保育士ダンサー 中島智史さん

ダンスはいつ頃始めたのですか?
ダンスを始めたのは大学に入ってからです。キャンパスで友達が踊っていて、これだ!! と思って始めました。
長年ダンサーとして活動していましたが、今は子ども向けのダンス講師がメインで、ダンスを通じて身も心も逞しい子ども達を育成することに尽力しています。
保育士になった理由を教えてください。
ダンス講師として様ざまな世代の方を指導しましたが、以前は子どもに教えるのが大の苦手でした。しかし段々慣れてくると、子どもは指導次第で凄まじい成長を見せてくれることがわかり、指導の大切さ、奥深さに気づいたんです。そこから子どもを成長させることにやりがいを見いだし、夢中になる姿を引き出せるような子ども向けダンスの先生になりたいと思うようになりました。そこで、子どもに対する理解をさらに深めるには保育士の資格を取るのが良いのではないかと考えたんです。
どのようなダンスを教えているのですか?
基本はR&B やHIPHOP ですが、幼児ではいきなりステップを覚えるなどの難しいことはしません。基本は模倣、真似っこから始まるので、パッと見て真似しやすい、しゃがむ、立つ、ジャンプするなどの日常動作をそのままダンスにします。グーパーなど手遊び的な動きを取り入れつつ、徐々に全身を動かす楽しい曲に移行します。楽しいのはもちろんですが、体力をつける有酸素運動と、体幹を強くする動きをメインに、なるべく全身をいっぱい使うようなダンスを心掛けています。
子どもを指導するにあたって心がけていることは何ですか?
実際に保育士として働いて思うのは、何よりコミュニケーションが大事だということです。問題行動と思われるようなことにも理由があるはずなので、頭ごなしに叱ったりルールを押し付けるのではなく、まずは一度子どもの声に耳を傾ける様に心掛けています。
ダンス指導も同じで、一般的なダンスレッスンでは、マニュアル化、パターン化しやすいのですが、子どもの心は常に揺れ動いていますから、目を見て、今この子が何を求めているのか、何に夢中になっているのかというのを意識して指導します。通常ダンススタジオは一方が鏡になっており、鏡前に講師、その後ろに生徒が位置して全員鏡に向かって踊るのですが、僕の場合は向き合ったり輪になったりして、コミュニケーションを図りやすいような立ち位置で臨機応変にやっています。
今後の展望を教えてください。
自分自身子どもの頃は引っ込み思案で小心者、弱虫でした。でもダンスを始めてから自分に自信が持てて前向きに生きられるようになり、貴重な体験、大きな感動を得ることができました。自分が手にした大切なモノを未来を生きる子ども達にも伝えたい、ダンスを通じてより豊かな人生を歩んでもらいたい、人生を変える程の感動を与えていきたい、という信念の基、さらに活動を広めていきたいと思っています。
ダンスは習い事としてだいぶ定着してきましたが、もっとダンスの敷居を低くし、さらにダンスで幸せになれる子ども達が増えると嬉しいです。
(MiRAKUU vol.34掲載)