第1回 人が辞めない組織づくりは「入社1か月の関係構築」から! 休憩時間活用の秘訣

採用応募が後を絶たない、職員が辞めない保育園があります。経営の秘密と保育の展望を紐解くコラム全4回。
新規職員のケア
4月に入り、新入園児を迎え新しい先生が入社され、慌ただしい日々をお過ごしのことかと思います。
一方で忙しいことを理由についつい見逃してしまうのが、新規職員のケアです。新しい先生は、職場の環境に慣れることができるか、ドキドキしながら毎日を過ごしています。
そんな先生達がうまく職場に馴染んでいけないと、入社数か月で突然の離職……といった事態も起こり得ます。では、そうならないためにはどうすればよいでしょうか。
まず、お聞きしたいのですが、職員にしっかり休憩時間は取らせていますか? もちろん、休憩は法律できちんと定められていますので、きっちり取られていると思いますが……。
4月は忙しいから……と先生達もつい休憩を取らずに事務仕事をしていたりしませんか?
実はここに落とし穴があります。新しく入った先生達は精神的なストレスがかかっている状況です。そういった慣れない環境で更に休憩も取れない状況ですと精神的にも肉体的にもダメージが大きくなり、結果的に5月病のような症状に陥ってしまいます。そこで大事なのが、しっかり休憩を取らせることなのです。
保育の仕事は子どもの命を預かる仕事です。常に緊張状態で仕事をしている保育士の業務を休憩なしで維持していくことはとても負担になります。
休憩の環境を整える

まずは、しっかり職員が休憩を取れる環境を整えましょう。休憩時間に職員同士のコミュニケーションが生まれます。休憩時間に新しい先生との共通の話題やプライベートの話をすることで、人間関係が深まり、スムーズな仕事に繋がっていきます。
それだけでも大きな効果ですが、更に効果を期待する場合はこんなワークをぜひ4月に行なってみてください。
強みのワーク
午睡中にクラス単位で行います。
まずA3のコピー用紙と付箋を先生毎に用意します。そして、クラスの担任の先生同士、その先生の良いところをたくさん付箋に書き、その先生のコピー用紙に貼っていきます。全ての先生分を付箋に書き、貼り終わったら、書いてもらった付箋を眺めてください。そして、書いてもらってどういう感想を持ったかをお互いにシェアしてください。
お互いにその先生の良いところを書いて褒め合うだけで、とても嬉しい気持ちになります。「あ、私ってこんな風に思ってもらえたんだ!」といった発見もあると思います。
このワークを行うことで、よりお互いの信頼関係が増していくので、私の園でも行なっています。
以上をまとめますと、
- 休憩時間をしっかり取り、人間関係を深めていく
- 「強みのワーク」を行うことで、お互いの信頼関係をより深めていく
この2点を運営者の方が意識することで、4月からのスムーズな園運営に繋がります。ぜひ試してみてください♪
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- 野上 美希(のがみ みき)
社会福祉法人風の森 統括
学校法人野上学園 主事
株式会社野上アカデミー 代表取締役
一般社団法人キッズコンサルタント協会 代表理事大手シンクタンクにて、コンサルティング、採用、営業を経験した後、人材紹介会社にて事業部の立ち上げに従事。営業部長として複数の部下をマネジメントする傍ら、女性のための人材紹介サービスの代表も務める。自身の妊娠を機に久我山幼稚園の運営に携わる。
成長著しい時期である0歳~9歳(シングルエイジ期)においての一貫した教育を提唱し、子育てひろばや学童保育、6つの認可保育園を開設。
また、キャリアカウンセラー資格を活かし、保育士のための仕事紹介サービス『保育ウィルキャリア』も主宰し、自園以外の保育士のキャリアに対しても寄り添う。幼稚園の採用のみならず、認可保育園を毎年1園ずつ増やす中で、独自の採用手法により、国基準の2倍の保育士確保を実現。現在、業界に先駆けて保育者の働き方改革を実践している。