第29回 求職者が企業を選ぶ時代となった
社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング代表の川﨑潤一です。
前回は「妥協して採用してもよいのか」について、考えました。
設備投資や既存従業員の給与を上げるといった投資には躊躇することが多いと思いますが、採用についても大きなお金と多くの時間がかかる投資です。軽い気持ちで採用している(投資している)といった事が多いように思います。
本当にそれで(採用するという大きな投資をしても)よいのでしょうか?
妥協して採用しない方がよいです。その理由は様々ありますので、前回のコラム記事をお読みください。
さて、今回は「求職者が企業を選ぶ時代となった」について考えていきます。
経営者の方々と採用についてお話しをする中で、一昔前の採用環境のまま認識が止まっている方が非常に多いと感じています。一昔前(約10年前)とは採用環境は劇的に変わっています。現状を正しく認識しなければ(世の中の変化を認識し対応しなければ)、対応できません。
企業が応募者を選ぶ時代が終わり、求職者が企業を選ぶ時代となった
募集を出せば応募がある、という時代は終わりました。
有料の求人媒体に掲載しただけでは、採用できなくなりました。
有料求人媒体の中でDODA があります。
DODA のCM や広告を見た事がありますでしょうか。そのキャッチコピーが時代を象徴しています。下記がそのキャッチコピーです。
「条件は、今よりいい会社。以上。」
このキャッチコピーは誰に向けたものでしょうか。
これは、求職者に向けたキャッチコピーです。DODA が向いているのは、企業ではなく求職者です。有料求人媒体は、求職者の利用を増やす、ということを目的として動いていることがわかります。
有料求人媒体は、お金を払ってくれる広告主である企業よりも、1円もお金を払っていない求職者の方を向いています。有料求人媒体は、広告主を集めるよりも、求職者を集めることに苦労をしています。
「有料求人媒体へ数十万円を支払ったけれども、応募が無かった。採用できなかった。」という話をよく聞くようになりました。
本当に有料求人媒体へ掲載するのでよいのか? 考える時がきました。
スマホが採用環境を変えた
一昔前は、紙の有料求人媒体がよく使われていました。
例えば、タウンワーク、新聞折り込み(アイデム、クリエイト等)……。
それがスマホの普及により変わりました。
紙の有料求人媒体で仕事を探すのではなく、スマホを使って仕事を探す時代、となったのです。
当事務所でも職員の募集をこれまで行なってきました。パート職員を募集する際に、利用している有料求人サイトがあります。応募をしていただいた方々のご年齢も様ざまです。50代、60代の方もおられます。年齢に関わりなく、スマホで仕事を探す時代となったのだなと実感しました。
採用で最も重要なことはこれだ!
採用をする上で、最も重要な事は何かわかりますでしょうか? これがわかっていないと、応募が無く、採用が成功しません。
その答えは……次回の連載で答えを明かします。考えてみてください。
今回は以上です。
スマホの普及により、採用環境が変わりました。
人手不足で超売り手市場となりました。
企業が求職者を選ぶ時代は終わり、求職者が企業を選ぶ時代となりました。
それにより、募集をすれば応募がある、という単純な話ではなくなりました。求職者に選ばれる企業となる必要があります。
そのために、採用や従業員の定着について、社内制度の改革をしていく必要があります。
社内制度の改革をするだけでは応募はありません。次回は、採用をする上で最も重要なことを記載します。
- 川﨑 潤一
社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング 代表
株式会社ヒューマンブレークスルー認定ESコンサルタント、全国社会保険調査対策協議会会員財閥系子会社、医療事務・介護事業会社の人事として、採用・給与計算・労働保険手続きを担当し、2011年4月1日に社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティングを開業。
ハローワークにて「助成金支給申請アドバイザー」として、窓口で支給申請の受理手続き(約700件)、相談・アドバイス、不正受給防止のため事業所への実地調査を行った経験がある。
その勤務経験から、企業に対して現状と今後の展望をヒアリングした上で、最適な助成金の提案・手続きを行っている。社会保険労務士として、労働社会保険手続き、助成金手続き、就業規則の作成・改定、給与計算、セミナー講師を行う。
その一方で、人事マンの経験を活かし人事コンサルタントとして、採用コンサルティング、従業員満足度(ES)調査・向上コンサルティング、マネジメント能力向上研修(マネージャーMQ)、社会保険調査対策、人事制度構築といった人事コンサルティングにも力を入れている。ホームページ:http://www.leaf-sr.jp/