第4回 Thの発音について──なぎさ先生の 楽しみながら英語が聞けちゃう、話せちゃう“フォニックス講座!”

Thの発音について
「ありがとう」を英語で表現すると、どのような言い方があるでしょうか? たとえば、“Thank you” “Thank you so much” “Thank you very much” “Thanks!”などが考えられます。これらはすべてよく耳にする表現で、ネイティブスピーカーの間でも広く使われています。
さて、これらの表現に共通している音は何か、わかりますか?
そう、“Th”の音です。この音を正しく発音するためには、日本語にはない特別な口と舌の動きが必要です。
“Thank you”をカタカナで「サンキュー」と表記することがありますが、この発音のままでは、英語を母語とする人には、“Sankyu”と聞こえてしまいます。その理由は、“S”と“Th”では舌の使い方が異なるからです。
具体的には、“S”は歯と歯の間から空気を通して出す音ですが、“Th”は舌を軽く前歯の間に挟み、そこから空気を出して発音します。
日本では舌を出して話すことに抵抗を感じるかもしれませんが、口と舌を正しく動かさなければ自然な発音にはなりません。ネイティブスピーカーに通じるためには、これは非常に重要です。
さらにややこしいのは、“Th”の音には無声音(unvoiced)と有声音(voiced)の2種類がある点です。
たとえば、無声音には“Thank”や“Think”、有声音には“The”や“That”があります。どちらを使うかに規則はなく、それぞれを覚える必要があります。しかも、“the”、“this”、“that”は文中によく出てくるので、ほんとうに口が忙しいですね!(笑)
無声音の発音、たとえば“Thank you”では、舌を軽く前歯に挟んで空気を出します。一方、“The”のような有声音では、舌を挟んだ後に声を出します。この使い分けに慣れるのは最初は難しいですが、徐々に自然にできるようになります。
私たちのフォニックスアイランドで学ぶ子ども達は、舌をしっかり出して、時には睡を飛ばしながらも“Th”の発音を身につけていますよ!
余談ですが、“Thank you”の語源は、「あなたがしてくれたことを覚えている」という意昧の“Think”に由来していると言われています(Popova)。感謝の気持ちを込めて、少し恥ずかしさを忘れ思い切って舌を出して“Thank you!”と言ってみてはいかがでしょうか?
私自身にも言えることですが、慣れた殻から出てチャレンジしてみることで、違う世界が見えてくるかもしれませんね!


“Th”で舌を出さないと、“thing(物)”は“sing”、“thank”は“sank”、“bath(お風呂)”は“bas”、“that(あれ)”は“zat”、“this(これ)”は“zis”、“together(一緒)”は“togeza”とネイティブには聞こえてしまいますので、お気をつけて!
“Th”の発音の仕方、またワードについての詳細はイアン先生の動画をご観覧ください!
1. Maria Popova, “How We Got “Please” and “Thank You”.”(参照2024-10-31)
(MiRAKUU vol.49掲載)
-
-
5歳よりシンガポール在住。
イギリスのリーズ大学卒。
シンガポールのUWC校にてIBディプロマ取得。
フォニックス講師資格保持者。
自身が英語の発音に苦労したことから、発音に興味を持ち、フォニックスアイランズの教材開発にたずさわる。長年シンガポールのインターナショナル幼稚園にてフォニックスの指導に関わる。日本でフォニックスを広めるべく奮闘中。一男一女の母。