ゆめのいろ保育園中野──「生まれてきてくれてありがとう」という想いを大事に日々子ども達と関わる
ゆめのいろ保育園中野さんについて教えてください。
当園は2017年4月に株式会社絶好調が開園した中野区の小規模園です。2019年に分社化して現在は株式会社ゆめのいろが運営しています。
都内の小規模園には珍しく園庭があるのが特長の1つです。
園舎は、保育室と調理室がお互い見えるようになっています。外から帰ってくると良い匂いがするのです。おうちに帰ってきた時、ご飯やおうちの匂いがすると「帰ってきた」という感じがしてほっとしますよね。私達は、ここが子ども達の第2のおうちであってほしいと思っているので、そういう家庭的な雰囲気を作れているのではないかなと思っています。
お互いに顔が見えるので、感謝の気持ちを持ちながら食事をすることができ、食べ残しも少ないです。調理師も子どもの食べている様子が見られるので良い効果があると思います。
どのような保育を行なっていますか?
0~2歳児の乳児期は、三つ子の魂百までとあるように、人の一生の成長の中で、一番大事な時期です。何かを教えるよりも、生活や遊びの中で様ざまなことを体験して、自ら身につけていくことを大事にしています。
特別なカリキュラムは設けず、子どもの様子を見て、流行っている遊びを展開していくような保育をしています。
園にはどのような行事がありますか?
保護者と一緒に夏祭り、おいもパーティ、お餅つきの行事をしています。当園は運動会・発表会を行いません。先生の負担が大きいですし、0~2歳児であれば運動会・発表会でなくても保護者の方に成長をお見せすることができると思うからです。親子で楽しい想い出を作ってもらえたらと思い、このような行事を行なっております。
特にお餅つきは「日本の伝統行事を体験する」ねらいもあります。1つずつパックになっているお餅、プラスチックの鏡餅しか見たことがない子もいます。自分が体験していないことはわからないものです。昨今、日本の伝統行事がどんどん減っていると感じるため、子ども達に体験してほしいのです。
また、月ごとにお誕生会をする園が多いかと思いますが、当園では子どもの誕生日当日にお祝いの時間を設けます。よく飲食店で誕生日のサプライズがありますが、そのようなイメージです。
誕生日はお母さんが一番頑張った日でもあり、「産んでくれてありがとう」という意味もあるので、親御さんがお迎えにいらした時に少しお時間をいただいております。
果物やお菓子をのせたプレートをあげて、みんなでお祝いの歌を歌い、子どもが食べている間に生まれた時の様子などを親御さんにお聞きしています。
このようなお話を聞くと、親御さんとの距離がぐっと縮まり、改めて大切に慈しんで関わっていこうと思いますね。
当日に親子で撮った写真をカードに貼り、花束と一緒にお渡ししています。
保育士の質の向上についての取り組みを教えてください。
保育業務だけに追われることなく、休憩時間を取るということを大切にしています。心に余裕がないとピリピリしてしまい、それが子どもにも伝わり、保育に影響が出てしまうからです。
また、コロナだからできない、人が足りないからできないというような言い訳をするのではなく、今の環境、状況で「どうやったらできるかを考える」というマインドになるようにしています。
基本はトップダウンではなくボトムアップの組織を目指しています。まずやってみて、失敗や気づきがあったらそこで改善していく。トライ&チェンジです。
自ら考え、進んで行動し、成長や向上に繋げることを大事にしています。
保護者の方を下のお名前で呼ぶそうですね。
保育園の存在意義として、お子様をお預かりするという形以外に、子育てしている親御さんが、何かあった時に駆け込める場所というのもあると思います。都会に住んでいる方は、ご実家が遠かったり、ご近所付き合いが希薄だったりして、すぐに預けたり相談できる人が少ないと思うのです。そんな時に、ゆめのいろ保育園を思い出してもらえたら嬉しい。
そのため「お父さん」「お母さん」ではなく、1人の人としての付き合いを大切にする意味合いを込めて、下のお名前でお呼びさせていただいております。
特に女性は、立場や呼び名が変わることでアイデンティティが揺らぎがちなので、きちんと名前を呼んで差し上げるとそれだけでずいぶん違うと感じます。中には、嬉し涙を流される方もいらっしゃいました。
下の名前で呼び合えると距離が近づくので、開示していただけているのではないかと思います。
この園で育ったお子さんに将来どうなってほしいですか?
自分の力で生き抜いていくマインドを身につけてほしいです。
ある1つの事実に対して、解釈は無限大です。捉え方1つで良くも悪くもなります。悪い局面だと思える時でも、チャンスだと思って勇気を持ってチャレンジしていくことが大切です。チャレンジせず失敗しないように生きる人生か、どんどんチャレンジして成功も失敗も経験しながら生きる人生か。
自分の人生だから常に誰かのせいにして周りを恨むのではなく、何があってもきちんと立ち向かって、自分の道は自分で切り開いていけるような逞しい子に育ってほしいです。
今後の展望を教えてください。
小規模園への給付金は、国加算がないので少ないです。当園は定員19名ですが、2023年4月より、弾力運用で定員20名となります。今後どのようになるか現段階ではわかりませんが、このまま認可園化を目指していく予定です。他にも、シッター派遣や病児病後保育など、保護者のニーズに合わせた福祉サービスを展開していけたらいいなと思います。
また、6年間園長をしてきて、園長など上の立場を目指す保育士さんが増えるといいなと思うようになりました。
女性は未経験のことに対して消極的だったり、同列を求めたり、教育や境遇により責任ある立場を望まない人も多いです。しかし、女性が大多数の業界のため、このままでは業界の発展にも、改善にも繋がらないと思うのです。
管理職に就きたい、やりたいという若い力が増えたら、もっと日本も保育のあり方も変わってくるのではないかと思います。
ゆめのいろ保育園中野といったら?
「ありがとう」が飛び交っている園です。
絶好調グループの経営理念として、『わたくしたちは 夢とありがとうのあふれる社会をつくります お客様の笑顔のため業界の繁栄のため 日本を元気にするために!』 を掲げております。
当たり前のことは何一つないので、全ての人、物、出来事に感謝の心を持ち、職員間だけではなく、保護者様、子ども達に、常に「ありがとう」を言葉にして伝えています。
中途採用の職員が、「こんなにありがとうが飛び交っている職場は初めてです」と話してくれたこともあります。「すみません」より「ありがとう」が増えると、自然と職場の雰囲気も明るくなりますよね!!
(MiRAKUU vol.42掲載)
ゆめのいろ保育園中野
住所
〒164-0012
東京都中野区本町5-47-10 鈴木ビル
アクセス
東京メトロ丸ノ内線 新中野駅より徒歩6分
東京メトロ丸ノ内線 中野富士見町駅より徒歩5分
開園時間
月~金 7:00~18:00
土 8:00~17:00
延長保育(月~金) 18:00~19:00
連絡先
TEL:03-6382-6865