第33回 トイレトレーニングってどうやればいいの?〈中編〉
トイレトレーニングは、生後すぐの段階から行うものです。おむつなし、または3か月ぐらいからおむつを外していく教育です。ずっとおむつをしていると感覚障害が起きますから、おむつを外すということをまず考えてもらって、3か月から半年以内に外れるようにしましょう。外れなければ、発達の障害になります。
生後2歳ぐらいから行うのでは遅すぎます。1歳半では自分で歩けますから、トイレに自分で行けないとおかしいのです。実際は3か月過ぎたらトイレトレーニングに入っていって、1歳半までに、言葉から全部完了しているのが世界標準の考え方です。
今は皆さん紙おむつを使っていますが、昔は布おむつでした。布おむつで排泄後もそのままにしておくと肌荒れしてしまうし、気持ち悪いということがわかるのですが、紙おむつの場合、気持ち悪いことがすぐにわからないから問題なんですね。
私の娘は布おむつだったので、半年でおむつは外れていました。ただ、息子は紙おむつにしたものですから、3歳まで完全には外れませんでした。トイレトレーニングをさせても難しかったです。
布おむつにすること。もし紙おむつだとしても、泣いたらとりあえずおっぱい、ではなくまずおむつを見ることが大事です。紙おむつだと気持ち悪くならないので、泣かないこともあります。赤ちゃんが濡れたことがわかるようにしましょう。
図の赤ちゃんの排泄姿勢は、新生児~3か月のものです。なぜ3か月までかというと、それまでは背骨がCカーブだからです。以前気道と食道の違いをお話しましたが、おおむね3か月までは動物と同じで、上を向きながら、おっぱいを吸いながら鼻で呼吸ができます。それが2か月半~3か月頃から口では息を吐いて、鼻から息を吸う動物に変わっていきます。
同時にはできない所が喉というものですから、おっぱいを吸いながら呼吸ができる赤ちゃんの時に喉の奥までおっぱいを入れてしっかりと鼻での呼吸をさせていないと、今の子達のように、豆粒やウズラの卵で窒息する状態になってしまいます。さらに、噛んで食べられない子になってしまいますので、消化という内臓機能から考えれば、どこか1か所でもおかしければ全部、排泄までうまくいかない、ということになります。
その経路を作っているのが背骨のS字カーブです。3か月を過ぎると呼吸が変わり、首が座り、背骨もCカーブからS字カーブへと変わりはじめます。そうすると、この赤ちゃんの排泄姿勢、寝ている状態での排泄はS字カーブではないのでダメなのです。
首が座り、腰が座ると次はハイハイの姿勢になります。しかし、おむつをしている状態では股が開いてしまってハイハイができないので、ハイハイができる格好にさせてあげないといけません。おむつは邪魔になりますので、パンツにしましょう。
ハイハイで足の力がつき、正しい排便姿勢を取れる準備ができます。生後3か月までの間に、ハイハイができるようにしてあげるのがお母さん達、大人の役目なのです。
もし生後3か月以降でトイレトレーニングをしたいというのであれば、呼吸がそれまでとは変わっていますので、呼吸のことを知らないといけません。
今、便秘の子どもが多いです。内臓下垂でお腹ポッコリの子どもも多いです。大人も便秘、内臓下垂の人ばかりです。直腸がん・大腸がんも多い。そもそも直腸がん・大腸がんというのは日本人の病気ではありません。それなのにこんなに多くなってしまったのは、生後2か月までの排便排尿の問題があるということなのです。
これはすべて和式便所で排便排尿ができなくなったから起こっている現象です。入り口の口と出口の肛門は1つの管であり、すべて繋がっています。口から肛門まで、それを消化・吸収・排泄と言います。だから、食べることから始めて排泄まで考えるのが歯科医のあり方なのです。
顔が垂れて口が開いてしまう、噛んで食べられない、歯並びが悪い。ぐにゃっと曲がった姿勢、腰痛、肩こり、膝痛。生理不順、前立腺肥大。無呼吸症候群、免疫力の低下、寝たきり。すべて繋がっています。
これらは皆、排便姿勢や立ち方座り方を指導していないから起こってくる現象で、この皆さんが悩んでいる問題というのは、医療ではどうしようもないところなのです。
立ち方、歩き方、座り方には日本人だけのものがあります。踵を着かない立ち方。手と足とを動かす、体幹から動く歩き方走り方。蹲踞・跪坐・正座が、お尻を着かない座り方が本来の日本人の座り方です。
しかし、今の日本人はどうでしょう。お尻が落ちてしまって、お腹から歩こうとする。やせていてもお腹が出ていて、腰痛・肩こりが起こってきます。歯並びも悪くなる。
体育座りをさせているのも日本人だけです。これはナチスドイツがユダヤ人にさせた方法で、古代エジプトでは奴隷座りとして使われていました。これは骨盤が中に入ってしまうので、排便不能になります。呼吸も悪くなり、顎関節症も作ってしまって、当然歯並びにも関係しています。
つまり、いくら歯並びを矯正しても、もともとがおかしいままだからすぐに戻ってしまうのです。姿勢が重要な意味がわかりますか?
洋式便所で、便座の上にどっかり座るのは日本人だけです。靴文化・椅子文化の国では、便座に座ることはありません。便座は転倒防止のためだけにあるのです。ではどうやって用を足すかというと、【図 大人の排便姿勢】左の○の姿勢です。
○の姿勢は、お尻が上がって、膝を曲げて、つま先が膝より出ていません。これは、和式便所での姿勢と同じなのです。この姿勢が大事なのです。ところが日本人は写真右の姿勢の人ばかりです。直腸の段階から考えてみてください。どちらがスムーズに排便できると思いますか?
トイレトレーニングは、新生児から始まります。赤ちゃんの時に、正しい排便姿勢、つまり和式便所に座る格好に持っていけるかが重要です。そのためには3か月を過ぎたらどうしたら良いでしょうか。考えてみてください。
(MiRAKUU vol.48掲載)
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- 新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
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