2016.02.22
園運営お役立ち情報

第11回 加入済企業に対する調査(2) 総合調査

社会保険労務士川﨑先生の保育園で役立つ園運営お役立ち情報──第11回 加入済企業に対する調査(2) 総合調査

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング代表の川﨑潤一です。

前回は、加入済み企業に対する年金事務所の新規適用調査についてお話ししました。
今回は、総合調査について解説いたします。

既存企業への調査その2 総合調査

総合調査は、会計検査院の調査です。
これは、年金事務所が適正に業務を遂行しているかどうかを会計検査院が調査する、ということになります。

会社側からしますと、調査で見られるところは同じになりますが、会計検査院の調査が年金事務所に入ることで、年金事務所側もかなり細かく確認することとなります。
総合調査が年金事務所に入る頻度としては、おおむね4~5年に一度となります。
そのため、総合調査に該当する企業もかなり絞られるため、調査に当たる可能性が低いのですが、調査の結果加入漏れや保険料の漏れがあった場合には、必ず過去2年分の未納分について一括支払いを求められるため、かなり厳しい調査となります。

具体的には、漏れがないかを見られます。
漏れとは、下記の2点です。

  • 加入すべき従業員を正しく加入させているか(加入漏れがないか)
    契約社員、パート、業務委託について、過去2年以内に退職した従業員を含む
  • 給与を少なく申告していないか
    給与の総額で手続しているか、月額変更の届出漏れ、賞与支払届の届出漏れ、複数事業所からの報酬を合算して届出しているか

調査で確認される事項

前回の新規適用調査と同様の部分について確認をされます。
総合調査の場合には、過去2年分を見られるということがポイントです。
過去2年以内に退職した従業員についても調査の対象となります。
そのため、既に退職しているけれども、当時は未加入となっていた従業員がいた場合には、その従業員分についても保険料を徴収されることとなります。
既に退職しているため、従業員本人の保険料負担分を本人から徴収することは難しいため、実質的に会社が本人負担分も含めて国に支払うこととなります。

notice

総合調査は会計検査院の調査となりますので、非常に厳しい調査となります。
法律通りにされているか、されていない場合には法律に則した是正を問答無用で求められます。
過去2年の間に未払いの保険料(未加入も含めて)がある場合には、一括支払いを求められるため、会社の負担は非常に大きいものとなります。

しかし、普段から適正な手続き、運用をされていれば何も問題はありません。
普段からどれだけ適正にできているかが重要です。

次回は、算定調査について解説いたします。

川﨑 潤一
  • 川﨑 潤一
  • 川﨑 潤一

    社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング 代表
    株式会社ヒューマンブレークスルー認定ESコンサルタント、全国社会保険調査対策協議会会員

    財閥系子会社、医療事務・介護事業会社の人事として、採用・給与計算・労働保険手続きを担当し、2011年4月1日に社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティングを開業。

    ハローワークにて「助成金支給申請アドバイザー」として、窓口で支給申請の受理手続き(約700件)、相談・アドバイス、不正受給防止のため事業所への実地調査を行った経験がある。
    その勤務経験から、企業に対して現状と今後の展望をヒアリングした上で、最適な助成金の提案・手続きを行っている。

    社会保険労務士として、労働社会保険手続き、助成金手続き、就業規則の作成・改定、給与計算、セミナー講師を行う。
    その一方で、人事マンの経験を活かし人事コンサルタントとして、採用コンサルティング、従業員満足度(ES)調査・向上コンサルティング、マネジメント能力向上研修(マネージャーMQ)、社会保険調査対策、人事制度構築といった人事コンサルティングにも力を入れている。

    ホームページ:http://www.leaf-sr.jp/