まちの保育園 東池袋──自分を、そして対話を大切にし、様ざまな人の中で互いに育ち合う
まちの保育園 東池袋さんについて教えてください。
「一人ひとりの存在そのものを喜び、互いに育みあうコミュニティを創造する」。このまちの保育園・こども園が掲げる理念に共感し、運営を社会福祉法人毛里田睦会が行うアライアンス(提携)園として、平成29年4月に開園しました。地域の中心となるような園でありたい、地域の繋がりを大切にしようというところから「まちの」保育園という名前になっています。
小さな保育園で園庭はありませんが、近くには去年にオープンしたIKE・SUNPARK(イケ・サンパーク)や図書館、劇場や区民広場などがあり、子ども達がのびのびと遊び、学べる環境が整っています。
保育士の質の向上のために行なっていることは何ですか?
子どもの心に寄り添った保育をしていくため、保育士としての心のあり方やスタンスを大切にし、自分自身を振り返るような研修を主に行なってきました。たとえば保育士に特化したナーサリーコーチングを2年連続で研修したり、子どもの人権について学んだりですね。豊島区で行なっている保育に関する研修にも参加しています。保育士としての心の持ち方、保育の理論や技術を保育士一人ひとりが偏ることなく学んでいくことで、全体の保育の質を上げていくことに繋がり、「まちの保育園」の理念により近づいていくことができると考えています。
職員からも、このようにまんべんなく研修をしていくことで、自分を振り返る機会をもらい、変化するきっかけをもらっている、それが総じてチームビルディングに繋がっているという声が上がっているので、研修がしっかりと身になっていると感じます。
今年度からは、まちの保育園・こども園の姉妹会社であるまちの研究所が主催する、保育者・教職者・こどもに関わる人のための学びのオンラインプラットフォーム「まちのアカデミー」に参加しています。そこでは、子どもの育ちやドキュメンテーション、環境、レッジョ・エミリア教育等について学ぶゼミが開かれ、年間を通して先生達が主体的に、コミュニティを持って学びを深める研修ができるようになっています。今までの研修だけでなく、横の繋がりを持った「まちのアカデミー」でのゼミで、より質の高い保育を目指していきたいです。
新型コロナが出てきて変わったことはありますか?
保護者の方と一緒に行事を行うことが難しくなってしまいました。まちの保育園には「子ども時代の今を豊かにする家庭との連携」という基本理念があり、保育者と保護者の連携を大事にしていきたいのですが、今までと同じかたちで行事を行うと密になってしまうので、開催が難しいのです。クラス単位でやってはどうか、オンラインではどうかという声もありました。しかし私達は、子ども同士緩やかに異年齢保育をしていく中でお互いに育ち合うという保育を大切にしているので、クラス単位だと私達の保育に対するスタンスと若干違った行事になってしまうんですね。オンラインにしても、「見せる」となると子ども達が意識してしまい、普段の子どもの姿が映し出されなくなってしまうのではないかと思うのです。どのようにして園の中の保育を保護者の方と共有し、ともに行事を楽しむようにしていくかというのは、試行錯誤しているところです。
ここに通っている子ども達に将来どうなってほしいですか?
「みずみずしい感性とやわらかな心で 自分と他者を大切に思い ともに生きる人」を園が目指す人物像として掲げています。概念的ではありますが、子ども達にはそうなってほしいし、そういう子に育てていきたい。また、私達保育士自身もそういう人物になっていこうと常日頃伝えています。
人は、それぞれが育ってきた環境や関わってきた人により「現在の自分」になります。今現在の自分というのはこの私しかありえないわけで、ほかの人と比較しようがない、ありのままの自分を受け入れ肯定していくことがとても大切だと思っています。これを得心した時に、自分と他者とお互いに大事にしていけるし、僕の考えはこうだけど、あの人の考えはこうなんだ、じゃあこういう風にしていったらいいよね、というように対話を大事にしていけるのではないかと思います。さらに、みずみずしい感性を持って色いろなものに興味関心を示し、気持ちを大事にしていく。そういったことが全部融合されていくと、きっと、心が豊かな人生を送れるのではないでしょうか。
今後の展望を教えてください。
今年度から、当園では子ども達と1年間のテーマを決めて活動に取り組んでいくことになりました。今年度のテーマは「色」と「絵本の世界」です。これをベースにしながら日々の保育や行事を楽しみ、さらにステップアップしたいですね。
テーマだけでなく、たとえばみんなで使うお砂場セットや、おままごとコーナーに置くものなどを、子ども達と一緒に考え、選び、購入しています。どういう遊びをしたいのか、それならどういうものがあったらいいのか。すべて職員が考え、注文し、ポンと置いて終わりではなく、子ども達と一緒に職員が考え、ルールを決めて使っていくのです。そうすることで、自然と物を大切にする心が育ちますし、かつ保育園の運営というものに職員も子どもも関わっていけます。こういう活動をさらに展開していきたいと考えています。
また、希望的観測ではありますが、もうちょっとしたら新型コロナも落ち着いてくるかなというところで、保護者の方が一緒に参加して楽しめるような、新しいかたちでの行事を行いたいと思っています。
まちの保育園 東池袋といったら?
「対話をしてともに育ち合う園」です。今は園自体が成長段階にあって、子ども達はもちろん、職員の成長もすごく見て取れるんですね。また、私自身も施設を預かる者として成長させてもらっているなと感じます。対話を大事にし理解を深めることで、お互いにより良い成長ができています。
※今回は新型コロナウイルスの影響を鑑みてオンラインにて取材させていただきました。
まちの保育園 東池袋
住所
〒170-0011
豊島区東池袋2-6-2ロイヤルアネックス1階
アクセス
JR山手線 大塚駅より徒歩7分
開園時間
月~土 7:30~20:30
連絡先
TEL:03-6915-2773 FAX:03-3971-7110