繭の糸 こども園──「繭の糸だからできること」をベースに、たくさんの経験をしてもらいたい

繭の糸こども園さんについて教えてください。

2017年4月に開園し、1~5歳さんをお預かりしています。定員はトータルで48名なので、年によって各クラスの人数が違います。0~2歳をお預かりしている他の系列園に通っている方で希望者はこちらに進級していただけます。
施設はビルインなのですが、収納込みの遊び場を作ったり、細長い廊下をうまく使うなど、狭いなりに工夫しています。保護者の方が外から見たよりも中が広いですねと言ってくださいます。
園庭はありませんが、この辺りは都心のわりに公園が多く、よくお散歩に行きます。近くには桜の名所の江戸川公園がありますし、鳩山会館や椿山荘といった文化的施設も多いです。椿山荘の庭園は散策でき、草木を楽しんだり池でザリガニを見つけたりして自然を楽しんでいます。



保育の特長を教えてください。
子ども達にはたくさんの経験をしてもらいたい想いがあるので、英語、体育、ダンスを週に1回取り入れています。といっても、ここで体育をやったからバク転ができるようになるといったものではなく、子ども達の世界が広がるきっかけになればという考えです。
課外でクラシックバレエ、英語教室、体操教室を用意しており、正課で興味を持った子が夕方ここで習い事をできるようにしています。


経験という点では「繭の糸だからできること」を意識しています。ザリガニ釣りに行く、下の小さな畑で野菜を作るなどです。公園で全身泥だらけになって遊ぶという日もあります。遠足では公共交通機関を使って少し遠くの大きな公園に行きます。その時に、子ども達は自分で切符を買って、改札を通るんです。実際のところはICカードを使うようになるのでしょうが、これも1つの経験ですよね。
また、子どもが興味を持っていることをその時期にやってあげたいので、子どものその時の興味をその時に伸ばせるように、担任の先生が提案したことは安全面やねらい等をしっかりと考慮した上で、できる限り賛成しています。たとえば、年長さんは生き物に興味があるということで今カエルを飼っています。「『繭の糸』の繭って何?」という子どもの疑問から、カイコの飼育キットを買って繭玉になるまで育てたこともありました。
他に、給食食材にはとてもこだわっています。お米は奈良県の明日香村、生活排水の入らない所で育てたものを取り寄せています。調味料も吟味しており、油は圧縮抽出したこめ油、砂糖はきび糖、出汁は静岡の出汁会社さんにオリジナルの出汁を作ってもらっています。体を作る大事な時期なので、良いものに越したことはないと考えています。
給食は基本的に和食です。昨今、お魚を食べる機会が減りがちと言われていますが、成長期のお子さまにとって魚は大切な栄養源の一つです。そこで当園では月に2回ししゃもを取り入れたメニューを提供し、お魚を食べる習慣を楽しく育めるよう工夫しています。



保育士さん達が働きやすい環境にするために取り組んでいることはありますか?
女性が多い職場というのもあり、結婚出産育児、介護などライフステージによって働き方を変えざるを得ない方が多いです。その時に「今と同じように働けないから辞めます」ではなく、働ける範囲でのシフトにするなど、一人ひとりに合わせた契約に切り替えたりしています。
特徴的なのは研修とごはん会や忘年会などですね。年に4回の全社員合同での研修や、積極的な外部研修受講を推奨しているため、話し合い、相談できる環境作りを行なっており成長できる職場です。また、代表の辻村が外部の社員教育等の研修をメインでやっているので、社会のしくみや他業界についての研修があったり、座禅なども経験できたりします。
ごはん会等では、自分では行かないようなお店を会社がセレクトしてくれます。今度の年末は芸者さんが来るようなお座敷のお店なんですよ。これら研修やごはん会等は正社員だけではなくパート職員にも声を掛けており、子連れもOKです。繭の糸を支えてくれているのは正社員だけではなくパート職員もですから、みんなに1年ありがとうときちんとお礼を言う場にしたいという会社側の想いがあるんですね。
第三者評価でも職員アンケートでも人間関係は○だったんです。評価者からは「匿名だから書きたいことを書く人もいるけれど、こんなに内部で関係がいいと出るところはめずらしいですよ!」と言われたので、本当に人間関係は良いです!
会社のシステムもそうですが、お互いに理解し合い、尊重し合うことで、会社も社員も一緒に成長できる環境が築かれています。このような協力の精神が良い環境を保つ力になっているのだと感じています。

ここで育った子ども達に将来どうなってほしいですか?
自分の得意なことで輝いてほしいと思っています。ちょっと前まで、みんな同じように平均的にできるのが良いという社会的風潮がありましたが、どんどん変わってきていますよね。人間関係は苦手でちょっと不器用だという子でも、1つ好きなことがあるとそれで輝ける。平均的というよりも何か1つ得意なことで突き抜けていってほしいと思います。
私達にとっては子ども達は「お世話をする人」ではなく、「一分一秒を大切にしながら共に成長していく存在」なんです。
今後の展望を教えてください。
来年度からは英語がもっと身近になります。繭の糸の保育目標には「未来を生きる力を育む」という言葉が入っています。小学校での英語の教科化も2020年から始まり、更なるグローバル化が今後進んでいきます。そこで実用的な英語を目指し、自然な形で英語にれる機会を増やそうということで、外国人の講師を直接雇用し常勤することになりました。
朝の会を英語でするなど、様々な人種や文化に自然と触れることができ、日本語以外の言語に触れる機会があって当たり前という環境にしていきたいと思っています。
大人だと英語を話すのに躊躇してしまうのですが、子どもは全部素直に吸収するので、機会が増えるだけでずいぶん幅が広がるのではないかと思っています。
他には、どんな形になるかはわかりませんが自然体験の機会を増やしていきたいと思っています。建物の下に畑がありますが限られた場所ですし、この辺りだと貸し畑もないんですね。体育の講師の先生のところで田植えや収穫体験イベントをやっているので協力できないかなとは考えています。


(MiRAKUU vol.49掲載)
繭の糸 こども園

住所
〒112-0013
東京都文京区音羽1-1-7
正進社ホールディングスビル2階
アクセス
東京メトロ有楽町線 江戸川橋駅1a出入口(階段)より徒歩3分、エレベーター出口より徒歩5分
開園時間
月~土 7:30~20:30
連絡先
TEL:03-6902-0027