2016.10.15
保育園訪問【雑誌掲載版】

伊佐沼すまいる保育園──「見守る保育」で子どもを主体にした発達を維持する保育を行う

「見守る保育」で子どもを主体にした発達を維持する保育を行う──伊佐沼すまいる保育園

伊佐沼すまいる保育園の特長は何ですか?

園長:下田 貴史さん

異年齢での自由保育が特長のひとつです。また、自然に恵まれていますので、自然をたくさん活用する保育ができます。

「見守る保育」を行なっているそうですね。

この園をたちあげるときに色いろ勉強をして「見守る保育」のことを知り、モンテッソーリ教育とも重なることが多く、導入しました。しかし、こういう保育は初めてという職員も多く、最初は年度単位のクラス分けにしたり、軌道にのるまでは相当に時間がかかりました。
そんな中で、ギビングツリーという保育のグループに加盟して、他園に研修に行ったり、講義に来ていただいたり、とても親切に助けていただき、本当にありがたかったですね。

実際に「見守る保育」をやっていて良かったことは何ですか?

話し合いのスペース
話し合いのスペース

「見守る保育」は子どもを主体にした発達を維持する保育ということです。
例えば、おもちゃの取り合いでケンカしたとき、保育者が間に入って「ぼくが先に手を出したでしょう、謝りなさい」「謝ったんだから許してあげなさい」ということは絶対にしません。子ども同士で話をさせて解決を促していくようにしています。そのためのコーナーがあるんですよ。そういう話し合いの様子を2~3歳の小さい子達も見ていて、その子達が4歳5歳になったとき、ケンカをすると「じゃああそこで話し合おうよ」と自主的に話し合いをするんです。
他にも、5歳の子がとても優しく3歳の子の面倒を見る姿を見て、2歳の子が0歳の子に優しくしたり、そういう子ども達の中での色いろな関わりがバトンタッチされていくということが本当に多いです。
子ども達の学びってすごいなあと思います。教えなくても自然に学んでいるんですね。自分自身で考えるということが色いろな場面で現れているのかな、と思います。

埼玉県の親支援推進事業モデル施設になった感想をお願いします。

親支援モデル施設・多様な働き方実践企業に認定されています★

実際に保護者の方に1日保育士体験で来ていただき感想をもらうのですが、とても良い評価をいただけて、保育士が自信を持つという点がとても良かったです。
保育士の仕事、例えば発達のチェックシートなど、やるときは大変だな、面倒だなと思うときもあると思うのですが、実際に保護者の方から「いいね」と言っていただけると、やっていて良かったなとすごく励みになりますし、勇気づけられていると思います。

この地域ならではの良さは何ですか?

ハロウィンイベントが埼玉新聞に掲載されました(2014年11月1日)
2014年11月1日埼玉新聞1面

この地域はお子さんがとても少ないエリアなんです。ですから、子どもが来てくれた、町が明るくなったと、とても好意的に受け入れてくださっています。
ハロウィンイベントを企画したとき、園舎の中だけでなく外にも行こうとチラシを近所に配って協力してくれる人を募ったところ、想像以上のお電話をいただきました。アレルギーの子もいるのでお菓子は事前にこちらで用意したのですが、実際に行くとみかんやら色いろ用意してくださっていて。地域の方もすごく楽しみにしてくださっていて、良いイベントになっています。

今、地域の中で子育てをする力が落ちているなどと言われますが、子どもの側も良くないところがあるんじゃないかと思うんですね。昔は野原や公園に子ども達が集っていて、地域の人が間接的に子育てをする機会がいっぱいあったけれども、今はそういう子どもを見る機会すらなくなってしまった。そんな状況で「地域の子育て力が落ちています」と言われても、どうしようもないですよね。子ども達からどんどん地域に出て行かないと。地域を明るくするのは子どもの役目だと思います。

毎年保育テーマがあるそうですが?

広い園庭は子ども達がのびのび遊べる自慢の場所!

去年は「子どもは小さな科学者」。園外に行く時には必ず図鑑や虫眼鏡を持って、草花や虫を観察して、ということをやっていました。科学をする心って、好奇心だと思うんです。例えば先回りして正解を与えたり、知識を一方的に伝授したりしてしまうと、種明かしをされた手品がつまらないのと同じように、考える余地がなくなってしまって飽きちゃいますよね。子どもの好奇心を消さないことが大切だと思います。
今年は「本が大好き」です。去年のテーマと断絶したわけではなくて、「本」という世界の中を探検してほしいと思いこのテーマにしました。本を好きになることによって生涯プラスになることがたくさんあります。それに、この頃の子ども達の「本」は、基本的には親御さんが読んであげるものなんですね。本を読んであげるという行為によって、親子の関係も育むことができると思っています。

働きやすい職場にするために心がけていることは何ですか?

悪い所を指摘されるよりは、良い所を褒められる方が嬉しいですよね。悪い所を直すより、良い所をお互いに認め合うことを心がけています。また、信じて任せるというのも大切ですね。慌てない・急がない・任せる・信じる、その姿勢がないと細かいことばかり言ってしまってギクシャクしますから。
あとは、多様な働き方をしている職員が多いです。朝と晩のみの人、2時間、3時間勤務の人。色いろな人にそれぞれのライフスタイルに合わせて働いてもらっています。保育士さん同士とても仲が良くて、何かあると「私が残業するから先に帰って」とお互いにカバーし合っています。

ここの保育園で育った子ども達に将来どうなってほしいですか?

自分自身の人生を、自分で切り開いていける人になってほしいです。自分のことが大好きな子、自己肯定感が高い人になって、自分の好きなことを探して、自分で歩いて行ってもらいたいな、と思います。

伊佐沼すまいる保育園といえば○○といったら?

「笑顔が増える場所」。まず職員が笑顔であれば、子どもが笑顔になるし、子どもが笑顔になれば保護者も笑顔になるし、保護者が笑顔になれば地域の人も、ということで、まずは自分達が笑顔になることで笑顔を増やしていこうよと頑張っています。

伊佐沼すまいる保育園

伊佐沼すまいる保育園

住所

〒350-0001
埼玉県川越市古谷上2237-1

公共交通機関

西武バス 川越駅東口バス停より伊佐沼冒険の森バス停下車徒歩13分

開園時間

月~金 7:00~19:00(延長保育時間1時間を含む)、土 8:00~13:30

連絡先

TEL:049-230-1717 FAX:049-230-1716
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