2025.10.24
保育園訪問【Web限定版】

ヒューマンアカデミー大倉山保育園──子どもとの対話から始まる、探究の保育

ヒューマンアカデミー大倉山保育園──子どもとの対話から始まる、探究の保育

ヒューマンアカデミー大倉山保育園 園長:佐古田 直樹さん

ヒューマンアカデミー大倉山保育園さんについて教えてください。

園児は全員で90名おり、内訳は0歳児が6名、1歳児・2歳児がそれぞれ15名ずつ、3歳・4歳・5歳がそれぞれ18名ずつです。
2014年4月に開園し、今、開園から12年目を迎えた保育園です。

園の特徴を教えてください。

保育の理念として「こどもの自立の芽を育てる」というものを掲げ、その中で子ども主体の保育を追求しています。
大切にしているキーワードは「こどもとの対話」です。
例えば「今日どこの公園に行きたい?」「今日はどんな活動をしようか?」といったやりとりから始まり、「この活動をやってみてどうだった?」「明日はどんなことをしてみたい?」と問いかけを重ねています。
こうして、子ども達が「やってみたい」「面白そう」と思ったことを保育へ展開する流れを大切にしています。

子ども主体の取り組みについて具体的に教えてください。

1歳児クラスでは、公園で木の実を集めるのが好きな子ども達が多く、これまでは集めて持ち帰るだけでしたが、今年は「持ち帰ってやってみよう」ということになり、ジップロックに入れて水を混ぜ揉んで、ジュース作りを楽しみました。
触感や香りなど五感を使った遊びで、次は桃やキュウリの皮を使った“第2弾”ジュース作りへ発展しています。

2歳児クラスでは、虫が大好きな子ども達が多く、アリやダンゴムシを飼うところから始めました。
「どんなところが住みやすい?」と話しながら、木の枝や落ち葉を集めて環境を整え、1年を通してバッタやカマキリなど6~7種類の虫の観察をしました。子ども達は名前を付けながら虫のことを調べて楽しみました。

また、今年は特に、ヒューマンアカデミーの全園で「探求活動プログラム」に取り組んでおり、4歳児クラスは実験遊びに夢中です。
公園で拾った松ぼっくりを使い、「水に濡れるとしぼむ」「日に当たると開く」という習性を確かめたり、「むしってみたら?」「土に埋めたらどうなる?」といった疑問や「土に植えたら木になる」という予想を立てる子もおり、楽しみながら探究を続けています。
その他水や光を使った実験も行い、図鑑で見たことを試す姿もあります。
子ども達から出た疑問を次の活動に活かしています。

子ども達が主体となり行なったイベントにはどんなものがありますか?

一番大きなイベントは、夏に行う「たなばた星まつり」という夏祭りです。
ここでは毎年、年長児がお神輿を担ぐ伝統があります。子ども達の興味に合わせて、海が好きならジンベエザメ、恐竜が好きなら恐竜といったように子ども達と相談をしてお神輿を作ってきました。
そして今年は「本物のお神輿を作りたい」という声が上がり、町内の方にお願いして本物を見せてもらうことができ、鈴の意味や、熊野神社の八咫烏(やたがらす)の社紋などを再現してお神輿を作りました。
秋の神社のお祭りの中で町内の神輿と一緒に練り歩く予定です。子ども達の「やってみたい」という思いから生まれた活動が、地域の方を巻き込んで貴重な地域交流の機会となりました。

カリキュラムはありますか?

外部講師に委託しているのは英語とダンスで、週1回または月2回程度行なっています。
それ以外は日常の保育の中で、担任の先生と子ども達が「今日は何をやってみようか」と相談しながら進めています。

大倉山の地域ならではの良さを教えてください。

坂が多い地域ですが、自然が豊かです。
園庭はありませんが、近くに約20か所の公園があり、乳児が行ける小さな公園から幼児が思いきり遊べる広い公園まで揃っています。
丘のような公園や、花がきれいな場所、どんぐりや松ぼっくりのある場所、ザリガニのいる池などもあり、子ども達の「どこ行く?」「何したい?」という思いを叶えやすい環境です。

地域との交流にはどんなものがありますか。

地域の方を対象に「お散歩体験会」を企画しています。
0歳児・1歳児の子ども達と一緒に園から公園までお散歩し、遊んで帰るという流れを体験してもらいます。今月も実施予定です。

また、普段行なっているダンスレッスンを通して踊ることが好きになり、「港北ストリートダンスまつり」に毎年参加させていただいています。大勢のお客さんの前で、笑顔で! 元気に! 踊ってきました。

ヒューマンアカデミー大倉山保育園:港北ストリートダンスまつり

食への取り組みについて教えてください。

今年の4月から、給食の調理業務をシダックスフードサービスに外部委託しました。オイシックスの食材を使っており、食材の質が向上しました。
また、食育コンテンツも豊富で、先月はお味噌作り、その前はお豆腐作りなど、子ども達に“食べることの楽しさ”を体験してもらっています。

建物の特徴を教えてください。

園はマンションの中にありますが、1階・2階ともに開けたフリースペースが多く設けられています。
フリースペースは保育がしづらいイメージもありますが、先生達同士の横の連携が取りやすく、隣のクラスが困っていたら助けに行く、といったフォローがしやすいのが特徴です。
ワンフロアでの空間なので、異年齢の関わりが多いことも特徴です。年下の友達に優しく接する、年上の友達への憧れの気持ちを持つなどができ、異年齢の良い循環となっています。

職員が働きやすい環境にするために取り組んでいることはありますか。

どこの園でも行われているように、ICT化を進めて職員の日々の負担軽減に繋げています。
さらに、職員同士が色いろなことを伝え合える関係性を作るため、研修でグループディスカッションを多く実施しています。
若い職員達が声を上げやすい環境づくりを心がけ、みんなが同じ方向を向いて保育できる雰囲気・風土作りを意識しています。

人間関係を良くするために行なっていることはありますか。

職員は保育の楽しさや難しさ、悩みを抱えながら日々保育をしています。
そのため、年に3~4回、職員と施設長で面談を行い、今頑張っていることや課題をヒアリングしています。
その上で「こんなふうにやってみたらどうか」とマネジメントできるように心がけています。

職員の方は仕事終わりにはどんな風に過ごしていますか?

横浜方面に住む職員は「ご飯を食べに行ってきます」と出かけることもあります。
また、男性職員で家族がいる者達は、早く帰宅して家族との時間を大切にできるよう配慮しています。
あと年に1度、3月に園全体で大きな飲み会を行います。その際に駅から園の途中にあるお好み焼き屋さんで、2年連続、みんなで宴会をしています。

保育士の質の向上に向けて取り組んでいることはありますか。

子ども主体の保育は正解がないため、職員も悩むことがあります。
施設長はマネジメントの中で、「こどもの自立の芽を育てる」「こども達との対話を大切にする」ことを伝えています。
方向性が大きく外れない限りは口出しせず、先生達も子ども達と同じように挑戦できる環境を整えています。

子ども主体の保育を進める上で、難しさを感じる部分や、意識して取り組んでいることはありますか?

一斉保育の部分もありますが、子ども主体の保育をどう進めるかで悩む職員は多くいます。
例えば、電車が好きな子ども達の保育について「他園ではこうしている」と情報共有し、クラスの枠を超えて話し合い、全体で保育を良くしていく取り組みをしています。

この園で育った子ども達に、将来どうなってほしいですか?

子ども主体の保育を通じて、これからの時代に必要な力を身につけてほしいと考えています。
大人から言われたことだけをやる時代ではないため、非認知能力なども育み、自分で取り組みたいことや目標に向かって歩んでいける、強い人間になってほしいと思っています。

今後の展望を教えてください。

この地域はファミリー層が多く、保護者や地域の方に選ばれ続ける保育園でありたいと考えています。
保育の思いや取り組みを発信し、地域の方に「ここに入りたい」「ここが楽しそう」と思ってもらえる園づくりを目標としています。

ヒューマンアカデミー大倉山保育園

ヒューマンアカデミー大倉山保育園

住所

〒222-0002
神奈川県横浜市港北区師岡町298番地

アクセス

東急東横線 大倉山駅より徒歩11分

開園時間

開園時間 月~金 7:00~20:00
土 7:00~18:30

連絡先

TEL:045-546-3166
FAX:045-546-3167