保育士 AR(あー)先生/英賀亮佑さん

少人数制の体操教室を始めたきっかけは何ですか?
僕は一度保育から離れて、2年ほど他の職に就いたことがあります。その経験を経て保育業界に戻ってきた時に、家庭環境がずいぶんと変化したにもかかわらず、保育の質や労働環境が一切変わっていないという現状を目の当たりにして、なぜ変わらないんだろう、追いついていないんだろうと疑問に思ったんです。そこで、改めて自分のやりたい保育について考えたら、自分で保育園を作るという答えに至りました。
そのために株式会社を設立し、公募の状況を見たり物件を探したりしていたのですが、新型コロナウイルスの影響などもあって進捗が停滞しています。しかし、会社を持つという事は何もしなくても税金などの会社維持費はかかってきますし、自分の今後のキャリアを考えると少しでも経験値を積んでおきたい。そこで、今の僕にできることを考え、まずは少人数制の体操教室をすることにしました。
体操教室にしたのは、自分の得意分野というのはもちろんですが、7年ほど前に4~5歳児を担当していて、子ども達が走れなくなってきていると感じたからです。鬼ごっこをしていても、1分も持たないんですね。自分のできる範囲で目の前の子ども達のために運動環境を整えていきたい。また、人数が多いと個々の成長や発達具合をしっかりと見ることができないと感じていたため、少人数制にしました。
体操教室ではどういった運動をしているのですか?
僕の運営する体操教室は≠スポーツのための運動です。国から出されている幼児期の運動指針を基盤とし、4つのテーマ「バランス・筋力・体力・リズム感」を大切にしています。具体的には、走る、投げる、跳ぶなど、運動指針内の多様な動きを取り入れながら、鬼ごっこや自重トレーニング的なこともしています。ほかには、平均台や鉄棒などの用具を使った多彩な運動の動きですね。利用しているスタジオにはブランコが設置できるので、それも使っています。子ども達の成長発達、自主性を重んじ、楽しみながら運動遊びを展開しています。
チャイルドコーチングアドバイザーの資格を活かし、今までの経験と、書籍や気になった論文などに目を通したりして、理論と実践を結びつけ、子ども達が主体的に学んでいくようコーチング技術を基に様ざまな方法論や考え方を取り入れながらやっています。
今後の展望を教えてください。
以前このカリスマ保育士宣言に出ていらした小山尚美先生と一緒に、オンラインサロンとセカンドスクールを合わせたようなコミュニティを作りました。EHL Community Schoolといいまして、「Enjoy your Hoiku Life 全ての学びはあそびから~本気でほいく楽しんでる?~」がテーマになっています。対象は保育を学ぶ学生さんや現役の保育士さん達で、僕も尚美先生も運動系が専門なので、体の発達についてや、普段の保育に活かせるようなことを伝えていく場にしようと考えています。自分の保育や人生観に活きるような、少しでも支えになるような活動ができればいいなと思っています。
(MiRAKUU vol.32掲載)