こおりもと保育園──遊びの中から、生きる力を育む


自然豊かな宮崎県都城市にある「認定こども園こおりもと保育園」。
広大な園庭と子ども達の主体性を尊重する保育を大切にするこの園は、地域の子育て家庭から厚い信頼を集めています。
今回は原田園長先生に、園の特徴やこだわり、未来への想いをじっくりと伺いました。
認定こども園こおりもと保育園の概要を教えてください。
もともとは公立の保育所だった施設を、民営化により令和2年4月から社会福祉法人エンゼル会が引き継ぎました。
私は民営化前はエンゼルIT保育園で園長をしており、主任も同じくエンゼルIT保育園から異動してきました。
民営化にあたって定員は50名から60名に増え、園舎も一部増築し、園庭も広げました。その後、令和5年4月に認定こども園へ移行し、現在は1号認定15名を加えて定員75名で運営しています。
こおりもと保育園ならではの特徴は何でしょうか?
やはり園庭ですね。以前は平地のみでしたが、築山を大きく造成し、さらに手作りの川も作りました。園庭全体で1,050㎡という広さがあり、子ども達は起伏や水場のある自然豊かな環境の中で、思いきり遊びながら成長していきます。
遊びを通して、自然に「生きる力」を身につける保育を目指しています。


子ども達の教育面で、特に大切にしていることはありますか?
何より子ども達の主体性を大切にしています。
日々のサークルタイムでは、子ども達自身が「今日はこれをしたい」と意見を出し合い、遊びや活動内容を決めます。食事の時間も、早めに食べたいか、遅めに食べたいかを子ども達が選んでいます。
さらに、運動会やお遊戯会、夏祭りといった行事も、子ども達が種目や内容を話し合って決定します。
自分達で考え、作り上げる喜びを体験できるようにしています。
そうした主体性を重視した保育は、当初から取り組んでいたのですか?
はい、最初から子ども主体の保育を目指していました。この5年間で子ども達の意見や発想を受け止めながら、毎年少しずつ行事や保育内容を進化させてきました。
子ども達の自由な発想に、大人が寄り添いながら形を作っていく過程がとても大切だと感じています。
日々の保育の中で、みんなで一緒に活動する時間もあるのでしょうか?
あります。例えば、外部講師による「英語で遊ぼう」の時間が月に2回あります。
また、スポーツ教室(年に2~3回程度)など、みんなで一緒に体を動かす機会も設けています。
それ以外にも、サークルタイムで「玉ねぎを焼いて食べたい!」という意見が出れば、みんなで準備して実行したりします。


サークルタイムはどのように行なっていますか?
朝と帰り、毎日行なっています。朝は「今日やりたいこと」を一人ひとり発表し、帰りには「今日どうだったか」を振り返ります。
時には先生から「ご飯派? パン派? どっち? 理由は?」といったテーマを投げかけ、子ども達同士で意見交換することもあります。
こうしたやりとりを通じて、自然に自己表現力や考える力を育んでいます。
地域性ならではの良さもありそうですね。
そうですね。この地域だからこそ、これだけの広い園庭を確保できました。
また、園庭にはクワガタやカブトムシが自然にやって来るんですよ。土を掘るとカブトムシの幼虫が出てきたりすることもあり、自然と触れ合う体験が日常に溢れています。
設備面や効率化のために工夫されていることはありますか?
子ども達用のiPadを導入していますが、単なる受け身のICT利用ではなく、遊びを発展させる道具として使っています。
例えばお絵描きが動き出したり、自分達で作品を作り上げたりと、表現の幅を広げるツールとして活用しています。


食育にも力を入れているそうですね。
はい、食事は楽しいものであってほしいので、園庭に設置したテーブルで毎日外で食べています。もちろん夏場はパラソルを立てて工夫しています。
さらに、子ども達はお腹の空き具合に応じて食べるタイミングも選べる仕組みです。
畑で育てた野菜を使った調理活動や、イチゴ・金柑の収穫、焚き火台での焼き芋作りなど、五感を使った食育を大切にしています。
職員の働きやすさにも取り組まれているとか。
はい。ノンコンタクトタイム(子どもと離れる時間)を設けたり、希望休が取りやすい仕組みを作ったりしています。
お互いに協力し合いながら、心身ともに余裕を持って働ける環境づくりを進めています。
子ども主体保育のために、先生方の学びにも力を入れているそうですね。
コロナ禍をきっかけに、オンライン研修が普及しました。それぞれの職員が時間をずらして受講できるため、職員全員が同じ研修に参加でき、園全体でのスキルアップに繋がっています。
また、視察研修も積極的に行い、なるべく多くの先生が現場を見て学べるようにしています。


こおりもと保育園で育った子ども達に、どんな未来を描いていますか?
自分の意見をしっかり持ち、それを安心して発信できる子になってほしいと願っています。
大人が子どもの意見を否定せず受け止めることで、子ども達は「自分の考えを言っていいんだ」という安心感を育んでいきます。
この力は、小学校以降、社会に出たときにも必ず役立つと信じています。
今後の展望とメッセージをお願いします。
これからも子ども達の主体性をさらに極めた保育を目指していきます。行事も保育も、もっともっと子ども達が中心になって進められるような環境づくりをしていきたいです。
そして、私達が目指すのは、子ども達だけでなく、大人も楽しく過ごせる保育園です。子ども達に「大人になるって楽しいんだよ」と伝えられるよう、保育者自身も楽しみながら新しい挑戦を続けていきたいと思っています。
こおりもと保育園

住所
〒885-0013
宮崎県都城市郡元町4620番地
アクセス
JR九州日豊本線 都城駅より徒歩22分、車で約5分
宮崎交通バス 都城医療センター前バス停より徒歩4分
宮崎自動車道都城ICより車で約15分
開園時間
開園時間 月~土 7:30~19:00
連絡先
TEL:0986-22-1578