えんとつ町のプペル保育園 とよおか──えんとつ町の外に飛び出し自由にのびのびと生きていってほしい
えんとつ町のプペル保育園 とよおかさんについて教えてください。
名前の通り、にしのあきひろさんの絵本『えんとつ町のプペル』をイメージした企業主導型保育園で、定員は12名、2018年の3月に開園しました。
弊社は介護施設、パチンコ店、飲食店等、複合的な事業をしています。5年ほど前に社員との面談の中で、保育園で働きたい、事業所内保育があると働きやすいという話が出て、それが保育所を作るきっかけとなりました。とはいえ保育に関しては経験がないので、施設だけ作って保育自体は他社さんにお願いするつもりでした。しかし、2017年度から始まった企業主導型保育事業の話を聞いて、自分達で事業を行うことに決めたのです。
なぜ『えんとつ町のプペル』保育園という名前にしたのですか?
ちょうど保育園のイメージを作っているころ、西野さんの動きが注目され始めていました。僕も面白いな、発想力すごいなと思いながら彼の動向を見ていたら、『えんとつ町のプペル』の著作権はフリーにしているから自由に使っていいというではないですか。『えんとつ町のプペル』のテーマは素晴らしいし、保育園にぴったりじゃないかと思い、すぐにTwitter で西野さんに「えんとつ町のプペル保育園を作りたいです!」と連絡をし、ご快諾いただきました。
園に『えんとつ町のプペル』にちなんだものがあるのですか?
「プペル」の世界観を損なうようなことをしてはいけないと思ったので、実際に西野さんに図面等を見せてアドバイスをいただき、絵本の中の星空の印象的なシーンを使った外観が出来上がりました。内装には表紙にもなっている、煙突の上にプペルとルビッチが座っているシーンを壁紙として描いています。
実際にどういう保育をされていますか?
園名を絵本から採ったので、絵本の読み聞かせはしっかりやっていこうと考えました。絵本の蔵書は650冊ほど。購入のほかに、全国から色いろな方が寄贈してくださり、12名定員の割にはかなり多いと思います。地元の図書館にも毎週行っており、絵本に触れる時間、読み聞かせの時間は多く取っています。0歳児さんには保育者の膝の上に乗せて読んだり、少人数ならではの読み聞かせもしています。
また、個性や感性、豊かな心・自由な心を育てていけるような園にしたいという想いもあったので、そういった部分をどうしていくか園長をはじめ保育者達と相談して進めてきました。ギフト教育ラボの乳幼児教育アドバイザーという資格を保育者が取得し、科学的・論理的な目線からも教育に関われるようにしていますし、ダンスや音楽に触れる時間も多く取っています。
豊岡という地域ならではの良さを教えてください。
地域の人同士の繋がりがあるということですね。近所の高校生がよく訪れて、音楽の演奏をしたり、歌ったりしてくれます。地元の方同士の繋がり、出会いの場としても、僕達の保育園によく訪問してくださいます。
また、豊岡は自然が豊かで、食べ物がすごく美味しいんです。ですから、乳幼児時代から地元の味を知ってもらいたいと、地元の食材を使って自園調理しています。食材の切り方にもこだわっていて、しっかりと噛んでほしいものは大きめに切ったり、苦手なものはその園児に合わせて小さめにしたり。12名という少人数だからこそできる、個に合わせた食育をしています。保育者が苦手なもの嫌いなものを助長しないように、「美味しい」を先にしっかり伝えるというところから、色いろなものを美味しく食べられるようになるよう気をつけています。
この保育園に通っているお子さんに将来どうなってほしいですか?
この地はとても良い所ですが、田舎特有の閉鎖的な部分も持ち合わせています。『えんとつ町のプペル』の世界のような、夢なんか見るな、どうせ無理だと、そういう考え方をしている大人も多いんです。しかし、子どもには自由にのびのびと生きていってほしい。豊岡から飛び出し、世界に羽ばたいていけるような人になってほしい。地域への感謝、地域貢献の想いも強くあるので、その上で豊岡に帰ってきて、プラスの影響を与えてくれる人になってほしいです。子ども達に伝える以上に、若者の夢を全力で応援して、頑張ってやってこいよと言えるようになりましょうと、保護者の方をはじめ園に関わってくださっている方達に伝えています。
今後の展望を教えてください。
えんとつ町のプペル保育園の数を増やそうと思っており、今年度新たに4つ、企業主導型保育事業の申請をしています。
この保育事業は、地域のお母様方に非常に喜んでいただいています。また、地域の働き手を増やすことにも貢献できますので地域社会に大きく貢献できる事業であると考えています。
ここは認可外であることで、例えば英語に触れる授業を週2回作ったりなど、認可園ではできないような自由な保育ができるという強みがあります。こういった自由度の高い保育を色いろな地域で提供し、その地域のお母様方に貢献できればいいなと思います。
また、僕達は西野さんの作品やサロンを通じて学ばせてもらっていて、彼の信用を使わせていただいて事業をさせてもらっているという側面があるので、彼の目指す世界、300年続くエンターテイメントを作るというミッションに対して、保育園を通じて何かお役に立てるようなことができたらいいなという想いがありますね。
※今回は新型コロナウイルスの影響を鑑みてオンラインにて取材させていただきました。
えんとつ町のプペル保育園 とよおか
住所
〒668-0025
兵庫県豊岡市幸町9-18
アクセス
JR山陰本線 豊岡駅より徒歩13分
開園時間
月曜日~日曜日(年中無休)
連絡先
TEL:0796-20-8095