3人だからこその“プッピーズ”の世界観。とにかく賑やかにやっています!──プッピーズ(福田りゅうぞう/川崎ちさと、入江浩子)
各々とは違うプッピーズの世界観ができるのが面白い
堀川:保育士になったきっかけや理由を教えてください。
福田:僕は板前になりたかったんですが、高校2年の時に年の離れたいとこと遊んでいたところ、叔母にりゅうぞうは保育園の先生になったらいいんじゃないのと言われて、大きく舵を切りました。
その後、幼稚園の研修で創作遊び作家の谷口國博さんに出会いました。僕は趣味でダンスをしていて普段の遊びや運動会でも振付をして踊っているという話をしたら、1曲振付してみないと言われて、振付を始めたんです。
川崎:私は保育士か給食のおばちゃんか迷っていたんですけど、高校の時に灰谷健次郎さんの『天の瞳』を読んで、保育士になりたい気持ちの方が大きくなりました。
入江:私はずっと音楽をやっていたので、音楽か保育か迷ったんです。音楽は勉強の部分があまり得意ではなかったのと、その後の仕事の問題もあって、まずは先に保育士になろうと。
堀川:今は保育も音楽も両方できているんですね。どうして3人でユニットを組むことになったんですか?
川崎:公演などでりゅうちゃんとすかんぽで呼ばれることが何度かあったんです。回数を重ねるうちに、各々でやるのとはまた違う雰囲気や、それぞれの遊びに関するこだわりが混ざり合うのが面白くて、一緒にやってみたらどうなるのかなという感じで始まりました。
福田:作品作りでは入江さんが全然譲らないんです。わりと僕と入江さんがバチバチっとし始めて、川崎さんが間を取るっていう。
入江:譲ってますよ!(笑)。仕事に対して熱心だってことです。ちゃんとみんなが納得した上で良い作品ができてるじゃないですか(笑)。
川崎:3人が思ってもいない方向でうまくいくこともあったりね。私だとダッサイ感じになっちゃうところを、入江さんはしゃれたメロディをつけてくれるんですよ。りゅうちゃんは私が知らないような振りを付けてくれる。だから私はこの2人と組むのはすごく興味深いし、刺激的。
福田:僕の中で出てこないフレーズや振りなんかも2人は直感でやるので、初めは「え~!? それかよっ(笑)」って思いながらやっていました。でも、踊ってみたらそれアリだなとか新鮮なところがあって。
川崎:それを子ども達とやって、その反応でまたプッピーズの新しい世界観が出来上がるのが面白いって思っているところです。まだ進化の途中というか、進化にも辿り着いていないかもしれないです。
子どもといる時にできるから鮮度がいい
堀川:楽しい歌がたくさんありますが、どんな時に生まれることが多いですか?
福田:僕は踊りを先行して考えますね。ジャンプをする踊りにしたいなと思ったら、それを核にして前後の動きを付けたり、そこから膨らませていってポップコーンの歌詞にするとか。
川崎:私は逆で、先にテーマを決めてイメージを膨らませていって動きとかを考える感じです。子どもと遊びながら閃くこともあるし、運転しながら歌詞が出てくることもけっこうある。
入江:私は歌詞が苦手なので、歌詞をいっぱい紙に書いて繋げていって作ります。あと、私は1人遊びが好きだったので、1人遊びに歌や手を付けて世界観を広げて1曲の作品にしたり。
現役で保育士をしているので、触れ合い遊びなんかは実際に子どもと触れ合いながら考えたり出来上がったりするし、遊び歌を作ったら子ども達と一緒にやってすぐ反応を見たり、ヒントをもらったりできますね。
福田:鮮度がいいよね、できたてをすぐ提供できるからね。
川崎:思ったより子どもの反応が薄くて、やり直すこともあります(笑)。
入江:自分達が楽しんでやっているので、子ども達も乗ってきてくれると、結果もっと楽しい! という感じになっています。2人とも人間観察大好きなタイプなので、実地でやって色いろアイデアを貯蓄しているんだと思います。
堀川:子ども達を喜ばせるコツってありますか?
福田:これをやればというのはないですよね。うわべの小細工より、この子を喜ばせたいという気持ちをしっかり持って接することじゃないですか。自分が楽しむ気持ちで相対すればいいんじゃないかと僕は思います。
入江:遊び歌が苦手な子もいるので、無理強いはしないようにしています。
川崎:見るのが好きな子とやるのが好きな子がいるし。
福田:いるね。子どもだからではなくて、一人間として相対する。その子の気持ちを大事にしてあげたいね。
得意を活かして、子どもにとって魅力的な大人に
堀川:最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
福田:僕は、仕事中にこんなに声を出して大笑いしていい仕事はほかにはないと思っているんです。自分が楽しむことで子ども達を楽しませたい、楽しんでもらいたい、自分発信でできる仕事なので。
きつい仕事だと言われるので学生さんは進路に悩んだり立ち止まっちゃうことがあるかもしれないけれど、どの仕事も初めは大変なので、そこさえ乗り切ればこんなに楽しい仕事はないと思います。
川崎:子ども達と一緒に過ごすと、自分がアップデートされていくのを感じます。人として生きていくことの豊かさに気付かせてもらえるんですね。色いろなことがあると思いますが、そういうのも全部「生きてるな」に繋がると思うんです。子どもと楽しむのが一番いいだろうけど、子どもを感じて、自分が生きていることも感じてほしいなと思います。
入江:私はしゃべるのも得意じゃないし、絵がものすごく苦手なんですけど、音楽は好きだったので、そこを活かしつつ保育を楽しんでいます。だから、自分の良いところを見つけて活かして、素敵な保育士さんになってほしいと思います。
福田:それぞれが得意を活かす、そういう保育をみんなでできたらいいと思うんですよ。保育士さん自身がのびのびと保育をして楽しめるし、楽しんでいる大人と一緒にいれば子どもにとってもいろんな学びになると思う。
川崎:不得意なことは誰かと助け合ってね。大人だってそうやって助け合っているんだということが子どもに浸透していったら、大人になるのも悪くないって思ってもらえるんじゃないかな? 子どもと関わる人達には、子どもにとっても魅力的な人、大人になるのが楽しみだなって思えるような人が近くにいるといいなあと思います。
入江:ちょっと私、いいアシストしたでしょ。
福田:言わなきゃよかったのに。どうして我慢できないんだろうな~。
全:(笑)。
(MiRAKUU vol.43掲載)
- プッピーズ(福田りゅうぞう/川崎ちさと、入江浩子)
あそびダンス作家福田りゅうぞうと、現役保育士コンビすかんぽ(入江浩子・川崎ちさと)の遊び歌ユニット。遊び歌、体操曲の作詞・作曲・振付をを行い、全国各地の親子コンサートや、保育士向けセミナーに出演する。
FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONICキッズステージへの出演等活動の幅を広げている。
ケロポンズとのコラボ作品も多く、Youtoube動画『カマカマキリキリ』の再生回数は100万回、『へそベリーちゃん』の再生回数は400万回を突破している。