2016.01.15
保育園訪問【雑誌掲載版】

あまねの杜保育園──自然とともに伸び伸び遊べ、保護者や保育士が安心できる保育園

自然とともに伸び伸び遊べ、保護者や保育士が安心できる保育園──あまねの杜保育園

給食室が一番好きな場所、日々が食育

園長:谷 幸子さん
園長:谷 幸子さん

私の一番好きな場所は給食室とランチルームです。食を楽しめなければ人生楽しくないじゃないですか。
一段低く設計され子ども目線に作られた大釜の前で煮物や揚げ物のお手伝いをしながら、素通しのガラス窓の向こうで釜から立ち昇る湯気の様子を覗き込む子ども達の姿を見るのが大好きなんです。

保育園に入園してきた子に、大豆、にんじん、ごぼうなど素材を知らない子がいたんですね。
子ども達の会話を聞いていると、出来合いのレトルトを食べる子が増えていて、何パックには何のシールがついているとかそんな感じで話しています。お弁当のおかずも、電子レンジで全部済んでしまう。
そんな時代だからこそ色いろな素材に触れさせたいと思っています。

8月にオープンして、試行錯誤しながら屋上菜園でナスやインゲンを栽培し、今は大根・白菜・ブロッコリーなど冬野菜を育てています。作物を育てることと食が一体化しているのが良いと思っています。
この冬は年長さんの味噌作りはもちろん、収穫した大根で切り干しを作る予定でいます。

給食はランチルームで職員も一緒に食べています。食べない子、食の細い子には、量を見極めながら配膳します。
ほとんど食べ残すことがないのは忙しい調理師さん達の意欲にもなり、うれしいことです。

子ども達が作った味噌での味噌ラーメン

明るいランチルーム
明るいランチルーム

今日の給食のメニューはラーメンでした。
以前勤めていた、みそら保育園の卒園製作は味噌づくり。味噌を仕込んで子ども達は卒園します。初めての夏休み、 最初の土曜日は蔵だしをするんです。その日はお祭りです。子ども達も、お父さん、お母さんもみんな楽しみにしています。今年はそんな味噌を一樽おすそ分けしてもらいました。
あまねの杜保育園でも今年は味噌作りに挑戦します。今からちょっと楽しみなんですよ。

子ども達の目の前で魚も調理

「ほら見てごらん。このサンマ、くちばしがこんなに黄色いよ。光っているお目めを見てごらん。昨日まで海でこうして泳いでいたんだよ。」と話しながら調理します。血も出るし、ハラワタもありますが、子どもは真剣に見てくれます。

保育士は、魚を調理をする前に子ども達に絵本や図鑑などを見せています。子ども達は口から入ったものはどのように身体の中を通っていくか、それがどのように自分達の血となり肉となるのか、生きているものを食べているとはどういうことなのかを学びます。
サンマだったらその場で揚げ焼きにする。骨も全部一緒にいただきます。あじは“さんが焼き”、屋上のネギと作った味噌を合わせて焼いて食べます。子ども達が自分や友達そして生き物すべてを慈しみ愛せる人間になってほしいと願って実施しています。

アレルギーの子どもにも配慮して

外部からは守られた外観|拾ってきたどんぐりで制作|開放的な遊戯室|地域と繋がる掲示版

収穫したじゃがいもでのクッキングでコロッケ作りを計画していましたが、子どもの中には、卵アレルギーの子どももいるので、今回はニョッキを作りました。
自分で作ったものは、世界一おいしいですよね。作ったものを3歳児にもご馳走しながら一緒に食べる。興味と関心がいっぱいの幼児期に色いろ体験させてあげたいんです。

お父さん、お母さん「いっぱい可愛がってあげてね!」

子どもが生きているものを何でも愛せる人に育ってほしいですね。お父さん、お母さんには「いっぱい可愛がってあげてね。」と言います。いっぱい可愛がってあげたら、将来、人を愛し自分を愛せる人になります。今は忙しいと思うかもしれないけれど、お釈迦様の手の平の上で孫悟空が遊んでいたように、広い心を持って育児を楽しんでほしいと思います。お父さんやお母さんが80歳、90歳になった時に、必ずいい思い出になるから。
今は、子どもを「可愛いよ。好きだよ。」「大好きだよ。」「いい子だね。」と、声にして言ってあげる。子どもによっては、言葉で伝えないと感じない子もいるんです。
保育士にも「子ども達のことを決して否定はしないでね。」と言っています。子どものすることには必ず意味があるから、「ダメ」「いけない」「そうじゃない」と言うのではなく、どうして子どもがそうしたのかを考えなさいと言っています。

あまねの杜保育園といえば……

「愛情」ですね。保育士も保護者も根底に「愛情」がなければ、子どもは育ちません。「愛情」いっぱいで、「あまねの杜保育園に行きたいって、子ども達が言う保育園にしようね。」と職員には言っています。
保育園に元気に通って、あれをしたいこれをしたいと思える保育園を目指しています。

一級建築士の相坂研介さんによって設計されたあまねの杜保育園。
相坂さんに園のコンセプトについてうかがいました。
コンセプトは「光と風をあまねく感じ、土と水と緑を周る……」自然の物を感じながら自然と共に育つという園の方針に沿った施設を考えました。
子どもの利益を最優先に考え子どもの目線に立った設計を心がけました。
中庭と外端の木々を周るようにデッキ、スロープ、階段やブリッジを巡らせて、子ども達が楽しく遊べ、全体をガラス張りにして保育士の目が届き易く、緊急時も逃げ易い立体回遊動線とし、それを外部からは台形の壁と屋根で覆うような構成になっています。
屋上の菜園で屋根の断熱性も高めていますし、川や池の水は雨水を利用しています。夏は日差しを遮り冬の日差しは届ける工夫や、トンネルの冷気を地中でも冷やして室内に送る地熱活用の空調など、なるべく省エネで、自然の力を活かした施設としました。

あまねの杜保育園

あまねの杜保育園

住所

〒273-0044
千葉県船橋市行田2-9-10

公共交通機関

JR総武線 西船橋駅よりバス10分「行田団地」下車徒歩5分

開園時間

平日 07:00~20:00、土曜日 7:00~19:00

連絡先

TEL:047-401-5011 FAX:047-401-5021

ホームページ


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