第5回 今こそ始めよう! 保育士の働き方改革!
採用応募が後を絶たない、職員が辞めない保育園があります。経営の秘密と保育の展望を紐解くコラム。
「保育士の働き方改革」のすすめ
MiRAKUUの連載も2年目となりました。昨年度は採用を中心にお伝えさせていただきましたが、今年度はいよいよ「働き方改革」についてお伝えしたいと思います!
『異次元の少子化対策』を掲げる岸田内閣。保育士の配置基準見直しも検討していることもあり、皆さまの園でも今一度、配置を見直しながら働き方改革を進めてみてはいかがでしょうか。
我々風の森でも働き方改革の推進に取り組んでまいりましたが、現在は国基準の2倍以上の保育士配置を実現し、職員が心から保育を楽しみ、子ども達のより良い育ちに邁進する日々を過ごせています。
働き方改革の第一歩、ICT による業務効率化
働き方改革は必要だと思っているけれど、何から手を付けていいかわかりません! という話をよく聞きます。まず、業務の効率化について何から始められるかを考えていきましょう。
一番簡単に導入できることとして、ICT 化が挙げられると思います。
我々は、連絡アプリを導入したことにより生産性が格段に上がりました。
具体的な内容について、まず1点目としては、登降園管理をアプリで行うことで朝夕の電話対応がなくなり、保育と保護者への受け入れ・引き渡しに集中することが可能になりました。
2点目は、紙のお便りをすべて廃止し、データで作成したお便りを連絡アプリを使って一括配信することにより、印刷した手紙を折って連絡帳に入れ → 失くしてしまった保護者に再度印刷して渡すといった作業がなくなり、大幅に時間を削減することができました。
3点目として、月案や個別記録等もすべてアプリ上で入力することで、入力時間の短縮だけでなく、園長・保育者の訂正等の時間も削減し、作成から確認まで効率よくできるようになりました。
ただ、これらの大前提として、PC を職員に十分に配布することで、入力待ちになることがないような体制をとることも必要です。
それ以外にも風の森では、シフト作成のシステム化やオンライン化も行なっており、色いろな角度から生産性向上に努めております。
IT が苦手でなかなか導入に踏み切れないという方もいらっしゃるかもしれませんが、PC やアプリについてはサポート体制もしっかりしていますので、ぜひトライしていただけたら働き方改革の第一歩を踏み出すことができると思います!
次回は、「配置を手厚くする効果」についてお伝えさせていただきたいと思っております。
それではまた!
(MiRAKUU vol.42掲載)
- 野上 美希(のがみ みき)
社会福祉法人風の森 統括
学校法人野上学園 主事
株式会社野上アカデミー 代表取締役
一般社団法人キッズコンサルタント協会 代表理事大手シンクタンクにて、コンサルティング、採用、営業を経験した後、人材紹介会社にて事業部の立ち上げに従事。営業部長として複数の部下をマネジメントする傍ら、女性のための人材紹介サービスの代表も務める。自身の妊娠を機に久我山幼稚園の運営に携わる。
成長著しい時期である0歳~9歳(シングルエイジ期)においての一貫した教育を提唱し、子育てひろばや学童保育、6つの認可保育園を開設。
また、キャリアカウンセラー資格を活かし、保育士のための仕事紹介サービス『保育ウィルキャリア』も主宰し、自園以外の保育士のキャリアに対しても寄り添う。幼稚園の採用のみならず、認可保育園を毎年1園ずつ増やす中で、独自の採用手法により、国基準の2倍の保育士確保を実現。現在、業界に先駆けて保育者の働き方改革を実践している。