2023.07.15
\ノガミキ流/保育士働き方改革委員会

第6回 今年がカギ! 保育士配置加算 どう働き方改革に結び付ける?

\ノガミキ流/保育士働き方改革委員会──第6回 今年がカギ! 保育士配置加算 どう働き方改革に結び付ける?

採用応募が後を絶たない、職員が辞めない保育園があります。経営の秘密と保育の展望を紐解くコラム。

こんにちは。4月に園児が入園し、ようやく慌ただしい日々が落ち着いてきた時期かと思います。

3月に政府が示した「少子化対策のたたき台」で、1歳児は「5対1」に、4・5歳児は「25対1」の保育士配置にした場合、運営費を加算すると発表されました。

それを受けて、来年度の採用計画で、採用数を増やす方向の園さんも多くいらっしゃるかと思います。
ただ、どのように配置をするかは、しっかり考えていく必要があります。

ただ人を増やしても現場は変わらない

なぜなら、新たに採用した1人を漫然とクラスに配置してしまうと、そのクラスにはゆとりが生まれますが、それ以外では何も変化が生まれないからです。
一方で、計画的に配置をすることで、とても大きな効果が生まれるのです。

保育士が1名増えれば

では、具体的に数字で示しながら考えていきましょう。

常勤職員1名を追加で採用したとすると、1日8時間勤務×月平均20日=月間160時間の人的資源が生まれます。その資源をどのように割り振っていくかを考えていきます。
例えば、その資源の使い方としてこんなことが実現できます。

  • 週休2日制を完全週休2日制に変更する:土曜勤務3名分の平日振替休日3日間×8時間×4週=96時間
  • 週1午前中クラスの補助に入る(活動内容によりどのクラスに入るか決定):4時間×4週=16時間
  • 週1日午後、休憩回し+話し合いの時間の捻出:4時間×4週=16時間
  • 週1日午前乳幼児クラスの月案担当のノンコンタクトタイム要員:4時間×4週=16時間
  • 週1日午後乳幼児クラスの月案担当のノンコンタクトタイム要員:4時間×4週=16時間

Total:160時間

と、完全週休2日制の実現、クラスへの補助、話し合いの時間やノンコンタクトタイムの捻出が毎週実現できる形になります。
計画的に配置するか否かで1名増員の効果が全く変わってくるのです。

増やした人材の活用

配置増でノンコンタクトタイム導入
配置増でノンコンタクトタイム導入

我々の法人では現在、国基準の2倍以上の常勤保育士配置を行なっているので、2倍いないと働き方改革が実現できないのでは? と言われることがありますが、そんなことはありません。1人を計画的に配置すれば、働き方改革を進めていくことができると感じられると思います。

ただ、人の活用については、職員それぞれが別の価値案を持っていることも忘れてはいけません。従って、人を採用した際に、このように活用していきたいということについて、現場の先生とコンセンサスを取ることも大事な業務となります。
その上で、計画的な配置を行なってください。

課題をお寄せください

次回は、「働き方改革」から「働き甲斐改革」への実践についてお話したいと思います。
また、働き方改革の実践で課題が出てきましたら、ぜひMiRAKUUさんに投稿していただけたら嬉しいです。
読者の方が知りたい内容をお伝えしていければと思っています。ではまた!

(MiRAKUU vol.43掲載)

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野上 美希
  • 野上 美希(のがみ みき)

    社会福祉法人風の森 統括
    学校法人野上学園 主事
    株式会社野上アカデミー 代表取締役
    一般社団法人キッズコンサルタント協会 代表理事

    大手シンクタンクにて、コンサルティング、採用、営業を経験した後、人材紹介会社にて事業部の立ち上げに従事。営業部長として複数の部下をマネジメントする傍ら、女性のための人材紹介サービスの代表も務める。自身の妊娠を機に久我山幼稚園の運営に携わる。
    成長著しい時期である0歳~9歳(シングルエイジ期)においての一貫した教育を提唱し、子育てひろばや学童保育、6つの認可保育園を開設。
    また、キャリアカウンセラー資格を活かし、保育士のための仕事紹介サービス『保育ウィルキャリア』も主宰し、自園以外の保育士のキャリアに対しても寄り添う。幼稚園の採用のみならず、認可保育園を毎年1園ずつ増やす中で、独自の採用手法により、国基準の2倍の保育士確保を実現。現在、業界に先駆けて保育者の働き方改革を実践している。