第34回 トイレトレーニングってどうやればいいの?〈後編〉

生後3か月から始めるトイレトレーニング ~スウェーデン式おむつなし育児のすすめ
スウェーデンでは、おむつなし育児(エリミネーション・コミュニケーション:EC)が一般的です。この育児方法は、赤ちゃんが排泄したいサインを読み取り、そのタイミングでトイレやおまるに誘導するというものです。生後3か月から始めることで、赤ちゃんの自立心を早く育て、親子の絆も強化されます。
おむつなし育児は、赤ちゃんの自然な排泄リズムを尊重し、赤ちゃんと親が排泄のサインを通じてコミュニケーションを取ることを目的としています。このプロセスを通じて、赤ちゃんは自分の体を理解し、健全な成長に繋がります。また、赤ちゃんが排泄行為を恐れずに受け入れることで、リラックスして過ごせるようになります。
この育児方法は、赤ちゃんの自己肯定感を育て、家族全体の調和を促進する点でも有効です。
トイレトレーニングの目的とメリット
トイレトレーニングの目的は、赤ちゃんが自分の体の感覚を理解し、適切に排泄する力を養うことです。
このプロセスは大切で、赤ちゃんの発達の有意義な影響を与えます。
トレーニングを通じて赤ちゃんの自信や自立心が育まれ、親子のコミュニケーションも深まります。
早期にトイレトレーニングを始めることで、赤ちゃんは自分の体のリズムを理解し、将来的なトイレトレーニングがスムーズになります。
また、おむつ交換の手間が減ります。おむつの使用を減らすことで環境にも優しく、経済的なメリットもあります。
トイレトレーニングの始め方と準備
スウェーデン式トイレトレーニングは、生後3か月頃から赤ちゃんの排泄サインを観察し始めることが推奨されています。赤ちゃんは排泄前に特定のサイン(泣き方や表情、動き)を示すことがあります。こうしたサインを見逃さず、赤ちゃんのリズムを理解することが重要です。
親は、赤ちゃんが排泄のサインを出したときに優しく声をかけ、おまるに誘導します。例えば「おしっこしようね」と声をかけることで、赤ちゃんに排泄のリズムを自然に教えることができます。また、赤ちゃんがリラックスして排泄できる環境を整えるため、おまるの周りにお気に入りの絵本やおもちゃを置くと効果的です。
失敗することもありますが、それも成長の一部です。焦らず赤ちゃんのペースに合わせて進めることが大切です。
トイレトレーニングのステップ
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初期段階(生後0~6か月)
赤ちゃんの排泄リズムを理解することから始めます。授乳後や起きた直後など、排泄しやすいタイミングを見つけておまるに誘導します。
赤ちゃんが排泄したときには褒めてあげることで、排泄行動がポジティブな体験として定着します。 -
移行期(6~12か月)
首や腰がすわるようになると、さらに積極的にトイレに誘導できます。
この時期には赤ちゃん自身がトイレに興味を持ち始めることも多く、トイレの時間を楽しむ工夫が効果的です。例えば、おまるの近くに絵本を置いたり、親が声をかけて励ましたりすることで、赤ちゃんはトイレに対してポジティブなイメージを持ちます。 -
定着期(1~2歳)
1歳を過ぎると、赤ちゃんは自分で排泄のサインを理解し、トイレに行くことを試みるようになります。
親は「トイレに行きたい?」と声をかけて自立を促し、成功したときにはたくさん褒めてあげましょう。失敗しても焦らず、前向きに励ますことが重要です。
トイレトレーニングのための環境作り
トイレトレーニングを成功させるためには、赤ちゃんがリラックスできる環境を整えることが大切です。おまるやトイレシート、防水シート、替えの衣類などを用意し、赤ちゃんが安心して排泄できるようにしましょう。また、トイレの時間を楽しいものにするために、お気に入りのおもちゃや絵本を活用することも効果的です。
赤ちゃんが排泄行為をポジティブに受け入れることで、トイレトレーニングはよりスムーズに進みます。
生後3か月からの成長とトイレトレーニングの関係
生後3か月は赤ちゃんの発達において非常に重要な時期です。この時期には脳幹と体幹が成長し、呼吸や排泄といった基本的な反射行動が前頭前野に統合されていきます。赤ちゃんは喃語を話し始め、身体を自分で動かして仰向けになり、Cカーブを形成していきます。この発達が進むことで、赤ちゃんは自分の体をよりよくコントロールできるようになります。
脊柱のS字カーブもこの時期から徐々に形成され、最終的には10歳頃に完成します。このS字カーブは、人間が直立二足歩行をするために必要な体幹の発達であり、排泄のコントロールにも深く関わっています。脊柱の発達が順調に進むことで、直腸の位置も安定し、排泄がスムーズに行えるようになります。
現代の育児環境とトイレトレーニングの重要性
日本では、便利な育児用品や生活スタイルの影響で、トイレトレーニングを始める時期が遅れがちです。しかし、早期にトレーニングを始めることで、赤ちゃんの五感の発達を助け、自然な成長をサポートすることができます。特に、生後3~6か月にトイレトレーニングを始めると、赤ちゃんの脳の発達を促し、体のコントロールを身につけやすくなります。
早期のトイレトレーニングは、赤ちゃんの体と心の発達を促進し、親子のコミュニケーションを深める貴重な機会となります。特に、日本の育児環境ではトイレトレーニングが遅れることが多いため、赤ちゃんの成長を考えた早期の取り組みが推奨されます。トイレトレーニングを通じて、赤ちゃんは自分の体のサインを理解し、自立する力を養うことができます。
おわりに
生後3か月からのトイレトレーニングは、赤ちゃんの成長と親子の絆を深める重要なプロセスです。赤ちゃんは自分の体を理解し、自信と自立心を育て、親との信頼関係を築きます。また、環境への配慮や経済的なメリットもあるため、ぜひスウェーデン式のおむつなし育児を試してみてください。トイレトレーニングを通じて、親子が共に成長し、愛情と信頼の絆を深めることができるでしょう。この小さな一歩が、赤ちゃんの健全な成長と家族の幸せに繋がります。
前回にお話しした「日本人の正しい排便姿勢」「和式便所に座る格好に持って行けるか」を念頭に置き、そのためにどのようにトイレトレーニングを進めていけば良いのか考えましょう。
昔は、成長発達に合わせて排尿排便時に抱き方を変えるとか、外で新聞紙を敷いてさせるなど様ざまな工夫をしたものです。生後3か月からの成長発達(※)は、トイレトレーニングと大きく関わっています。勉強して、考えて、実行してください。How-toでもノウ・ハウでもなくKnow-Whyが必要なのです。
(MiRAKUU vol.49掲載)
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- 新橋 未来歯科 院長
姿勢咬合セミナー主幹(27年以上続く姿勢と噛み合わせの歯科医師向けのセミナー)
Ken'sホワイトニングセミナー主幹1984年静岡県菊川市にかわべ歯科を開業。2011年新橋に未来歯科開業。
従来の疾患中心型治療ではなく、「細菌単位でのお口の中のリスクを知り、その結果に基づき改善していく」「食事内容の分析・アドバイス」「姿勢指導や、呼吸などのアドバイスによる体質改善」「患者様の未来の目標設定」をコンセプトにした「予防」診療を行う。
歯科医・歯科衛生士向けの各種セミナー、DMMでのオンラインサロン等も精力的に行なっている。
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