第30回 読者からの質問にお答えします! 子どもの睡眠不足について詳しく知りたいです。〈その2〉
喉の部分はワルダイエル咽頭輪といい、免疫の番人と言われる部分です。ここがきちんと発達していないと、早食いや飲み物と一緒に流しいれるような食べ方、クチャクチャと食べるクチャラーと言われる食べ方、そして舌突出癖(タングスラスト)により吸って飲み込む、よく豆などを吸ってしまい窒息するタイプの食べ方になります。
これらは骨盤底筋の下垂で、生殖機能、内臓機能の低下を表します。低位舌、低位咬合の喉ができていない、ちょうど図のⅢやⅣの状態の睡眠時無呼吸の喉の状態を意味します。
そもそも睡眠と言われるノンレム睡眠の状態は深い睡眠に入ると、触れても、大きな音がしても起きない熟睡という、安心安全な家という場所で寝る人間だけができる睡眠です。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea)、睡眠の問題、睡眠姿勢の問題と体の様ざまな構造的、機能的特性との間には複雑な関係が存在します。
以下にこれらの要素がどのように関連し、特に無呼吸エピソード(※)とどのように関連しているかについて簡単にまとめてみます。
無呼吸エピソードは睡眠時無呼吸症候群の一部であり、これは睡眠中に呼吸が10秒以上停止する状態を指します。これらのエピソードは、心血管疾患のリスクを高め、睡眠の質を低下させ、日中の疲労感や集中力の低下を引き起こす可能性があります。
- 低位舌、低位咬合、ストレートネック:(歯並びの悪くなる原因のトップと言われています。)
これらの条件はすべて喉の構造に影響を与え、上気道の通り道を狭くする可能性があります。これにより、無呼吸エピソードが引き起こされやすくなります。特に、舌が下がると喉が閉塞しやすくなり、それが睡眠時無呼吸の一般的な原因となります。 - 内臓下垂と全体的な臓器の下垂:(すべての病気の根源と言われる姿勢に関係する内臓の問題です。脊柱カーブに影響するので歯並びとの関係も大きく現れます。)
内臓下垂は肺の容積と機能に影響を与え、機能的残気量(FRC)を低下させる可能性があります。これは、呼吸の効率を低下させ、無呼吸エピソードを引き起こしやすくします。また、全体的な臓器の下垂は、上気道の構造を変化させる可能性があり、特に睡眠中に喉の筋肉がリラックスした際に呼吸障害を引き起こす可能性があります。 - 脊柱の状態:(S字カーブでの問題は前後的な問題は内臓の位置の異常、歯並びはディープバイト、過蓋咬合とも言われます。そして反対咬合です。つまり内臓下垂、骨盤底筋の下垂です。側方の異常は上下の歯並びの正中のズレを意味します。)
脊柱のS字カーブの減少(平背)は、肺の容積を減少させ、それによりFRCを低下させる可能性があります。これは、呼吸の効率を低下させ、無呼吸(過換気、過呼吸も含む)エピソードを引き起こす可能性があります。 - 日常の浅い呼吸とノンレム睡眠時の浅い睡眠:(臼歯部咬合、奥歯噛み、かかと重心、内臓下垂、強い場合には歯並びはタングスラストとともにオープンバイトになります。タングスラストは乳児嚥下。老人の誤嚥の原因も乳児嚥下です。)
日常の浅い呼吸は、酸素と二酸化炭素の交換を低下させ、無呼吸エピソードを引き起こす可能性があります。また、ノンレム睡眠の浅い状態は睡眠の質を低下させ、それにより無呼吸エピソードが頻発しやすくなります。過呼吸が血流を阻害し、これが結果的には細胞に酸素を運ぶ能力を低下させることも睡眠に影響しています。 - 心房細動:口腔内細菌との関係があるバイオフィルム(血栓)が、問題の心房細動は、血液の流れと酸素供給に影響を与え、これが無呼吸エピソードを引き起こしやすくします。また、無呼吸エピソード自体が心房細動を引き起こす可能性もあります。つまり口腔内細菌が、問題で呼吸機能まで影響します。
以上のように、これらの要素は全て互いに関連し、無呼吸エピソードの発生に寄与する可能性があります。これらの状態を把握し、この問題が国民の98%に関係するという事実とその改善法を学ぶことです。
まずは親子で枕からその年齢に合わせたオーラルトレーナーを始めとする様ざまなトレーニングを学びましょう。
24時間口腔内がきれいであること。完全な両鼻呼吸、大きな口での発声。そして、豆腐でも一口100回くらい噛んで嚥下するトレーニング。お腹が減ったと言われても、口の中をきれいにして、薄味で一口100回噛み、食べ物の味がしっかり分かる食生活をしましょう。
座り病対策、頭位と姿勢の対策として骨盤底筋をリフトアップする座り方、立ち方などのインナーマッスルを使う日本人の姿勢の回復。子ども達の学校、塾という場での座り病対策にはスタンディングディスクが有効です。
保育園では、しっかり遊んだら少し学習するという日本流の文武両道のアクティブラーニングにします。夜に家でぐっすりと寝られなくなるから昼寝の時間はわずかにしましょう。
すべてを血流から考え、目鼻立ちのしっかりした、笑顔の最高な、姿勢の良い、学力体力ともに高い、創意工夫できる個を育てましょう。
薬や、C-PAPなどの装置、スリープスプリントなどとは違い、オーラルトレーナーでの日常の呼吸、嚥下のトレーニングなどで適切な治療としての日常
生活習慣の改善を施すことで、姿勢と喉の機能を改善して、無呼吸エピソードの発生を減らすことが可能です。
(MiRAKUU vol.45掲載)
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- 新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
『かわべ式 子育てスイッチ ~生まれた瞬間からグングン発達する88の秘訣』(エッセンシャル出版社)好評発売中。
ホームページ:https://miraishika.com/
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