2026.01.15
保育園訪問【雑誌掲載版】

高円寺りとるぱんぷきんず──自分を大切に、人を大切に。愛された記憶が未来をつくる。

高円寺りとるぱんぷきんず──自分を大切に、人を大切に。愛された記憶が未来をつくる。

高円寺りとるぱんぷきんず 園長:尾池 舞子さん

高円寺りとるぱんぷきんずさんについて教えてください。

今、開園して8年目になります。定員は73名なのですが、現在は76名在籍していて、少し弾力的にお預かりしている状況です。
園庭はないのですが、園舎の前にハーブをたくさん植えていて、緑のある環境を大切にしています。子ども達や保護者の方からも「気持ちがいい」と好評です。さらに、このハーブを使ったワークショップを地域の方に向けて定期的に開催しています。土曜日に、リースやしめ縄を作る会を開いたり、在園児も一緒に参加できるようにしています。地域に開かれた園を目指しています。

建物のこだわりについて教えてください。

園舎は理事長が考えて作っています。母体となる福岡に2施設、関東に8施設あるのですが、それぞれにテーマがあり、この園のテーマは「ひかり」です。ランチルームも窓から光が差し込む造りになっていて、大きな窓からたっぷり光が入るよう工夫しています。
また、子どもを“子ども扱い”しない=一人の人として尊重する、ということも大切にしています。一般的な保育園のイメージというと、キャラクターの装飾や壁面などが多い印象ですが、私達は「本物を大切にして大人も子どもも居心地のよい空間」を目指しています。大人が見ても「素敵だな」と思える家具や装飾を選び、一つひとつ園舎に合うかどうかを丁寧に考えています。そうした空間づくりを園のブランディングとして大切にしているので、来園された方から「美術館みたいですね」と言われることもあります。

食にも力を入れているそうですね。

食育活動では、0歳児から毎月クッキングに参加しています。時期によっては菜園活動で育てた野菜を使って、収穫・調理をして食べる流れを採り入れています。
大きな特徴は「ビュッフェ形式」の給食で、子ども自身が体調やお腹の空き具合を考えて盛りつけます。1歳後半頃から取り入れ、歩行が安定した子はデザートだけ取りに行くなど、発達に合わせ少しずつ挑戦しています。ビュッフェでは「見本の量」を参考にし、苦手なものも少量は必ず取ります。大人は寄り添い「一口だけチャレンジしてみよう」と声をかけ、自分で取ったものは責任を持って食べるようにしています。
また、月に1回「国際食」と「郷土食」を提供し、中国料理のチンジャオロースを出した際には国旗や挨拶を紹介するなど、食から文化を学ぶ機会としています。
こうした取り組みから発展し、子ども達が梅シロップを作って夏祭りで販売する活動にも繋がりました。収益をどう使うか話し合い、「もっと梅ジュースを作りたい」「0・1歳クラスに本を買いたい」といった意見が出るなど、子ども達の発想が広がっています。

園の保育方針についても教えてください。

「地域に開かれた園」を大きな柱にして取り組みを進めています。目標としては、生活習慣の自立、自主性・自発性の確立・社会性の確立です。そのために「自分でできる環境」を整えることを大切にしています。
例えば、子ども達は自分で椅子を運んだり片付けたり、食事の前にはお当番がテーブルにテーブル用の台拭きや園の前で摘んだハーブを並べます。見学に来られた方から「ここまでできるんですね」と驚かれることもあります。
クラス会議や研修を通して「どういう環境があれば子ども達の自立を支えられるか」を常に考えています。

この園ならではの特徴的な取り組みはありますか?

四大行事(夏祭り・運動会・クリスマス会・生活発表会)の中でも、特に力を入れているのが2月の生活発表会です。地域のホールを借りて、本格的なステージで発表を行なっています。照明や音響もプロにお願いし、一人ひとりにスポットライトが当たる経験を大切にしています。「本物に触れる」ということを大事にしている園だからこそ、子ども達にも本格的な舞台に立つ体験をしてもらいたいと考えています。
「本物」へのこだわりは、行事だけではありません。植栽や陶器の食器など、日常の中でも大人と同じように丁寧に扱うことを通じて、物を大切にする気持ちを育んでいます。

パンプキンジャーというヒーロー活動もされているそうですね。

高円寺りとるぱんぷきんず:日本初の保育園発ヒーロー! パンプキンジャー

はい。「保育戦隊パンプキンジャー」は日本初の保育園発ヒーローです。理事長の「戦隊がいたら子ども達が喜ぶのでは」という一言から始まりました。最初はYouTubeへの動画投稿が中心でしたが、今では地域イベントや姉妹園の行事にも出演し、体操やダンスを披露しています。
2024年にはクラウドファンディングも成功し、2025年からはプロが手掛けた新しいスーツを身にまとって活動を開始しました。現在は「全ての子どもを笑顔にする」を目標に掲げ、防災や交通安全の啓発も取り入れながら、杉並区・渋谷区・豊島区など幅広い地域のイベントに出演しています。

職員の働きやすい環境づくりについて教えてください。

大切にしているのは「若手の声を聞く」ことです。理事長からもよく言われるのですが、風通しの良さを意識し、意見を吸い上げやすい雰囲気をつくっています。会議でもベテランの意見に固定せず、「最近どんなことが流行っているの?」と若手に声をかけ、ヒントをもらうようにしています。
また、チームビルディング研修を定期的に行い、お互いの意外な一面を知る機会を設けています。これにより壁がなくなり、意見交換がしやすくなります。面談も園長・主任それぞれと行い、職員が「やりたい保育」を形にできるようサポートしています。
ICTやAIの活用も積極的です。書類の見直しやDX研修を進め、AIを使ったペープサート作りや行事資料作成など、業務の効率化に繋げています。さらに1年目職員には先輩がつくメンター制度を導入し、安心して成長できる環境を整えています。

この園で育った子ども達には将来どのように育ってほしいですか?

高円寺りとるぱんぷきんず

自立していて、自己肯定感を持ち、自分も相手も大切にできる人になってほしいです。自分が満たされているからこそ、人を大切にできると思うので、まずは「自分って大事だ」と思える経験を重ねてほしいですね。そして、自分の意志を持って行動できる大人、新しいことにチャレンジできる大人になってほしいです。20年後に社会に出た時、「いっぱい愛されたな」と思い出せる体験を土台にして、活躍してほしいと願っています。

今後の展望について教えてください。

園は、子どもにとって初めて出会う社会です。先ほども申し上げた通り、子ども達には将来チャレンジできる大人になってほしい。そのためには、まず一番初めに出会う社会の大人である私達が様ざまなことに挑戦する姿を見せていきたいです。保育業界は閉鎖的になりがちですが、私達はもっと外に開いていきたいと考えています。企業とのコラボレーションなど、保育を軸にしながらも新しい挑戦を積極的にしていきたいです。
法人の理念に「新しい保育の創造」「無限の可能性を信じ、共に育ちあう個と公の集団」という言葉があります。子ども達だけでなく、保育業界そのものの可能性も広げたい。「保育士の社会的地位を向上したい」という理事長の想いにも繋がります。社会の一員として胸を張って活動できる保育士を育て、業界の「異端児」として新しい保育の姿を示していきます。

(MiRAKUU vol.53掲載)

高円寺りとるぱんぷきんず

高円寺りとるぱんぷきんず:MiRAKUU編集後記

住所

〒166-0002
東京都杉並区高円寺北1-27-3

アクセス

JR中央線、中央・総武線各停 高円寺駅より徒歩11分~13分
JR中央線、中央・総武線各停、東西線 中野駅より徒歩11分~13分

開園時間

月~土 7:30~20:30(延長保育18:31~20:30)

連絡先

TEL:03-5318-5605
FAX:03-5318-5606