行われなくなったため、食べやすいというよりも、だんだん乳児嚥下という、吸って飲むという飲み物しか飲めない飲み込みの機序になってしまい、成人嚥下と言われる人間だけができる嚥下機能ができなくなりました。このせいで睡眠時無呼吸を招き、タングスラスト、乳児嚥下、ストレートネックなどが頻繁に起こるようになりました。
また、乳歯である間は発育空隙といって、脳の発達を意味する歯と歯の隙間がかなりあるものなのですが、ほとんどの子ども達にこの隙間がなくなってしまっています。

歯並びの問題、嚥下の問題、呼吸の問題は5歳児で80%を超えると言われ、30年前は20%にも満たなかった問題が日常になってきています。コロナの時代で、今や1歳過ぎてもハイハイや、寝返りすらできない子ども達も増えています。口呼吸も80%を超えています。
生後2か月で抱くと反ってしまう子ども達は、呼吸だけでなく、便秘が多く、その問題は後のち大人になってからの問題になると統計で分かってきました。

それほど子ども達の体力が落ちているのに、コロナ禍でさらに運動量が少なくなると、半端でないほど心も体調も悪くなります。
マスクの下で、子ども達は、二酸化炭素中毒とまではいかないにしても、マスクをしての運動は命の問題まで起こすことになります。上下の歯が当たってしまうことは、TCH(歯牙接触癖)と言い、脳の問題を起こす呼吸と嚥下機能(乳児嚥下、原始反射の消失の異常、ストレートネック、タングスラスト、ワルダイエル咽頭輪の異常、食いしばり、口呼吸、口ポカン、お腹ぽっこりなどの内臓下垂)になっていることを表しています。睡眠時無呼吸、そして精神不安を招く原因になります。
大人でも90%以上は問題を起こすのですから、家庭では、マスクを外し、換気、風通しを良くして、外で運動ができない時には、マルケンダンス、雑巾がけなど短い距離でも良いので、運動を行なってください。

人間は、1日5時間以上は動き、そして3時間以上は最大に開閉口(大きな口で、食べる、話す、歌う、声を出すなどのコミュニケーション)を行なっている動物です。座り病を起こさないように、座りすぎないこと、15分に1回はジャンプ、歩く、走るなどの運動を取り入れてみましょう。息を吐く、吐き続けてお腹を凹ませる。吹き戻し、ストローでブクブクの練習、少量の水を口に含んで、5分間のブクブク。ペットボトルマイク法で歌を歌う。音読をする。などなど。
この時期だから、逆に家でのトレーニングを毎日の日常に取り込み、しっかり体を動かして、話して、歌って、親子で楽しむことが大切ですね。

できれば、1日2時間以上は、外に出て、日光から得られるエネルギーをもらってください。家での目で見える色と、外での色は光源が違いますので、色に対しての色弱、色覚異常も増えています。視力の低下は、中学2年生で98%です。

人間は運動を毎日していないと、身体や心にたった2週間で問題が起き始めます。血流は、動かないと止められてしまいます。
舌運動は、24時間口の中と呼吸、嚥下機能を守り、様ざまな状態で動いて、歯並びにも鼻呼吸にも、喉にも、内臓機能にも関係する、首から上の最も命に関わる臓器の機能です。口の中が汚いことは、舌の運動機能を弱めてしまう全身の筋肉量の減少(糖化)という問題が同時に起こっていることになります。
この時期だからこそ、嚥下機能をしっかりさせる食生活にすること。そして、いつも以上に口の中をキレイにする習慣をつけることが大切です。

コロナ禍だからこそ、学習で行なってきた、運動機能、発声、そして座りすぎないことなど、普段の園や学校での生活習慣以上に行うことで、フレイル(虚弱)に対抗しなくてはなりません。コロナ前よりも、運動機能が上がり、学習機能が上がることが、この時期の必要な習慣です。
学びましょう。命の学習ですね。
いつかコロナ禍は終わり、通常の流行性感冒(インフルエンザ)となった時に、体力、気力、精神力が成長していないと、その後の問題は大きくなります。コロナ禍を家族のパワーでチャンスにしましょう。

(MiRAKUU vol.38掲載)

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川邉 研次(かわべ けんじ) 経歴
  • 川邉 研次
  • 新橋 未来歯科 院長

    姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
    Ken'sホワイトニングセミナー主幹

    1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
    従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
    歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。

    『かわべ式 子育てスイッチ ~生まれた瞬間からグングン発達する88の秘訣』(エッセンシャル出版社)好評発売中。

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