第2回 夏休みクライシスを乗り切る! 休暇を取りやすい職場への改革法
採用応募が後を絶たない、職員が辞めない保育園があります。経営の秘密と保育の展望を紐解くコラム全4回。
もうすぐ夏休み
新入園児の受け入れから6月までの大変な時期を乗り越えて、ようやく落ち着いてきた園生活。先生達も徐々に緊張が解け、疲れも見え隠れする頃に夏休み期間が始まることかと思います。
子ども達はもちろん、先生達も長期休みを取得する方が多いと思いますが、どうしても夏休みの予定が被ってしまったり、先輩の休みを優先させる等、ちょっとギスギスした関係ができてしまうのもこの時期。そこを職員同士の譲り合いに任せず、皆に気持ちよくお休みを取ってほしい! と思う経営者の方々も多いことでしょう。
夏のアルバイト臨時採用
そこで、提案です。
7月~9月の大学がお休みの時期に、学生アルバイトさんを採用してはいかがでしょうか。多くの自治体で、夏季休暇代替職員の採用経費を助成していると思います。ぜひそちらを活用することをお勧めします。
では、具体的にどんな学生さんを採用すれば良いでしょうか?
1つは、既に正規職員採用が完了している内定者の方です。実際に保育の現場で働いてみることで、現場への意欲や入社までの間にやっておいた方が良いこと等が見えてきますし、4月の入社もスムーズに進められます。事前に職場の先輩とコミュニケーションが取れていることは、入社する際にもとても安心感があります。内定後辞退のリスクも軽減されると思います。
2つ目は、これから就職を考える1~3年生の保育学生さんです。企業でいうところのインターン制度に近い形となります。実際の職場を体験してもらうことで、法人を知ってもらうことができ、その後の採用活動に対しても大きなアドバンテージとなります。今後長期休みの度に定期的にコンタクトを取ることもお勧めです。
上記が難しい場合でも、地元にお住まいの方にお手伝いいただくことで、定期的な関係を保ち毎年お手伝いしてくださることにも繋がります。採用手法に関しては、HP、無料求人媒体、アルバイトサイトの活用が有効的です。
人が少ない状態を常態化させ、現場の人員のみでやりくりさせることは、人間関係の悪化を招きます。また、アルバイトを募ることは今後の採用活動にも活きてくるので、臨時採用を取り入れることは、経営側にも先生達にも良い形に繋がると思います。
夏休みクライシス
実は転職市場を見た時に、夏休みの人員不足により心と身体が疲れてしまった職員が夏休み期間に退職を意識し、2学期以降に転職活動を行うケースは稀ではありません。先生達は夏休み期間にこの法人で長く続けていくかを考える、ということを頭に入れておくと、行動に移しやすいかもしれません。先生達の職場環境改善のステップとして参考にしていただけたら嬉しいです! ではまた!
- 野上 美希(のがみ みき)
社会福祉法人風の森 統括
学校法人野上学園 主事
株式会社野上アカデミー 代表取締役
一般社団法人キッズコンサルタント協会 代表理事大手シンクタンクにて、コンサルティング、採用、営業を経験した後、人材紹介会社にて事業部の立ち上げに従事。営業部長として複数の部下をマネジメントする傍ら、女性のための人材紹介サービスの代表も務める。自身の妊娠を機に久我山幼稚園の運営に携わる。
成長著しい時期である0歳~9歳(シングルエイジ期)においての一貫した教育を提唱し、子育てひろばや学童保育、6つの認可保育園を開設。
また、キャリアカウンセラー資格を活かし、保育士のための仕事紹介サービス『保育ウィルキャリア』も主宰し、自園以外の保育士のキャリアに対しても寄り添う。幼稚園の採用のみならず、認可保育園を毎年1園ずつ増やす中で、独自の採用手法により、国基準の2倍の保育士確保を実現。現在、業界に先駆けて保育者の働き方改革を実践している。