2024.10.15
カリスマ保育士宣言!

保育士 巽 朝菜さん

カリスマ保育士宣言!Vol.25──保育士 巽 朝菜さん

保育士になろうと思ったきっかけを教えてください。

高校生の時に、虐待を受けた子ども達・ケアが必要な子ども達が暮らす場所でアルバイトをして、幼児期の発達に課題を抱えた子どもの専門家になりたいと思いました。大学に進んで心理士の資格を取ったのですが、当時は子どもの心理職という場が非常に少なくて、助産院で乳幼児期の子ども達の発達と親御さんの支援をしていました。働くうちに、毎日子ども達に接していたいという想いが強くなり、保育の仕事を考え始めました。実際に保育士免許を取ったのは2014年頃で、前後してスウェーデンに渡っています。

なぜスウェーデンに渡ったのですか?

2009年にスウェーデンの小児病棟を視察した時、案内してくれたセラピストさんの「常に子ども達のベストを考えている」という言葉に心揺さぶられたんです。そして、子ども達の生活環境を考えた時に、家族を支える社会福祉や保育制度はどうなっているのか、政治と子どもの環境は切り離せないと考え、実際に住んで、働いて、子育てもしながら行政や教育を学びたいと強く思って渡航しました。
語学ができないので不安はありましたが、子どもに携わる職ならば何があっても耐えられると思いました。渡航して最初の6年ぐらいは、ずっと崖っぷちに立たされているような心境でしたね。

スウェーデンと日本の教育の違いは何でしょうか?

私が感じる一番の違いは、自分自身に焦点を当てているということです。自分が何者で何をしたいのかということを言葉にして表現することを重視しているのです。保育者も子どももまずは自分を大切にしていくことを話し合っていますし、国や言語、民族が違っていても、あるいは家庭環境や経済状況が違っていても人としての価値は平等だということ――人権を生活の中から伝えていると思います。この教育環境で育っていくと、人を尊重する能力を培っていけます。

今後の展望を教えてください。

私は野外プリスクールで働いていて、今担当しているのが発達障がいや問題行動を抱えている子ども達のクラスです。そういう子達の教育環境として、森や自然の中が適しているということが最近わかってきており、さらに学術的な裏付けをもっと調べていきたいと思って今大学院に挑戦するところです。
今後は日本の方でも、発達に障がいを抱えている子ども達の環境に相応しい野外教育をお伝えしてきたいですね。常に自分に物差しを当てて、自分のアイデンティティを作っていく幼児期を、実際にどういう風に実践しているのかということを伝えていきたいです。

読者の方へメッセージをお願いします。

私は、挑戦していること自体が素晴らしいと思っているので、自分が頑張っているんだということを認めてほしいと思います。
そして、年齢や職種に限らず、色いろな人と横の繋がりを持ってほしいと思います。出会っていくことで様ざまな機会が生まれます。海外も良いですが、日本にも素晴らしい環境、素晴らしい園はたくさんあるので、異なる園を体当たりで見て回って、色いろな経験をしてもらえたら嬉しいなと思います。

(MiRAKUU vol.48掲載)