アソシエ祐天寺西保育園──主体性を大事にした質の高い教育で持続可能な社会の創り手を育てる
アソシエ祐天寺西保育園さんについて教えてください。
松本:祐天寺西保育園は2年前に開園した新しい園です。私達は地域の人達とともに手を取り合って保育をしていける環境を作りたいと考えております。目黒という都会の住宅街の街並みに馴染むような外観も、アソシエの保育園づくり全体の特徴です。
保育では、子どもの主体性を大事にしています。乳児は担当制保育で、応答的な関わりプラス欲求を満たすという部分できめ細かな保育をしています。その経験を経て、幼児保育では自発性に目を向け、自分で選ぶ、考える、仲間とともに取り組むというところを大切にしています。また、遊びの中で学ぶことを大事にしており、決して無理強いさせることなく、子ども達がやってみたいと思える環境づくりや声掛けをしています。
菊池:アソシエでは、生きる力を育むという観点からアート、ミュージック、イングリッシュ、スポーツの4つのアクティビティを行なっています。遊びを軸にして、子ども達の非認知能力や神経系の発育を促すことと、小学校を見据えた学びに向かう力の育成をコンセプトにしてカリキュラムの構築をしています。
アクティビティは専任の講師が各園を巡回して行なっています。アクティビティの時間だけで終わらせず日々の保育の中でも実践できるように、保育士にも具体的な内容を伝えています。すぐに実践できるような遊びの実技研修も行なっており、先生達からは大変好評です。
また、幼児教育ではSDGs の活動も行なっているところです。
どういったSDGs の活動をしているのですか?
菊池:SDGs の前段階にESD(Education for Sustainable Development=持続可能な開発のための教育)があります。持続可能な社会の創り手を育てるということは、保育所保育指針・幼稚園教育要領、学習指導要領にも書かれており、これからの保育観や教育の大きな柱になると考えられ、SDGs の目標4「質の高い教育をみんなに」にも含まれています。この質の高い教育(ESD)が達成されることで、すべての目標達成に貢献する資質能力を身につけていくことができます。
この考えをベースにして、私達はSDGs という共通のテーマを通して、子ども達と一緒に地球や環境について考えたり話し合ったりするというワークショップを開発しています。保育の一環として取り入れられるように、SDGs の17目標に照らし合わせた絵本を絵本ナビさんに選書していただき、「SDGs こどもえほんだな」を作りました。たとえば『ぼくのまちをつくろう!(作・絵:スギヤマ カナヨ)』という絵本は、目標11「住み続けられるまちづくりを」に合致した内容です。子ども達と一緒に絵本を読んで、どんな街に住みたいか、みんなが幸せに暮らすことができる街はどんな街か、考えたことや願いを一緒に話し合うというかたちでワークショップを行なっています。
「SDGs こどもえほんだな」は各施設に設置されているので、普段から子ども達が自由に手に取れますし、保育士が読み聞かせしたりして身近になっています。
松本:実践としては、「住み続けられるまちづくりを」のテーマでスーパーに行きました。そこでリサイクル箱を見つけて、いつも私達がゴミにしているものは、本当は使えるのかな? と考え、捨てるはずだった段ボールを使って、4歳児さんが大きなロケットを作りました。このロケットで0歳児さんも遊んでいて、本当はごみになるはずだったものがみんなの宝物になったという発見がありましたね。「まちづくり」というテーマから、目標12「つくる責任つかう責任」とも連動した活動に発展していきました。
また、これは食育にも関わってくるのですが、幼児さんは残飯量を見るようにしています。『やまからにげてきた・ゴミをぽいぽい(作・絵: 田島 征三)』という絵本でSDGs ワークショップを行なった次の日からは残飯が減ってきて、それをみんなで確認して、「これで世界が平和になるね」という発言もありました。SDGs の17 目標が子どもにも職員にも浸透しているなと思います。
菊池:SDGs は大人でも解釈が難しいことがありますが、伝え方を工夫すれば子ども達と一緒に考えることができます。子ども達が豊かに考え、それを言葉にして伝え合い、話し合いを深める姿を見て、とても充実した時間を過ごすことができていると思います。
保育の質の向上のために行なっていることはありますか?
松本:職員間のコミュニケーションを大切にしています。しかし、今はコロナ禍なので人数や時間を制限しています。そこでラベルワークを取り入れました。テーマを書いた模造紙を貼りだし、そこにみんなが考えを付箋で貼っていくものです。対面でのコミュニケーションが難しい状況でも、このワークなら職員同士がコミュニケーションを取ることができます。
リーダー層はキャリアアップ研修に参加した後、園内にフィードバックをします。それも今は時短で10分間になっていますが、むしろ要点がはっきりし、聞く側も積極的に学ぼうという姿勢になり、良い変化となりました。
コロナ禍の制限の中で、コミュニケーションも学びも大切にし、できる方法で続けようと考えています。保育士も楽しんで質の高い保育を目指し、職員が生き生きと働き続けられるよう努めています。
ここで育った子ども達に将来どうなってほしいですか?
松本:今の時代を生きる子ども達は、何が起きるかわからない不確実な未来に大人になっていくので、どんなことでも乗り越える力、生きる力を身につけてほしいです。
私達は生きる喜びと生きる力を育むことを目標に保育にあたっています。受け止めてもらったという経験と主体性を育むことが、自己肯定感、生きる力に繋がると思います。それを大切にして、大きな社会に送り出そうと思います。
菊池:SDGs・ESD を通して地球や環境、平和に目を向けることが日常という環境の中で育った子ども達は、きっと私達の世代が思いつかなかったようなアイデアや解決方法を見出していくのではないかと思います。子ども達には、園での学びを通して、私達が解決できなかったことに力を貸してくれるような、持続可能な社会の創り手に育っていってほしいと願っています。
アソシエ祐天寺西保育園といったら?
松本:一人ひとりに寄り添った温かい保育園ですね。職員を多く配置し、子どもに無理強いもせず、やりたいことを十分にできる保育園です。
アソシエ祐天寺西保育園
住所
〒153-0053
東京都目黒区五本木一丁目40番11号
アクセス
東急東横線 祐天寺駅より徒歩5分
開園時間
月~土 7:15~18:15、延長(月~金)18:15~20:15
連絡先
TEL:03-6303-4817 FAX:03-6303-4818