第32回 トイレトレーニングってどうやればいいの?〈前編〉
70年前と大きな違いがあるのは明白で、昨今のテレビ番組でも30年前の時代とでさえ大きな違い(ドラマ『不適切にもほどがある!』)が取り上げられるほどになっています。
トイレトレーニングとは、本来は0か月からおむつを外し始めて排泄の気持ち良さを感じさせ、2歳までにトイレに自分で行って排泄ができるようになるというもので、それが成長・発達の正常な日本人の概念でした。
しかし、今や紙おむつのためにおむつは生後3歳くらいまで使用し、トイレトレーニング(トイレでの排便排尿)は2歳からという、大人にとって便利な時代が子どもの成長・発達を大きく遅らせてしまったのです。
子育てひとつにおいても、保育園、学校においても、医療においても私の時代とは真逆の世界観が漂っています。
2000年頃から始まったマイクロバイオータの均衡という概念があります。これは、現代医学の診断での遺伝子の問題ではなく環境遺伝子の問題だと言われる細菌叢の均衡によって健康にも病気にもなるという診断法であり、今や心も体もこの細菌叢の均衡、つまりバランスによって支配されているという研究がこれからの医療のすべての鍵を握っているという概念です。
このヒトマイクロバイオームの研究により、精神疾患から、全身疾患まで診断できるようになってきました。
例えば今までの医療で使われてきた抗生物質、効果があると言われてきた薬が、たとえその時は病気を改善したとしても、マイクロバイオータの均衡が崩れてしまう原因になっているということが判明し、もっと大きな病気の引き金になってしまうマイクロバイオータの不均衡が起こってしまうということも判明しています。
人間のすべての行動、感情、健康、病気は、環境と全身の細胞の32兆よりも遥かに多い400兆とも4000兆とも言われる微生物としての細菌叢に因ります。いわゆる善玉菌、悪玉菌と言われる療法の細菌叢がそれぞれバランスを保って存在するから人間は健康で居られるのです。しかしその均衡が保たれない社会生活、治療法が、ヒトに対しても社会、地球環境としての壮大なマイクロバイオータの世界からも大きな問題を起こしてしまう環境になってしまっているという時代になってきている──という概念なのです。
どうして年に20以上の病名が増えてしまう時代になったのか、どうして薬が効かなくなって副作用の説明しかできないのか、「どうして」という問題がわかると生活環境、生活習慣がたった30年でこれほどまで変わってしまったということが理解できるかもしれません。
病気に対しての治療法が増えれば増えるほどこのマイクロバイオータの均衡がなくなり、病気が増えてくるという矛盾に満ちたイタチごっこの世界観が少し理解できると思います。
私も30年以上多くの医療関係者に対して、その時代の問題点を解決するという予防医療教育で、口腔だけでなく口腔と関係するすべての疾患(殆どの医療で扱う疾患は口腔と関係しています)の予防と、今ではマイクロバイオータの均衡のために日常生活習慣を改善して五感をしっかりと養うことから私達人間(ホモ・サピエンス)は、0か月からの集団養育でしか、マイクロバイオータの均衡を養うことができないことがわかってきました。
今回のトイレトレーニングだけでなく、今や産後の尿もれ、20代の尿もれパッドという全く本末転倒の便利な世界観がはびこっています。
フランス政府は、この産後の尿もれを、未来歯科アカデミーでも行なっている呼吸法で撲滅し、今や戦後最高のベビーブームとなっています。3人目からは出産したら税金が安くなるという制度も、学問を追求したい子ども達はもちろん受験はありませんから、学費は無料。バイトをしている余裕が無いのは、良い成績を取らなければ卒業できないからであり、日本とは真逆です。
そんなことも交え、子ども達の未来のことを考えて、子ども達に自由という私の子どもの頃の親になったつもりで、家族の団らん、家族の絆、そして健康、人間関係とお金のことに対してもしっかりと学んでいただけるのが未来歯科アカデミーで、今では親の健康習慣の教育になっています。
今回のトイレトレーニングという、子育てにおいてはほんの一部ですが、五感の発達ということで考えていただければと思います。マニュアル人間ほど現代の言葉で言うと「やばい」ということになります。
子育てにおいては1つできたら数分後には次に進むというほど、1歳までは自分で赤ちゃんは脳の発達と全身の感覚を獲得していくのです。これが原始反射の統合とも消失とも言われる脳の発達です。
すると脊髄関係、つまりこの五感の問題は呼吸、嚥下機能、そして消化、吸収、排泄までに関わる呼吸カーブの変換の時期ということがわかり、3か月から6か月で脳の前頭前野部に統合されるということがわかりますから、生後3か月から6か月で必ず、おしっこがしたい、とか、うんちがしたいという仕草をするはずなのです。
この兆候を見分けるのが親の役目であり、保育士の役目でもあるのです。
もともとトイレトレーニングという存在は、私が子どもの時には存在しませんでした。3か月から6か月まででおむつを外すという、排泄の前の辛さとその後の気持ちよさを味わうという五感の感覚を早期に養うために行われていた通常の生活習慣での中に存在したので、特別なことではなかったのです。
しかし現在は、調理器具の発達、文化の紙おむつ、授乳クッション、市販の離乳食、そして椅子と靴の文化、車社会、娯楽、副交感神経優位、情報社会という、赤ちゃんの成長発達に対しては感覚の障害を起こさせてしまうくらい快適な環境となっています。親にとってはドラえもんの便利などこでもドアのような空間と時間が、所構わず排泄をしても問題が無いという大きな問題を起こすことになりました。
子ども達の成長発達を逆に阻害する因子となる時間短縮、効率の追求、そして過保護、過干渉といった生活習慣の変化と、大きな成長に対しての矛盾を作り上げてしまう環境の違いが、正常な行動、発達の遺伝子のスイッチを閉ざしてしまい、トイレトレーニングという特別なものが必要になってしまったのだと理解しています。
次回は具体的なトイレトレーニングについてご説明します。
(MiRAKUU vol.47掲載)
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- 新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
『かわべ式 子育てスイッチ ~生まれた瞬間からグングン発達する88の秘訣』(エッセンシャル出版社)好評発売中。
ホームページ:https://miraishika.com/
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