おもちゃ作家・保育士 金子周平さん
保育士になろうと思ったきっかけを教えてください。
中学3年生の時の進路指導で、担任の先生に保育士が向いているんじゃないかと言われたのがきっかけです。これといった夢もなく、兄弟が多くてよく子ども達の面倒を見ていたので、いいかもなと思って保育士になりました。
おもちゃ作家はいつからされているのですか?
起業したのは去年の4月ですが、作家活動は7~8年になります。
保育園で、5歳の男の子に空き箱でおもちゃを作ってと言われたのが最初です。保育士目線では一緒に作るのが普通だと思うんですが、当時はフリーであちこちのクラスを転々としていたので、腰を据えて一緒に作ることができない状況だったんですね。一方で何かをやってあげたいという気持ちを持て余していたので、自分で面白いものを作って驚かしてやろうぐらいの気持ちで作り始めました。
結局、空き箱でビー玉の迷路を作ったのですがクラスで大人気になってしまって、1週間くらいであっという間にボロボロに。その男の子に「次は壊れないおもちゃを作ってよ」と言われ、壊れない木のおもちゃを本格的に作るようになりました。
実は、こういった物作りを始めたのは保育士になってからなんです。少年時代はテレビゲームばかりやっていました。その分、道具の使い方から何から全てが新鮮でしたね。
両立のコツを教えてください。
作品を作ったり自宅をアトリエとしてオープンするためにリノベーションしたりしていた頃は年長の担任や主任もしていたので、時間はやっばり厳しかったです。そこで、仕事をしながら時間を見つけていくために自分の持っている時間を見直しました。たとえば朝や夜にだらだらスマホを見る時間を削ったり、作業時には日々どんな作業にどのくらい時間が掛かっているのかを記録したりしました。毎日何をやるかを細分化して行動するようにして、今も時間を大切にしています。
今後の展望はありますか?
3つの目標、夢があります。1つ目は、どんどんおもちゃを作り続けて、アトリエの空間がより魅力的に見えるようにしたいです。
次に、アトリエの下にある車庫をリノベして、工作教室ができる空間にしたいと思っています。僕はレッジョ・エミリア教育に興味があるので、たくさんの素材から自由に選び取り、自由に作りたいモノを創造しながらモノ作りができるような、、誰もが思わずワクワクしてモノ作りをしてみたくなるような空間を作りたいです。
3つ目に、ビー玉のミュージアムを作るという大きな夢があります。たとえばクラウドファンディングするにしても説得力が必要ですよね。「ビー玉のミュージアムを立ち上げたいです。僕にはこんな構想があります」という説得力を持たせるために、皆さんにアトリエに足を運んでもらって、色いろなビー玉の魅力を伝え、アナログの良さを見直すきっかけを作っているところです。
読者の方にメッセージをお願いします。
最近、大人は心に余裕がないと感じます。心に余裕がないと、自分のカを思う存分発揮できないことに繋がると思います。それぞれ自分の思い描いていた保育士としての理想がきっとあるはずなので、その理想を輝かせるために、仕事にも楽しみを見つけ余裕を意識し、自分を存分に発揮していってほしいと思います。
(MiRAKUU vol.45掲載)