風しんから子どもを守ろう!編
※今回の記事は、立川・東中野・川崎のナビタスクリニック理事長で内科医の久住英二先生にご監修いただきました。
春先から初夏にかけて流行する風しん。近年、子どもだけではなく大人の発症も増えているのをご存知でしょうか。実は、風しんの免疫を持っていない大人が多く存在しているのです。
今回は風しんから子どもを守るために保育者が知っておくべきことをご紹介します。
なぜ免疫を持っていない大人がいるの?
風しんは、自然に風しんに感染するか、予防接種を受けることで、生涯にわたる免疫をつけることができます。
ところが、子どものころに風しんにかかったことがあると答えた大人の血液検査をしたところ、「約半数が実際には風しんにかかってはいなかった」という調査結果があります。
以前は医師が症状だけで風しんと診断するケースがあったため、本当は違う病気(「りんご病」や「溶連菌感染症」など発しんが出る感染症)だったにも関わらず、風しんと診断されていたことがありえるのです。こういった診断の間違いによって、風しんにかかったという記憶だけが残っていることがあります。
風しんの免疫の有無は、血液検査で風しんに対する抗体値の変化が確認できてはじめて診断できるのです。
生まれた年で今までの風しんワクチン接種の機会(回数)が異なっています。
近年20代~40代で多くの発症がみられるのは、自然に風しんに感染しておらず、風しんワクチンの接種率も低いため、免疫のない人が多い世代のためです。
症状が現れなくても風しんに感染していることもある
ウイルスに感染しても症状が出ずに済んでしまう「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」というものがあります。しかし、不顕性感染をした方のくしゃみや咳などからも「飛沫感染」してしまうため、知らないうちに風しんウイルスを周囲の方にうつしてしまっている可能性があります。
なんと、この不顕性感染は、風しんウイルスに感染した人の50~90%にも上ります。
風しんから子どもを守るために保育者が行わなければいけないこと
このとおり、風しんの抗体を持っていないために不顕性感染をし、知らないうちに保育所のお子さんにうつしてしまう可能性があります。 特に、0歳児は風しんの予防接種を受けていないため、罹患してしまう可能性が高いです。 また、免疫を持っていない保護者 (特に妊婦の方)への感染も注意が必要です。
風しんの症状が出なければよいのではなく、免疫を持ち周囲の方に風しんウイルスをうつさない状態であることが大切なのです。
大人が風しんの予防接種を受けたいと思ったら、まずお近くの小児科医に相談することをお勧めします。内科医は風しんのワクチンを常備していない場合がありますので、大人であっても小児科医に相談すると良いでしょう。
最寄りの保健所や、地域の医師会に問い合わせるのもよいでしょう。
より詳しい情報は、日本病児保育協会の公式サイトでお伝えしています!
「病児保育」とは、普段保育所に通うお子さんが体調を崩し、熱を出したりした時の保育のことです。
病児保育室での保育だけでなく、保育園でお子さんが急に体調を崩してから親御さんがお迎えに来るまでの間の保育も、立派な病児保育です。
「病児保育」は保育の知識に加えて、正しい感染症、感染予防、看護などのスキルと知識が必要となります。
全ての保育所への看護師の配置が現実的でない今、保育士には病児保育への対応力も求められています。
この連載が少しでも皆さんの現場のお役に立てたら、幸いです。