サイトメガロウイルス編
「風疹」の500倍!?
子どもに関わる全ての人に知って欲しい、先天性感染症の原因「サイトメガロウイルス」 とは?
妊娠中の母親に感染したウイルスや細菌、寄生虫などが胎盤を通じて胎児にも感染してしまい、赤ちゃんに何らかの障害を引き起こす「先天性感染症」。先天性感染症の代表格「風疹」では、大流行した2012~13年にかけて、45人の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」と診断されました。
しかし今日ご紹介するサイトメガロウイルスは、実に年間3000人もの赤ちゃんが先天感染をした状態で生まれてきていると見られています。
注意すべきは「妊娠中」の「初感染」
健康な人であれば感染してもほとんどの場合症状はありません。日本では成人の60~90%が気づかないうちにサイトメガロウイルスに感染し抗体を得ています。
それまで感染した経験がなく、抗体を持っていない人が「妊娠中に」「初めて」感染する、という場合に問題となりやすく、抗体を持っていれば胎児に感染する確率が1/150くらいに減ります。しかしサイトメガロウイルスに対する抗体を持つ人の数は、衛生環境の整った先進国では少ないとされており、日本でも減少していくことが推測されるため一層の注意が必要です。
子どもの尿や唾液が感染源。妊娠中の保育士の方は要注意!
サイトメガロウイルスの感染経路は、子どもの尿や唾液による「接触感染」です。小さな子どもとのキスや、おむつ替え、食事介助の際などの場面で感染することが考えられます。ただし、以下に掲げる点に注意して保育に当たれば、妊娠中でもやみくもに怖がる必要はありません。
日常的に小さな子どもに接触する職業の人が妊娠中に注意すべきこと
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おむつを替えた後、子どもに食事をさせた後、子どもの涎や鼻水を拭いた後、または子どものおもちゃを扱った後には、よく手を洗う。
- 子どもと飲食物や食器を共有しない。
- 子どものおしゃぶりをくわえない。
- 子どもと歯ブラシを共有しない。
- 子どもにキスをする際には、唾液に触れない。(口唇や頬は避け、おでこにする)
- 子どもの尿や唾液に汚染されたもの(例:タオル)や箇所はきれいにする。
- 妊娠中の性行為はコンドームを使用する。
サイトメガロウイルスから身を守るために一番大切なのは「正しく知る」ことです。
より詳しい情報は、日本病児保育協会公式サイト(http://sickchild-care.jp/)または、サイトメガロウイルス感染症への注意喚起の活動をしているトーチの会公式サイト(http://toxo-cmv.org/)をご覧ください。
動画で説明する消毒液の作り方や、他の感染症については日本病児保育協会の公式サイトをご覧ください!
「病児保育」とは、普段保育所に通うお子さんが体調を崩し、熱を出したりした時の保育のことです。
病児保育室での保育だけでなく、保育園でお子さんが急に体調を崩してから親御さんがお迎えに来るまでの間の保育も、立派な病児保育です。
「病児保育」は保育の知識に加えて、正しい感染症、感染予防、看護などのスキルと知識が必要となります。
全ての保育所への看護師の配置が現実的でない今、保育士には病児保育への対応力も求められています。
この連載が少しでも皆さんの現場のお役に立てたら、幸いです。