第12回 加入済企業に対する調査(3) 算定調査

社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング代表の川﨑潤一です。
前回は、加入済み企業に対する年金事務所の総合調査についてお話ししました。
今回は算定調査について解説いたします。
既存企業への調査その3 算定調査
算定調査は、毎年4・5・6月の給料をベースに算定基礎届を毎年7月に出しますので、それに合わせて調査を行うというものです。
昔は算定基礎届を適正に提出してもらうことを主として調査を行ってきましたが、年金事務所も件数をこなさなければいけないという事情もあり、ある意味ざっくりとした感じになりがちでした。
ただ、最近は算定調査と言いながら確実に総合調査並に2年間しっかり見るようになりました。
そういう点では、総合調査などの会計検査員が立ち会わない一般調査とほぼ同じような内容にとなってきました。
調査の際に見られるポイントについても、総合調査と変わりません。
前回の復習となりますが、調査のポイントは下記の通りです。
具体的には、漏れがないかを見られます。
漏れとは、下記の2点です。
- 加入すべき従業員を正しく加入させているか(加入漏れがないか)
契約社員、パート、業務委託について、過去2年以内に退職した従業員を含む
- 給与を少なく申告していないか
給与の総額で手続しているか、月額変更の届出漏れ、賞与支払届の届出漏れ、複数事業所からの報酬を合算して届出しているか
調査で確認される事項
過去2年以内に退職した従業員についても調査の対象となります。
そのため、既に退職しているけれども、当時は未加入となっていた従業員がいた場合には、その従業員分についても保険料を徴収されることとなります。
既に退職しているため、従業員本人の保険料負担分を本人から徴収することは難しいため、実質的に会社が本人負担分も含めて国に支払うこととなります。
算定調査は算定基礎届を提出するタイミング(毎年7月)に行われます。
調査において見られるポイントについては、総合調査と同様です。
過去2年の間に未払いの保険料(未加入も含めて)がある場合には、一括支払いを求められるため、会社の負担は非常に大きいものとなります。
しかし、普段から適正な手続き、運用をされていれば何も問題はありません。
普段からどれだけ適正にできているかが重要です。
次回は、平成28年度の助成金について、解説いたします。
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- 川﨑 潤一
社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティング 代表
株式会社ヒューマンブレークスルー認定ESコンサルタント、全国社会保険調査対策協議会会員財閥系子会社、医療事務・介護事業会社の人事として、採用・給与計算・労働保険手続きを担当し、2011年4月1日に社会保険労務士事務所リーフレイバーコンサルティングを開業。
ハローワークにて「助成金支給申請アドバイザー」として、窓口で支給申請の受理手続き(約700件)、相談・アドバイス、不正受給防止のため事業所への実地調査を行った経験がある。
その勤務経験から、企業に対して現状と今後の展望をヒアリングした上で、最適な助成金の提案・手続きを行っている。社会保険労務士として、労働社会保険手続き、助成金手続き、就業規則の作成・改定、給与計算、セミナー講師を行う。
その一方で、人事マンの経験を活かし人事コンサルタントとして、採用コンサルティング、従業員満足度(ES)調査・向上コンサルティング、マネジメント能力向上研修(マネージャーMQ)、社会保険調査対策、人事制度構築といった人事コンサルティングにも力を入れている。ホームページ:http://www.leaf-sr.jp/